旅をする木
127件の記録
- masaya@masaya2026年9月16日読み終わった▪︎早春 クマの存在が、人間が忘れている生物としての緊張感を呼び起こしてくれるからだ。もしこの土地からクマが満え、野営の夜、何も怖れずに眠ることができたなら、それは何とつまらぬ自然なのだろう。 ▪︎ルース氷河 何もないとの世界では、食べて、寝て、出来る限り暖かく自分のいのちを保ってゆくことが一番大切なのだ。わずか一週間でさえ、本当に単純なことに立ち止まってみるのもきっと良いことだ。 子どもの頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり男気を与えられたりすることがきっとあるような気がする。 ▪︎もうひとつの時間 まだ幼かった頃、近所の原っぱで紙しばいを見終えた後、夕どはんに間に合うように走って帰った夕暮れの美しさは今も忘れない。あの頃、時間とか、自分をとりまく世界を、一体どんなふうに感じていたのだろう。一日が終わってゆく悲しみの中で、子どもながらに、自分も永遠には生きられないことを漠然と知ったのかもしれない。それは子どもがもつ、本能的な、世界との最初の関わり方なのだろうか。 ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。 ▪︎アラスカとの出合い ある日、東京、神田の古本屋街の洋書専門店で、一冊のアラスカの写真集を見つけた。 たくさんの洋書が並ぶ棚で、どうしてその本に目が止められたのだろう。まるでぼくがやってくるのを待っていたかのように、目の前にあったのである。 人生はからくりに満ちている。日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。その根源的な悲しみは、言いかえれば、人と人とが出会う限りない不思議さに通じている。 ▪︎16歳のとき 多くの選択があったはずなのに、どうして自分は今ここにいるのか。なぜAではなく、Bの道を歩いているのか、わかりやすく説明しようとするほど、人はしばし考え込んでしまうのかもしれない。誰の人生にもさまざまな岐路があるように、そのひとつひとつを遡ってゆくしか答えようがないからだろう。 終着点としていたサンフランシスコにたどり着いた日、特大のハンバーガーとコカコーラで、ぼくは自分自身に乾杯をした。心の筋肉というものがもしあるならば、そんなものをふつふつと身体に感じていた。 今振り返ってみると、十六歳という年齢は若過ぎたのかもしれない。毎日毎日をただ精一杯、五感を緊張させて生きていたのだから、さまざまなものをしっかりと見て、自分の中に吸収する余裕などなかったのかもしれない。しかしこれほど面白かった日々はない。一人だったことは、危険と背中合わせのスリルと、たくさんの人々との出会いを与え続けてくれた。その日その日の決断が、まるで台本のない物語を生きるように新しい出来事を展開させた。それは実に不思議なことでもあった。バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、旅はその姿をはっきりと見せてくれた。 が、ぼくは現実の世界を生きていたわけではなかった。旅を終えて帰国すると、そこには日本の高校生としての元の日常が待っていた。しかし世界の広さを知ったことは、自分を解放し、気持ちをホッとさせた。ぼくが暮らしているここだけが世界ではない。 さまざまな人々が、それぞれの価値観をもち、遠い異国で自分と同じ一生を生きている。 つまりその旅は、自分が育ち、今生きている世界を相対化して視る目を初めて与えてくれたのだ。それは大きなことだった。 ▪︎アラスカに暮らす 寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。 離れていることが、人と人とを近づけるんだ。 ▪︎生まれもった川 深く老いてゆくということは、どれだけ多くの人生の岐路に立ち、さまざまな悲しみをいかに大切に持ち続けてきたかのような気がする。 ▪︎カリブーのスープ 人間と自然との関わりを本さに明解するとはできなふのみではないだろうか、人はその土地に生きる他者の生命を使い。そのを自分の中でさら加入れることで、より深く大地と選なることができる。そしてその行為をやめたとき、人の心はその自然から本質的に離れてゆくのかもしれない。 ▪︎ある家族の旅 二十代のはじめ、親友の山での遭難を通して、人間の一生がいかに短いものなのか、そしてある日突然断ち切られるものなのかをぼくは感じとった。私たちは、カレンダーや時計の針で刻まれた時間に生きているのではなく、もっと漠然として、嘘い、それぞれの生命の時間を生きていることを教えてくれた。自分の持ち時間が限られていることを本当に理解した時、それは生きる大きなパワーに転化する可能性を秘めていた。 ▪︎エスキモー・オリンピック 英語で“it made my day””という言い方がある。つまり、そのわずかなことで気持ちが膨らみ、一日が満たされてしまう。人間の心とはそういうものかもしれない。遠い昔に会った誰かが、自分を懐しがっていてくれる。それは何と幸福なことだろう。 ▪︎シトカ 時おり誰かがここにやって来ると、自然の中で何てすばらしい生活をしているのかと感動するのね。でも一週間もしたら、皆耐えられなくなってしまう。淋しさとか孤独にね…・・・・じゃあ私がそうでなかったのかというとそんなことないのよ。それは痛いほどの孤独と向き合わなければならない。でもある時、そこを一度突き抜けてしまうと不思議な心のバランスを得ることを見つけたの。 ▪︎夜間飛行 もう何人もの知り合いのブッシュ・パイロットが死んでいた。彼らの多くは本当に腕のいいパイロットだった。しかしこの土地では、腕の良さが事故を避けられるとは限らない。彼らは毎日のようにアラスカの自然の中で飛び続けているのである。たった一枚の悪いカードをいつ引いてしまうのか、ただそれだけのような気もする。遅いか早いか、悲しいけれどもそんな気がする。なぜならば、その悪いカードとそが、アラスカのブッシュ・パイロットがどこかでこの土地に魅きつけられているものなのだ。 けれども、そのカードを無意識のうちに避けることができるパイロットがいる。飛行技術などとは関係ない、そして判断力とも少し違う、その人間のもつ微妙な資質のようなもの。その見えない何かをドンはもっている気がした。それはまた大きな意味での運というものと関わっているのかもしれない。 ▪︎ワスレナグサ 結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。 何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。
本暮らし@mogura102026年8月19日読み終わった★★★★★ この本に出会ってよかった。 読んでよかった。 星野道夫さんの言葉が、広い世界と知らない土地アラスカを歩かせてくれた。 心を落ち着かせてじっくり味わって読んだ本は初めてだった。 1ページずつ読むたびに、好奇心と驚きを得ることもあれば、人間の愚かさ哀れさを感じ、自分の小ささに気づくこともあった。 本を通して、1つの経験をしているような、、、深い内容だったなぁと思う。 アラスカのような、厳しい自然のなかで生きること、生活するということは、生きることの本当の厳しさや素晴らしさを教えてくれるんだなと感じた。便利な暮らしに慣れてしまい、本来の命を動かす感覚をわたしたちは普段忘れているような気がする。- いわし@asahimari2026年6月25日読み終わった寒いのめっちゃ苦手なはずやのにアラスカに行ってみたくなった。あまりの自然の壮大さに絶望してみたくなった。この本を読んでるときは時がゆったり流れて、一度立ち止まってみたくなる。幸福感と死を感じる本やった。



