カナシイホトケ

22件の記録
ON READING@onreading2026年6月19日読み終わった@ ON READING『庭とエスキース』『動物たちの家』が当店ロングセラーの写真家、奥山淳志による、北辺の地で死者と共に生きてきた人びとの営み、その地で己の魂と向き合い祈る人の姿。東北の風景と人の語りが抱く死者たちを想い、今日の死生観を問う17篇。 奥山さんの文章は、どうしてこんなに惹き込まれるんだろう。一気に読むのは勿体ない、と毎夜ちびちび読んで、ついに読み終わってしまった…。 岩手に移住後、カメラを携えはじまった東北の祭礼への旅。そこで目の当たりにしたのは、遠い時代の人が創り出し、信じられてきた、神々や仏を迎え送る豊穣な物語が役割を失い、消えゆこうとしている光景だった。 イタコ習俗、赤倉霊場のカミサマ信仰、賽の河原と呼ばれる岬、秋田のやまはげ、オシラサマ、さまざまな土地の盆の行事など、そうした祭礼の細部にもまして強く印象が残るのは、そこで出会った人々の姿と、語られた言葉たち。 放浪の末に茅葺の古民家で暮し始めた「彼」。病を経て「カミホトケ」の信仰の道に進んだ「明さん」。津軽の地蔵堂で出会った老婆ーー。 今という時代と遠い時代の間で揺れながら、それぞれの人生と、祈りの営みが、幾重にも重なる土地の記憶のなかで巡っていく。 ゆれるロウソクの光、明さんの笑っているのか泣いているのかわからない表情、里から見える魂のあかり、忘れられないシーンがいくつもある。 死ぬことと生きること。彼らのように「祈る」ことができない現代の私たちは、どうやって土地と共に生きていくことができるのだろうか。





ten@ten_karatsu2026年6月15日でも、先に逝った家族を憶い、光る海で霊魂を迎えるこの営みは、人が永遠の別れと悲しみを受け入れるためのたったひとつの方法だと、あの人は僕に教えてくれたのだった。 p14



































