アンダーグラウンド

36件の記録
- 真魚@ms_mn2025年5月3日読み終わった2025年は地下鉄サリン事件から30年というので初めて読みました。サリン事件のことは「かつて世間を震撼させたオウム真理教による大規模なテロ」という程度の理解で、前情報なしに読み始めたら、ものすごい衝撃でした。 こんなのがあった後でも被害者の方が地下鉄通勤してたの?自分もよく何も知らずに毎日電車に乗れたものだね? 事件の全貌を知らなくても読めるように、実行犯の詳細/時系列/サリンという物質とは/コリンエステラーゼとは…といった説明があり、路線別の構成になっている。後世にこの事件が振り返られることを想定されているし、振り返るべき事件だという意図が読める。 ふつうに暮らしてふつうに通勤したり、駅で勤務している何千人もの生活がある日、突然に、変わってしまう。亡くなった方々には当然声がないのに、生き残った人たちの限られた証言だけで既にものすごい群像劇でした。 いろんな業界業種のさまざまな年齢の人々の来し方が記載されていて、当時の地下鉄や自衛隊、病院といった組織の構造についても言及がある。分厚さ以上の重みのある書籍でした。 人間存在や個人への信頼を感じることができたけど、副次的な効果として、官公庁や警察といった官僚組織への信頼はまったく失われました。ビューロクラシーやセクショナリズムには弊害しかないように思う。 中高生から定年後再雇用の人まで、その時刻に電車に乗り合わせた、あるいは近くで働いていたというだけで被害に遭われた、それがまさに無差別テロということなんだと、やっと理解できた気がします。 過去に村上春樹の代表的な小説をいくつか読んだだけでは「こういう作風でノーベル賞候補になるのかな?」とピンと来ていなかったのですが、『アンダーグラウンド』は別格でした。大規模な調査と努力と社会への視線がある。高度経済成長期、バブル期とその爪痕を抱えた不況社会という日本の近現代そのものを内包した叙述だった。すごい本でした。読んで良かった。
- サリュウ@salyu_carefully2025年3月13日ちまちま読んでる230ページほど読んだ/読んでる。症状の軽重や、事件(と、その実行犯など)への怒りの有無や軽重、それまでのそしてそれからの境遇、人生、職業、性格、あたりまえだけどほんとうに様々だ。明石さん兄妹のパートは読んでいて自然と歯を食いしばっていたし、感情の置き所がよくわからない涙が出そうになる。これを書くのはほんとうに大変なことだ。
- サリュウ@salyu_carefully2025年3月7日読んでる@ 図書館この本では村上春樹は徹底して裏方だけど、構成や各人物の載せ方、質問の削ぎ落とし方などになんとなく「面白い読み物にするんだ」「ただの記録にはしないぞ」という彼なりの色気と衝動っぽいものを感じる。
- よあけ@mogumogu2025年3月7日かつて読んだ今年は地下鉄サリン事件を扱う書籍がたくさん出そうだが、まずはこれから始めてみてはいかがかと思う。 村上春樹が事件の被害者にインタビューしていくもので、村上が感じた印象や補足を少し足している以外はほぼ被害者の方の語りなのだけれど、これは村上という稀有な聞き手でなければなし得なかったのではないかと思えるような、なにか力を感じる文章だった。 ひとつずつ丁寧に読んで、本を閉じたあとは静かに息をついた。 「約束された場所で Underground2」と併せて読むといいと思うけれど、私は断然こちらが素晴らしいと感じた。