

めあ
@ameamea
- 2026年7月25日
「夫婦」不在社会三宅香帆読み終わった親子、という縦の関係が描かれたフィクションはたくさんある。 そして最近の人気作品はシングルマザーの家庭が多い。 どうしてそこに夫がいないのか。 つまり、どうして夫婦(パートナー)の関係は語られないのか。 様々な作品、主に村上春樹の小説を読みときながら 夫婦関係、そして社会での人とのつながり方を考える。 「自分のつくりだしたい輪郭を言葉によって形にすること。無言で支配しようとしないこと。それこそが、家父長制にからめとられない夫婦をつくる手段ではないか。」(p116) 言葉にすること、時間と手間をかけても想いを伝えること。 あたりまえのことのように思えるけれど、できていないこと。 あくまでフィクションの話だったはずなのに、 気がつけば自分ごととして読んでメモの手が止まらない読書だった。 - 2026年7月22日
口福のレシピ原田ひ香読み終わった現代の料理研究家の女性、昭和初期の女中奉公の女性、 別の時代を生きるふたりが「家庭料理」を軸に交差する。 登場してくる家庭料理が頭のなかで浮かんで、 とにかくお腹が空いてくる読書時間になった。 そして、昭和パートのしずえさんの物語が素晴らしかった。 後世に名が残らなくても、その時代を生きた一人ひとりに 真摯に紡いだ暮らしがたしかにそこにあった。 しずえさんの最後の食事シーンがとても印象的。 そのささやかで眩しい幸福感を想像して、胸がぎゅっとしめつけられた。 - 2026年7月18日
夏帆村上春樹読み終わった「例によって全てが端正で清潔だ。」(p251) これは夏帆が3回目に会うモーターサイクルの男に対して抱くイメージだけれど、わたしにとっての『夏帆』という小説が纏っているように思う雰囲気にぴったりだった。 さらさらと読みながらもじわじわと自分の心の奥底までなにかが染みてくる。 それがなんなのかまだわからずに、だから何度も読もうと思う。 良さをはっきりと語るにはまだ一度では追いつけていない。 - 2026年7月16日
あなたはここにいなくとも町田そのこ読み終わった短編集。どの短編も、ここにいないあなたへの想いが中心にある。 喪失の物語、というわけではなかった。ここにいないあなたへの純粋な好意、複雑な想い、怒りにも似たような感情。 伝える手段がないからこそ主人公たちのなかで渦巻くその感情が切なくて苦しかった。 - 2026年7月14日
たましいのふたりごと (単行本)川上未映子,穂村弘読み終わった言葉に関する対話のなかで生まれる言葉たち。 例えば「後悔」。いつか後悔をするのだと予感しながらも、そのことから背を向け、けれど日々前借りするように苦しんで生きているという川上未映子さんの言葉が印象的だった。 「それは生の一回性が、本当に大事なものをわからないようにさせているからだと思うんです。ひとは二回めがないと、本当に大事なものを見つけられないようにできていて。」(p191) そんなの悲しすぎるのに、その感覚がよくわかる。どうして大事な瞬間を一回めのそのときは受け流して、あとで後悔することになってしまうんだろう。そういう切ない感覚のことならよくわかる。 でも、だから本を読むんだよなあ、と思った。自分にとっての大事な一回めに気づける感受性を、言葉にできる表現力を、そんなものをすこしでも自分の中で育てたくて本を読んでいる。こうしてすきな作家さんの対談本を読むこともそのひとつ。 いくつもの言葉たちについて深く、一緒に潜っていけたような気がした。 - 2026年7月11日
ちくまさん西村ツチカ読み終わった表紙の素敵さと、中をパラパラと見てビビっときたので購入。 「ちくまさん」というひとりの女性が主人公のコミックエッセイ。 仕事での理不尽さに嫌気が差しているちくまさんの束の間の現実逃避のような物語。 ありえないけどありそうな仕事、それはメルヘンでもあり泥臭いものでもある。 ひとつひとつのエピソードにちくまさんの魅力が詰まっている。 そしてなんといっても絵の素敵さ! うっとり見入ってしまう絵がカラーで掲載されているのがうれしい、ご褒美のような一冊だった。 - 2026年7月10日
待ち遠しい柴崎友香読み終わった他者にもやもやとする気持ちがそのまま言葉にされていてはっとした。近くに住んでいるからって、同性だからって、すべてをわかりあえるわけない。近づきすぎることで価値観の違いは浮き彫りになるし、干渉することで自分の辿ってきた人生を正解のように他者に押し付ける。それでも、そのわかりあえなさを共有しつつも、ご近所さんより近い関係で生きる三人の関係性に、交わす言葉にぐっとくる。 - 2026年7月1日
- 2026年6月28日
会社ではおならをしてはいけません上坂あゆ美読み終わった読みやすいエッセイだった。著者の上坂さん特有の軽快な文体。しんどいエピソードだとしても、その明るさとスピード感で重くならずに駆け抜けていく。あっという間に一気読みしてしまった。タイトルがキャッチーではあるけれど、上坂さん本人のエピソードではないから、あまり内容と合ってないような気がした。印象的な友人のエピソードではあるものの、上坂さん本人の良さが詰まったエッセイであるからこそ、そう感じたのかも。 - 2026年6月26日