- み@mkt_39122026年6月5日読み終わったとてもうつくしいエッセイだった。星野道夫さんという、アラスカの自然と共に生きた写真家の持つ、豊かで美しい感性と共にアラスカの空気を感じられた気がした。 最後の解説が池澤夏樹さんなのも、これ以上ないくらいこのエッセイに合っていて素晴らしかった。
いくえ@bookmin2026年5月22日かつて読んだバイブル星野道夫さんは、同じ時代に生きたかったなあと思う人。アラスカなどの極北の話を読みながら、心がぽかぽかとあたたかくなる。この本を教えてくれた知人には一生感謝します。
ちびっこ@chibicco2025年12月22日読み終わったとても良かった。どう言葉にしたら良いのか分からないけれど、とても好きな一冊になりそう。 自然の中で生活している人の文章からでしか摂取できない栄養があるような気もしている。 これは図書館で借りてきた本なので、購入して自分の家の本棚にも置いておこうと思う。

- hk@hk_19852025年11月1日読み終わった様々な職を転々とし、ダンスのレッスンを受けていたが骨折で舞台に出られず、植物病理学の修士号をとり、60を過ぎてから日本語を学ぶビル。自分の持った川の流れの中で生きていく(生まれ持った川) 夫を亡くし、子供が殺人事件の犠牲者となり、残された四人の子供を連れてアラスカに来たシェリー(ある家族の旅)

レモン@remon_31312025年10月6日読み終わったアラスカを本当に愛しているんだなとひしひしと伝わる文章。自然描写も素晴らしいが、人物の描写も素晴らしい。最後の池澤夏樹さんの解説が、良すぎて涙が出てきた。星野道夫さんはみんなに愛されていた人なんだというのがよくわかった。


- 白樺@shirakaba2025年7月30日読み終わった素朴な文章と雄大なアラスカの風景。 自然豊かな田舎から東京に越してきて、自然が恋しくなった時に読んでいる。 目の前のこと、目まぐるしく変わっていく〝人〟 それらのことでいっぱいいっぱいになってしまうが、ゆっくりと、しかし確かに移ろいゆく自然。その壮大な時間の流れに身をまかすこと。『旅をする木』の話を忘れずにいたい。 知人と話した際に、豊かな自然がこの世界にあること、そこに行こうと思えば行けるという救いがあることが上手く伝わらなかった。 田舎に生まれたことが嫌で東京に出てきたが、離れてみると豊かな自然の中で過ごせたことが大切な思い出になっている。

はーちゃん@hazuki2025年6月13日読んでる毎日少しずつ読んでいます。私だけでしょうか?読むと泣いてしまいます。心にくる言葉やきれいな自然の表現方法、著者が感じていた自然を想像できて感動します。著者の周りで起こることや様々な場所で感じたことや考えたことが素敵な文で書かれてあり胸を打たれます。アラスカの自然は私たちの生活とは違いますが、私たちの生活や人生について考えさせられることがたくさんあります。
あるる@aru_booklog2025年4月13日読み終わったとても誠実であたたかな文章だった。厳しい自然の中で暮らし、そこでの出会いや発見を真っ直ぐ見つめる筆者の様子が伝わる素敵なエッセイで、読みやすく何度も読みたくなる。私のお気に入りは、古本屋さんのおばあちゃんと地図を見ながらした会話が書かれたもの。古い書籍や地図が残ると、当時の人々の世界の見方に触れることができる。すごくロマンのある話だと思う。






ぱんだちゃん@pandamental2025年3月23日買った読み終わった常にそばに置いておいて、ふとしたときに読むといい。 すっかり未知のわたしたちの暮らしとは全然違うが同じ地球上にある世界。 圧倒的なスケールの自然。 随所に心に刻まれる文章があり、たびたび読み返したいと思った。



本のこもれび@yasubi-bi2025年3月23日読み終わった心に残る一節一生ものの本に出会えた気分。著者の星野道夫さんの豊かな感性に惹かれる。 『ひとつの体験が、その人間の中で熟し、何かを形づくるまでには、少し時間が必要な気がするからだ』が、じんわりと心に広がっていく感じがした。
butter cup🌿@lo3o-v-peony2025年3月22日かつて読んだ2024年ベストの内の一冊。 こんなに優しく人柄の滲み出る文章は読んだ事ないし、もっと早く知りたかった…。 今この瞬間にもアラスカの鯨が泳いでいることを思う。






harucaの本棚@mochacha2025年3月10日まだ読んでるサバイバルなんだけどどこかロマンチックでとても良い。早く読み進めたいのだけど、終わってほしくないからゆっくり読みたい気持ちと葛藤しながら読んでいる。
Rie@rie_books2025年3月8日かつて読んだ大切な一冊読書がもっと好きになるきっかけをくれた。 頭の中はずっとアラスカにいる。 読了後、私の生き方にまで影響を与えた本。 星野さんの写真展に行き、他の本を買わせて頂いた。ずっと読んでいたくなる本。








































































































