伝奇集
52件の記録
プールに降る雨@amewayamanai2026年5月21日また読んだビクトル・エリセの『瞳をとじて』のなかに出てくる“トリスト・ル・ロワ(悲しみの王)”という名の屋敷。そこの主人はある短編からその名を取ったという。 その短編が、この『伝奇集』内の「工匠集」の一編として収められている「死とコンパス」。ということで、映画の理解の助けになればと再読。 「死とコンパス」は探偵小説で、真相を突き止めた探偵は作品中最後の舞台となる“トリスト=ル=ロワの別荘”におもむくことになる。 別荘はシンメトリカルで迷宮的な構造をなしており、『瞳をとじて』においても、さも意味ありげに映される二面の神ヤーヌスの像も登場する。 ところが小説内では、“トリスト=ル=ロワの別荘”と書かれるだけで、“トリスト=ル=ロワ”がいったい何なのかは説明されない。 「工匠集」のプロローグには、“トリスト=ル=ロワは、ハーバード・アッシュが幻の百科事典の第十一巻を受け取り、たぶん読まなかったホテルの名前である。”と書かれている。 ハーバード・アッシュとは、本書「八岐の園」の一作品め「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」の登場人物。 また、「死とコンパス」には、“マンディエ・モリーナ=ペディアに”との献辞があり、訳注では、“トリスト=ル=ロワという名を思いついたボルヘスの友人で、彼女のベッドルームの壁には、この別荘を描いた地図が貼られていたという。”と説明されている。どっちなんだ。 本書全体がこのように虚構と現実の区別が錯綜し、いまはどの階層で語られているのかと混乱させられる。 しかしむかし読んだときの印象と同じく死ぬほど読みにくい。小説というよりアイデアの簡潔な説明だなと思っていたら、「八岐の園」のプロローグに、“長大な作品を物するのは、数分間で語りつくせる着想を五百ページにわたって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物がすでに存在すると見せかけて,要約や注釈を差しだすことだ。”とちゃんと書かれていた。(“〇〇は、〇〇は、〇〇である”という変な文章だけど引き写し間違いではない) 個人的に小説に求めているものは、要約から切り捨てられた行間にあるはずの、生き生きとした人物描写やその関係性の変化、機微といった、ながながと展開される“狂気の沙汰”だからなあ。 けっきょく『瞳をとじて』の理解の助けには特にならなかった。



めのうのめ@agete2026年4月30日わたしは、人間が他人たちの敵となったり、他人たちのべつの瞬間の敵だったりすることはあるが、ひとつの国の敵であることはできない、つまりホタルや、ことばや、庭園や、水の流れや、西風の敵であることはできない、と思った。ーー八岐の園

るり@utatanest2026年1月28日読み終わったマンゲルの著作を読んで、改めて読みたくなったボルヘスの伝奇集。 「(他の者たちは図書館と呼んでいるが)宇宙」という言葉から始まり、「図書館は無限であり周期的である」という言葉で終わりに向かう、バベルの図書館の章が特に好き。読むことや本のある空間がどういうことがもっと考えたくなる。
サカグチ@hisuissugi2025年3月29日読み置きとりあえず最初の章弾だけ読んだ。 思惟に富んだ文体と、次第に回収されていくSF的イメージ。冷徹な印象を受ける。 最後の台詞はAI社会における人間の生き方を予言しているかのようにも読めた。 「わたしの知ったことではない。わたしは校訂をつづける。アドログエのホテルでの静寂な日々、サー・トマス・ブラウンの『壺葬論』のケべード風の試験的なスペイン語訳の校訂を(別に出版する意図はないが)。」 →人間が作り上げた架空の世界が逆に現実に侵攻される様子が描かれた後の台詞。実存は残り続けるのか? (自分が読んでいるのは篠田一士訳の集英社版)


つに@hsr6368962025年3月7日買った読み終わった「架空の論文の評伝」というフォーマット自体のおもしろさ!注釈から他者の評価まで全部嘘なの、おもしろすぎる。 「円環の廃墟」は相変わらず夢の話をし続ける。ボルヘスはずっと夢が好き。

















































