たゆたえども沈まず

85件の記録
- さくらゆ@skryuh_2025年8月9日お気に入り読んだ読み始めて、ゴッホの研究をしている人や、その関連の人がゴッホ作品やゴッホの真相を追い求めるみたいな物語なのかなと思ったのですが、全く違って正にゴッホが生きた時代の、当人たちの物語でした。 美術史文学に初めて触れましたが、歴史文学があるのだから、美術のそれがあってもおかしくないんですよね。何も歴史は戦、抗争だけではないですもんね。 恐らく、研究で未だ解明されていない余白の部分を埋めるような、原田マハさんの解釈を込めた、ひとつのゴッホの物語。「あの作品たちをこういう言葉で表すのか…!」と作品を見る目も養える美しい文章でした。 《肖像画》のエピソードはテオと一緒に涙しますし、《星月夜》のエピソードは一文読む度に心震えて涙がぽろぽろ溢れます。 お互いを思い合ってるのに報われない生涯は本当にやり切れない。
- 田中@Imada_desu2025年8月5日読み終わった読みながら、思わず涙が溢れ出た。 最後まで読み終わった瞬間、慌てて最初の章を読み返したくなる。そして、謎を解いたような快感に耽ってしまう。 テオとフィンセントの、兄弟としての関係を超えて、心の中で深く結びついていた運命共同体のような感情。兄弟で暮らしぶりは違いながらも、当時では進み過ぎている感性、卓越した芸術観の可能性を信じ続けながら他者からの理解を求め、思い詰めがちで、どこか満たされない根本的な部分がそっくりな兄弟が悩み、模索しながら支え合い、生き抜き、選択した運命に、涙を流さずにはいられない。 フランスに魅せられ、パリの地で強く有り続ける林という実在の人物と、同じくフランスに執心する心優しく、情け深い日本男児である重吉の二人とファン・ゴッホ兄弟の架空の出会いが織りなす、傑作だと思った。 原田マハさんの紡がれるこの19世紀末の想像の世界は、なんと色鮮やかで私達の生きるこの瞬間に、五感で感じられるようなのか。私はこの時代に彼等が本当に存在していて、会話を交わし、この出来事は原田マハさんが体験した事実なのでは?と思いたくて仕方がない。 ファン・ゴッホ兄弟や印象派という存在に私達が理由もなく惹かれるのは、彼らが日本の芸術を、浮世絵をこよなく愛し、その風を自らの作品や価値観に取り入れようとしたからかもしれない。 時代が追いついたこの現代で、評価され、世界中から愛されるファン・ゴッホ兄弟やそれに関連する功績者に、益々興味が湧いた。
- Mana@norimaki_arale2025年5月20日読み終わった史実に基づいた物語で、映画でよくあるような先の読めないハラハラする展開はないにも関わらず、日常に潜む情景の描写が臨場感にあふれていて、タイトルに呼応するかのように心が揺蕩う場面が何度もあった。原田マハさんの、目の前に広がる景色の表現の仕方が好き。違う作品も読んでみたい。
- とらこ@RDs00872025年5月19日読み終わった図書館で借りたReadsで知った「たゆたえども沈まず」とはパリのこと 兄ゴッホの唯一無二の才能を信じ続けるテオ 言動に翻弄され、時に憎み、それでも愛情の全てを注ぐひたむきさが切ない
- とうふ@tofu2025年4月22日読み終わった読んでいる間、ずっと胸が高鳴っていた。 結末を知っているからこその緊張もあった。 華やかなパリの、たった2人の兄弟の話。 この気持ちは、ちょっと引きずりそう。
- 背等体@yomotuhegui2025年3月21日買ったずっと気になっていた。平置きされていると表紙の求心力がすごい。目線がどうしてもこちらと、リボルバーと題打たれたひまわりの装丁の2冊を見てしまう。
- かにまる@kanimaruko2025年1月1日かつて読んだまた読みたい心に残る一節フィクションではあるものの実在する人物の話なので、ゴッホは何を思って絵を描いていたのか、世の中に存在する物や人がどう映っていたのか、そんなことを考えるようになった。