チャーチ・レディの秘密の生活

15件の記録
- はしな@ssaw_hsn2025年3月13日読み終わった「そんな人だとは思わなかった」「もっとまともに育てたはずなのに」と言われることの凶器性。 「あなただって、自分が思っていたような人じゃないよ」 (p11「ユーラ」) そう返せるようになるまで彼女たちはどれだけ傷つき、ゆるしてきたのだろうか。
- 読谷 文@fumi_yomitani2025年1月27日読み終わったこれがデビュー作だとは信じられない。9つの作品からなるこの短編集は、書簡や手引書などの形を取られたりと、バラエティ豊かだ。あまりの濃密さと衝撃に、一作読み終わるごとに時間を置かねばならなかった。 最も印象に残ったのは『降雪』だ。温暖な南部出身の女性2人が、雪の降る北部へ転居して初めての冬、雪かきや雪道運転に苦労させられている。2人はともに母親と絶縁しているが、ひとりはたまに母と連絡を取り、暖かい故郷を懐かしく思ったりもする。凍った雪道に停めた車から降りようとして転び「雪なんて大嫌い!」と叫ぶ彼女の惨めな気持ちのリアルさと、それぞれにわだかまりは抱えていつつも、物心ともに慰めてくれるもう1人の彼女の優しさに胸が温まった。 『ピーチ・コブラー』も本当に忘れられない。語り手の少女の5歳から高校卒業までの出来事が、魅惑のスイーツとともに描き出される。母を求めながらも満たされず、何重にも傷つく少女の姿には、胸が張り裂けそうだった。 小澤英実さんの本書解説による「言葉では掬いとることのできない感情を言語で表現しようとするのではなく、目の前の情景や事柄を描くことでその背後にあるものを際立たせる」ところが本当に素晴らしかったです。 訳者の押野素子さんの下記のインタビューも良かったです。 教会・性・母娘の葛藤、 全米を魅了した9つの物語——『チャーチ・レディの秘密の生活』訳者・押野素子さん インタビュー https://youtu.be/xJYtgfCrEo0?si=i8KatOk574rQHITv