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@sukima_
記録(’25/3/6〜)とふんわり読書感想 持久力と多読/併読の筋肉を鍛える
  • 2025年5月25日
    春のこわいもの
    春のこわいもの
    春の芽吹きや新たなスタート、出会いの予感といった季節の爽やかさを見事に逆行していく。 おぞましい何かが生まれ、蠢き、這い出でてくるような不穏さ、湧き上がる制御不能な暴力性、衝動、正当化されていく理不尽などをふんだんに詰め込んだ短編集。 春特有の陽気に当てられ脳内がくつくつと沸き上がりその鬱屈とも言える熱に侵されて狂気に触れてしまう模様や、出会いと別れに思いを馳せ回想したり都合よく美化したり思い込んだりとそういった誰でも一つ/一度くらいは経験、持て余したことのある暗く湿った生々しい感情が、コロナ禍と掛け合わさることで窮屈さと陰鬱さを更に膨れ上がらせている。 そういった背景、描写がリアリティに溢れていて好みだった。
  • 2025年5月23日
    杉森くんを殺すには
    杉森くんを殺すには
    これはあたたかな心の再生の物語であり、あらゆる可能性と方法の中から一部取り上げたケアに関する指南書のような印象を受けた。 そこからは強い切実性が感じられる。 身近な人が自死を選択してしまった場合の向き合い方、受け止め方、自身の心の守り方、乗り越え方などが主人公の周囲を巻き込みながら描かれている。 わたし自身双方の立場/当事者の経験があり、共感や感情移入する場面が非常に多く気持ちが板挟みに合い涙なしには読めなかった。 特に主人公が罪の意識から「杉森くんを殺す」他なかったことや、救済を求める代償/引き換えとして自罰的な立ち振る舞い/言動を繰り返すシーンは痛々しくていたたまれなかった。 頼る/頼られるにしてもたった一つの依存先ではなく、たくさんの隣人を作る/作っておくことが大切なのだと改めて思い知らされた。 一時的に雨風が凌げる止まり木のような存在にわたしはなりたい。
  • 2025年5月10日
  • 2025年4月30日
    このあたりの人たち
    断片的だけど連続する掴み所のない夢を見ていたかのような後味を残す掌編小説。 不穏で生温い質感が堪らなく癖になる。 軽快なスキップを踏むように何度も空間ごと時間が伸縮する為、体感的にも疲労感的にも掌編以上の長さ/時間と濃さを感じる。 脳内で想像はできるものの現実味を帯びることはなく、透明な布がするりと通り抜けていくような不気味な感覚に陥るが、世界観を体全体で体感できたような不思議な一体感が得られた。 夢の中でもしようと思わない、バカバカしくてしかし倫理的に現実では決してできないことを実践し、達成したかのような高揚感にも似た限りなく薄い幸福感が読後に纏わり付く。
  • 2025年4月29日
    ハサミ男
    ハサミ男
    文体が硬質で且つ緻密な描写量に少々胃もたれ/中弛みしてしまい中盤を抜けるまで苦労した。 しかし終盤でまんまと叙述トリックに騙され、読後は本当に矛盾がなかったかどうか何度も確認/読み返したくなる巧みな一冊となっている。 どうやらわたしは読み始める前から騙されていたらしい。
  • 2025年4月17日
    ストーリー・セラー
    ずっと読みたくて温めていた一冊。 中編で二部構成されているとある夫婦の(ラブ)ストーリー。 ドキドキハラハラしたり、あまりのリアリティに胸が苦しくなったり、side:Aでは泣いてしまうシーンもあり感情を揺さぶられる度に強く引き込まれた。 良い裏切りと驚きがあり、着地では柔らかな風を感じられる。 文字の羅列でいっぱいな開きを見た時の狂気/執念と純愛が入り交じったような感覚に身の毛がよだった余韻が忘れられない。 夫の台詞一つ一つが本当に素敵で、夫から妻へ、妻から夫へ宛てた超長文のラブレターのよう。
  • 2025年4月17日
    俺ではない炎上
    緊迫感のある逃亡劇‪×社会派ミステリ。 SNSの使い方や対人関係等で「自分は悪くない」と正当化する/保身に走る人間の醜さ、そしてそれを肯定する為の(無自覚な)思い込みの怖さを鋭くリアルに描いている。 間違いなんてものは本当の意味で存在しないのかもしれないが、失敗を自覚した先にある反省と前進が何よりも大切なのだと身に染みて感じた。停滞は恐ろしい。 鮮やかな伏線回収とトリック/タネ明かしで「騙された」「そう来たか」と感じる心地の良さが最高の読後感を与えてくれる。 寡黙で表情に乏しく誤解されやすいが、誰よりも見る目が冴え他者の言葉を鵜呑みにせず己を貫いた青江というキャラクターに惚れた。
  • 2025年4月15日
    人魚が逃げた
    人魚が逃げた
    くすりと笑えたり、共感したり、考えさせられたり、時折胸をきゅっと掴まれたりもする心温まる優しい連続短編集。 読後はやわらかな多幸感に包まれる。 童話『人魚姫』を通じて様々な人物が人生の岐路と重ね合わせ、思考し、巡らせ、思い直しながら前身する様や、それぞれの人魚姫/王子様像を追い求めたり個々による童話『人魚姫』の解釈の差は読み応えがあり特によかった。 落ちで急にファンタジーに舵を切ったように感じ少し驚いたがそれもまた人それぞれの感じ方があるのだろうと思う。 あなただけの人魚を探しながら読んでみてほしい。
  • 2025年4月13日
    母という呪縛 娘という牢獄
    生々しさを感じながらも自身の苦い過去やトラウマから自己防衛によるフィルターが自動的にかかり、どうしても読み物のような感覚が抜けず、何度も確認しながら読み進めた。 創り物であってほしいと願い、苦しみ、藻掻きながらも読む手を止められなかった。 これからの人生、希望と救いの中で穏やかに生きてほしいと願わずにはいられない。
  • 2025年4月12日
    すべての、白いものたちの (河出文庫)
    散文詩のようなフォトエッセイのような抒情詩/小説然。 解説/補足で紐解かれる仕掛けを踏まえて再読すると見方/見え方ががらりと変貌し、より一層面白みが増す。 祈りが宿る静かで美しい文章はどこまでも純白で、わたしを強くしてくれるお守りのよう。
  • 2025年4月12日
    バリ山行
    バリ山行
    登山や建築関係に明るくなく序盤は専門用語を調べながら読み進めた為に進行が悪くかなり苦戦した。 自然の雄大さ自由度の高さ、そして怖さを臨場感たっぷりに楽しめる作品。 仕事や家族、それに付随する人間関係そのものと登山が上手く絡み合い、違和感なくリアルに描かれている。 終始漂う不穏さが後味として作品にマッチしており個人的に好み。妻鹿という人物(興味)に強く惹かれる。
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