しをかくうま

16件の記録
- 風民@fumason2025年6月1日読み終わった⭐︎⭐︎⭐︎ “僕が名前をつけることによって、彼女の詩に注釈くらいは付けられるんじゃないかと思ったんだ。彼女はただ走ってるんじゃない、詩を書いているのだと。たまたまサラブレッドの形をして生まれてきただけで、本当は詩人なのだとね。”
- 「しゃーなしやぞ」@furu-o2025年5月21日読み終わった借りてきた馬馬が出てくる小説を読みたくて 九段さんはSpotifyに小説をイメージした音楽のプレイリスト上げてくれてるのでそれ聴きつつ読むのも乙
- yt@yt2025年5月9日読み終わった知的生命を探しに宇宙へ行くのはやめよう。 もう地球にいる。サラブレッドだ。 この生命は詩を書いている。 著者は果敢にも、この詩の翻訳を試みる。 この作業中ずっとコーヒーとコムギの香りがする。 内容が全然わからんくて、途中読んでて挫けそうになった。 でも新花巻にあるチーズまで、なんとかたどり着いてほしい。 そこまで読めば世界が見えてくる。 その世界はクリストファーノーランと村上春樹の交差点。 傑作。
- あんどん書房@andn2025年4月19日読み終わった@ 自宅正直言って今の自分にこの作品の何かを語ることは不可能ではないか……と思って他の人の感想を調べたらだいたい「分からん」って書いてあって参考にならなかった。 なのでとりあえず、明らかに読み取れることと、そこからぼんやり考えたことを書き連ねておく。 一読しただけでも分かる明らかなことは、 ①「言葉」が大きなテーマであること、②「過去」「現在」「未来」という時間軸を行き来していること、③現代的な人間のありかた(特に言葉への感覚)に批判的であること……といったところか。 ネアンデルタール(ビ)とホモ・サピエンス(ヒ)が馬(マ)を乗りこなそうとする太古と、アナウンサーである「わたし」が馬の声を聞けるようになるため模索する現代とが交互に描かれる。現代の「わたし」の前に現れる馬の声を代弁する人々は「根安堂」一族である……ということで明らかに現代人の対比にネアンデルタールがある。似て非なるもの(特に言語的感覚において)というところで対比されているのだろうか。 作品のタイトルである「しをかくうま」と同名の競走馬「シヲカクウマ」が作中には登場していて、主人公は特に彼女を愛し、その声を理解したいと熱望する(シヲカクウマに会うためであれば、愛していない年上の女性とも性行為を行う)。 「シヲカクウマ」の名付け親で馬主の根安堂ターレンシスによると、彼女はただ走っているのではなく詩を書いているのだ。 往年の競馬名実況がいくつか引用されているが、それでもまだ馬の本質を表現するには何か足りないのだ……と。 やっぱり全体として現代人の詩的感覚の欠乏を批判しているような感じがする。最後の場面が、未来人のTRANSSNARTが「ニューブレイン(=AI)」をOFFにして「オールドブレイン」で詩を描こうとした場面なのも、そういう風に読めるよね。AIに頼んな。自分で考えろ。競走馬の登録名が十文字になる、という見方によっては非常に些細な問題から出発しているのも、言葉を徹底的に疑った詩人である谷川俊太郎が引用されるのも。 ところどころ明らかに笑いを誘う描写もあって、バランスがいいなぁと思う。
- さやか@sayakatropicale2025年4月8日読み終わった一読したからといって、この小説が提示していることの全てを把握できる作品ではないけれど、こういう感覚や思考や表現方法で小説を書いてくれる人がいてくれるのは嬉しいし、ホッともします。メモでも取りながらもう一度読みたいですが、とりあえず、東京都同情塔に進みます。
- chika@chk8232025年3月22日買った『…人間を“今のような人間”にしたのは馬なのだ。そこから人馬一体の歴史は現代まで脈々と続き、しかしいつしか人は己だけが賢い動物であるとの妄想に囚われてしまった。』 すごく気になる。
- はぐらうり@hagurauri-books2024年6月2日読み終わったそのうち解説本まで売れるようになるんじゃないかと思うほど、もはや文豪のような佇まいの作家さん。たとえば大江健三郎のように、同じ時代を生きていて良かったと感じる日も遠くないのでは。ちょっと独特の立ち位置にいる方だと思う。 小麦の話であったり、移動手段の話であったり、サピエンス全史的な部分も面白い。メタファーも表出さているものも多くて盛り盛りの純文学で、本作もこの先数十年以上読まれていきそう。個人的には、当時好きだったグラスワンダーが出てきて嬉しかった。