約束された移動小川洋子読み終わった小川洋子さんの作品にはいつも静謐な空気が漂う。そしてそこで浮遊しているような、ふわふわと不思議な読書体験。どの短編も最後の文章がとても好きで、この文章に辿りつくことができてよかった、と幸福感に包まれて終わる。 - 2026年6月23日
その手をにぎりたい柚木麻子読み終わったわたしが生まれる前の時代をパワフルに駆け抜ける都会の女性の物語。まるで共感できないだろうと社会勉強的に読みはじめたのに、すぐに惹かれてしまった。主人公の女性のまなざしに、味わうお鮨に、そして握りたいその手に。ぼんやり生きてちゃいけないな!と元気も出るし、とにかくお鮨が食べたくなる。 - 2026年6月21日
MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY上出遼平,仲野太賀,阿部裕介読み終わった男三人のおもしろくてかっこいい旅行記。エピソードもおもしろいし、なにより読ませる文章でぐんぐん読み進めてしまった。まるで彼らと共に旅をしたような気持ちになれる。ハードすぎて一緒に行きたいとは思えないけれど、彼らの旅行記をこれからも読者として楽しみたいと思った。本というかたちで、文章と写真で伝え続けてほしい。 - 2026年6月18日
いい子のあくび高瀬隼子読み終わった社会で「いい子」とされる人になろうとするのは悪いことではなくて、なんならそれが楽だからそうしている。 でも、それでいい子になりきった自分には社会の皺寄せのようなものが押し寄せる。 「割に合わない」と感じること、それを受け入れるのではなくすこしだけでも抗ってみること。 この小説の表題作『いい子のあくび』で描かれているのはそんな感情だと思った。 高瀬隼子さんの作品はいつも、心の見えていなかった部分に黒ずみがあったことを教えてくれる。 - 2026年6月15日
滅びの前のシャングリラ凪良ゆう読み終わったある日突然、世界中の人たちに同時に余命が宣告される。 人々はパニックになり、嘆き悲しみ、絶望する。 そんな世界でも生きようとする人たちの物語だった。 残された時間をどう生きるか。 世界が滅びることはなくとも、その問いは生きている限りいつでも目の前にあることを思い知らされた。 - 2026年5月30日
本屋さんのある街で一穂ミチ,三浦しをん,凪良ゆう,坂木司,瀬尾まいこ読み終わった本屋さんってこんなに素敵なんだよ!という全肯定のほんわか物語が続くのかと思っていたら、とってもいい意味で違って良かった。さまざまな人間模様、それぞれの人生のなかで、本屋さんという場所が存在する。そこで出会うのは本という物質だけではないんだということを、物語を通してあらためて感じた。本屋さんのある街が、いつまでもあたりまえであってほしい。 - 2026年5月25日
アタラクシア金原ひとみ読み終わったものすごくエネルギッシュに生きている女性たちの迷いや葛藤や欲望が渦巻いていた。振り落とされないように必死でくらいつくみたいな読書体験、マジで金原ひとみ作品のドライブ感でしか味わえない。 - 2026年5月18日
私をくいとめて綿矢りさ読み終わった33歳独身女性が、仕事に恋にと奮闘する物語。でありつつ、自分や他者との対話についての物語だった。 いまの時代の先取りすぎる設定。令和のいま出会えたことで、さらにおもしろく読めたんだと思う。 主人公は、頭の中でもう一人の自分(A)と対話しながら生きている。なんでもすぐに相談して、雑談して、心の拠り所になっている。それはもう、まさにいまの時代の対話型AI、チャッピーと呼ばれる存在そのものだった。 Aとの意見が微妙にずれたとき、そもそも対話ができなくなったとき、「私」という存在はどうなってしまうのか。そんな問いの答えを求めるようにページをめくった。 - 2026年4月19日
百年と一日柴崎友香読み終わったなにが起きるわけでもない。 ただ続いていく時間のなかでの、ほんのすこしを切り取ってながめるような時間。 そこで生きている人たちには、みんなそれぞれの生活がある。 なにが起きるわけでもないのに、胸がじんわりとあたたかくなった。 - 2026年4月10日
デクリネゾン金原ひとみ読み終わったままならない生活を送る主人公。仕事に育児に恋愛に、なんのためにそこまで?と疑問を持ってしまうほどに激しく狂うように生きている。なんのためにそこまで?と途中で思わずに一緒に走り抜けている気がしてしまったのは、この物語が突き進んだコロナ禍を自分自身も経験しているからだと思う。たしかにあの頃はみんなままならない生活を送っていた。あの頃の息苦しさや怒りが保存されている物語。もっと時代が遠くなってからも読みたい。 - 2026年3月31日
夜空に浮かぶ欠けた月たち窪美澄読み終わった「でも、私はこういうふうにしか生きることができなかった。」(p247) 心が疲れてしまった経験はたぶん大人ならみんなある。頑張りすぎることも立ち止まることもある。少しだけ弱ってしまった心に優しく手をあててくれる物語だった。欠けていても月は綺麗で、だからこういうふうにしか生きれなかった自分をそのまま肯定してもいい。
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