料理の四面体

22件の記録
- 廣 亜津美@hiroatme2025年3月7日かつて読んだ「男子厨房学入門」の応用方法をまとめたような本。料理の四面体とは火、水、空気、油を頂点とする正四面体の意味で、材料を四面体の一点に置くと料理が出来あがるという、斬新というか大胆な考え方は面白いです。実用にはならないですが、料理中にはどこか頭の片隅に四面体を作っている自分がいます。「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」というブリア=サヴァランという言葉が好きです。
- ishiguro_reads@ishiguro_reads2025年2月26日読み終わった例えばローストビーフとアジの干物は、原理的には似たようなものだと言う。数センチの距離で直火で炙るか、1億5000万キロ離して太陽光で炙るかの違いでしかない、と。 本書はこのように、世界中の料理が実は、原理まで戻るとグラデーションでしかない、という見方を提示する。著者 玉村豊男氏は、火・水・空気・油を頂点に持つ四面体のうえに全ての料理をマッピングする。非常にシャープなダイアグラムだ。 この四面体について彼はレヴィ=ストロースの料理の三角形と構造主義自体に着想を得た、と書いているが私にはそれ以上の可能性があるように思えた。 たとえば豆腐という素材に火と油を加えると「揚げ出し豆腐・油揚げ」ができる。これを再度四面体の底面に持っていき素材として捉えると、油揚げの網焼き、揚げ出し豆腐の蒸し物など再度変化させることができる。そもそもの豆腐を分解して、大豆を水と火の直線上で運動させてできたものと捉えることもできる。 つまり、一つの四面体とは別次元の四面体が無限にあり、それらを行き来して考えることができる。多数のモノ・コトから帰納的・求心的に構造を見つけ出すのが構造主義だとすれば、その構造のうちに変化の可能性を内包するこの料理の四面体モデルはポスト構造主義として捉えることができるのではないだろうか。