友だちになるかは迷った

43件の記録
- 内田紗世@uchidasayo2025年7月13日読み終わった再読。 p.43 葉山莉子 六月二十一日(金) ブルーモーメントだ、と君がいった。群青色のあと、夜の寸前に訪れるほんのわずかな濃紺。君といるとわたしはそれを見逃してしまう。見逃したことも君は気づかない。わたしを乗せた君のバンが川沿いの夏至の夜を走る。 特急券を握りしめて、いつもと反対電車に飛び乗った。君の立ち姿を見たとき、わたしはようやくこの意味に気づいた。 わたしはずっと君が憎かった。わたしを見て笑う君が憎かった。もっと、という言葉を発する時期をもうとうに通り越してしまった。もうおとずれない、君との朝が昼が夜が、もっとほしかった。飽きるくらいの日常が、もっとほしかった。恋しくて、以前の君もいまの君もずっと憎んでいる。 深い黒に沈む山。君が星を指さして、わたしの指を一本一本数える。吸い込んだ煙には緑が放出する酸素が混じる。小さな暖炉で体を暖めると、君の呼吸にあわせて炎が揺れる。君が触れた髪がその指の柔らかさを受け止める。わたしが君の稜線をなぞれば、もっとも短い夜が明けて、君はわたしを眠りつかせる。発熱する君の体温でまつげの光が蒸発した。 誰かここの文章で一曲作って欲しい。
- うきくさ@sharapeen2025年7月1日気になる買った読み始めた自分メモ:『友だちになるかは迷った』 著者:垂井真、稲荷直史、葉山莉子 出版: 刊行:2024年春頃 ⸻ 🐾 内容の印象(仮・紹介文より) ・タイトル通り、「友だち」とは呼び切れない距離感にある3人の詩人たち ・互いの言葉にふれることで見えてくる、ささやかで不確かな関係性 ・“詩”という形式を通して、他者とつながることの葛藤やよろこびを探る ・それぞれの詩が、どこか「すれ違ったまま共鳴している」 ⸻ 🕊 読みどころ(予想) ・“わかりあえない”という前提から始まる友情の手触り ・言葉の奥に潜む「沈黙」や「余白」が、むしろ関係性を保っている ・詩人3人の声が交錯することで、読者に“自分の居場所”を問いかけてくる ・「友だちになるかは迷った」と言える関係にこそ、誠実さが宿る ⸻ 📎補足メモ(個人的に) • 物語ではなく、「断片」の集まり。時間軸や人間関係も曖昧 • SNSや都市の感覚とリンクしていて、現代的なのに寂しさが強い
- もん@_mom_n2025年5月3日読み終わった心に残る一節@ 自宅私は垂井真さんがめちゃくちゃ好きかもしれないと気づき、積読から引っ張り出して読んだ。やっぱりめちゃくちゃ好きだった。 垂井さんの日記にはくどうれいんさんや若菜晃子さんのお名前が登場していて、自分と好きなものが似ているのかも、と思った。 葉山さんと稲荷さんの文章もとてもよく、なにより3人の距離感が心地よい。本の構成や装丁も好き。 p.7 優しさの使い方がよくわかっていないところが勝手に自分と似ている気がしてしまって、まず人に話さないような感覚の話をしたら、何やらいろんな言葉を探している空白があったのちに、それしか言えないのが悔しいって顔で「え〜、わかる〜〜」と言ってくれた。 p.51 「わたしさ、あなたの喪主になりたい」「きみはねえ。おこがましいね。てかおれけっこう長生きするよ」「いまの生活しててそれはないよ」「きみは葬式にすらたぶんいけないのに」 p.81 こんな地獄でも天国に近づけたいし近づいて行きたい。片耳でラジオを聴きながらそう思った。
- わ@wa_hon2025年3月26日読み終わった「外の世界と離れたところで、許したり認め合ったり、肯定したりできる」と友だちについて書かれていて、まさしくそういう関係性に見えるのに、友だちになるか迷ったなんて言うのなんかずるくないか ずるい ずるいよ!