家守綺譚

50件の記録
- あずき(小豆書房)@azukishobo2025年6月3日読み終わった山に囲まれた田舎に住んでいると、精霊か化け物か、木や花や河童や小鬼などが作中に数多出没しても、主人公の綿貫と同様、驚きはするものの違和感なく受け入れてしまう。都会で読むとまた違った印象なんだろうか。 梅雨時の日本家屋によく似合う。
- 佐倉侑@skryuh_2025年5月28日読んだ好きな作家四季折々の植物を愛で、異界のものとの交流に翻弄されつつ異界のものを拒まない、理解しようとする、美しいとさえ思う、優しいお話でした。 先に『村田エフェンディ滞土録』を読んだので順番が前後してしまいましたが、こちらに登場した友人であり帰国後の下宿先となる綿貫が本書の主人公でした。『滞土録』の最後での綿貫と高堂の不思議な関係性の正体が『家守綺譚』で描かれているので、再読するとこのシーンの理解が深まります。「訳知り顔の犬」と書かれていた犬の解像度も上がるので、登場の様子にほろりと涙腺が緩んだり。 ただ、サラマンドラについては読み逃したのか、もしくは『家守綺譚』の続編があるのか、読み解けなかったですね。『家守綺譚』から『滞土録』の間にまだ何かありそうな気がしますね。探してみます。 「与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。こういう生活は、私の精神を養わない」 「精神を養う」という言葉は、『西の魔女が死んだ』の「魂は成長したがっている」という言葉と同じ。魔女になるための土台は精神力。魔女に必要なのは「自分で決める力」。トレーニングは自分を律することから始まる。「刻苦して自分で掴む理想」も言いたいことは似ている気がする。 生きる上での苦しみは、精神を養い、魂を成長させる。魂はそれを望んでいるのだから、自分を刻苦させることから逃げない。強い精神力を持って生きる。ことの推奨。 自分の「生」から逃げない。ということ。
- 松本真波@_mm1771772025年5月25日読み終わった読書日記@ 自宅私はこの作品で、主人公の綿貫が「自分の居場所」を獲得した事にとても感動を覚える。 所々に漏れる彼の本音(特に犬のゴローに対して)からは、どうも彼の実家暮らしで傷付いた過去が感じられる。 彼の名は「綿貫征四郎」、ということは四男の可能性が高い。それを踏まえて以下の彼がゴローに言ったセリフを見ると胸が苦しくなる。 「追い出さないだけのことだ。別に頼んでいてもらう訳じゃないからね。」 当時の価値観で言えば、長男が体丈夫であれば、そりゃ四男なんていても居なくても同じだろう。むしろ、居られる方が迷惑だったのかもしれない。 また、このセリフも考えさせられる。 「ゴローはその生来の甲斐性で確実に自分の生きる場所を確保してきたのだ。」 綿貫にとって、ゴローはなりたかった自分の姿そのものだったのではないだろうか。そんなゴローが、綿貫の側で寄り添ってくれていたのは内心嬉しかっただろうし、心強かったと思う。 そして最後。今まで亡き友人の実家で家守として住んでいることを何とも思っていなさそうな様子であった綿貫が、その実とても友人の事を大切に思っていたと感じさせる余韻ある文章がとても良かった。
- 群青@mikanyama2025年5月21日買ったかつて読んだまた読みたいふと思い出した神坂雪佳「雪中竹」の雀にやられてジャケ買いしたら、中身にもやられた本。 新潮社「波」で2022年から近藤ようこが漫画化。これもいつか単行本になるといいな。
- あさぎ書房@ASAGI_BOOKS2025年5月14日読み終わった疲れた心に静かに染みいって、心地よくひろがってくる物語。 主人公はおそらく三高生で、わたしの先輩ということも嬉しい。庭、日本家屋、竹林、寺、疏水、そして友と犬。こんな暮らしがしたい。ずっと憧れ、そしてお守りのような小説。
- 松本真波@_mm1771772025年5月13日読み始めた再読中@ 自宅朗読の先輩が今度の朗読会で扱うとのことで。 私にとっても非常に思い出深い作品。初めて読んだのはもう10年以上も前。今読んだ時、どんな感想を持つのか自分でも楽しみ。
- kasa@tool2025年3月29日この本は衝撃だった。 河童とか急に出てきてびっくりしながら読んでけど、最後にはめちゃくちゃこの世界に浸って楽しくなっていた。 この本で梨木香歩さんを知り、それからエッセイなど読み漁ったら、梨木さんの興味あるものが下地になっているのが感じられた