海辺のカフカ(上巻)

41件の記録
- 数奇@suuqi2025年4月10日読み終わった読むのは三度目。初めて読んだ高校生の頃はあまり好きになれなかったけど、読むたびに少しずつ理解できてくる感じがある。描いているのは抽象的な概念なのに、続きが気になるストーリーテリングが上手い作家だなあと改めて実感する。
- ゆる@yurumogu2025年4月4日読んでる今のところ好きなのはカフカ少年のパート。大島さんがとても良い味。ファンタジーだと思っていたナカタさんパートが一番とんでもない展開に満ちていてハラハラする
- かゆ@yui_kayu2025年3月7日かつて読んだまたいつかこれも村上春樹の中でかなり上位に好き。高校生のとき蜷川幸雄の舞台見に行ったなー。舞台はあんまりだった気がするけど好きな人と見に行けて感想を語りあった、なんだかくすぐったい記憶がある
- 猫@mao10122025年3月6日かつて読んだ誰も自分のことを知らない場所に行きたい、そんな現実からの逃避をしていた頃にたまたま手に取った作品。 ナカタさんとカフカが今後どういう形で交わり、関わっていくのかが非常に気になる。大島さんが個人的にはかなり好み。
- mkaizyuu@waita2562024年9月8日読み終わった私が最初に印象を持ったセリフは以下である。 「頭がよくても悪くても、字が書けても書けなくても、影がちゃんとあってもなくても、みんなそのときが参りますれば、順々に死にます。」 本作の大きなテーマの一つは過去と未来、すなわち時間である。我々は得てして、時間は必然的に流れていると考えがちである。 しかし、それは時間が流れていることを意識しているからそう感じるだけであって、猫たちのように時間の流れを感じない者にとっては時間は 不存在のものなのである。つまり、時間はそれほど大事な問題ではない。 そして、そんな猫たちと会話できる存在としてナカタが登場する。そんな彼もまた、一貫して時間という概念を持たない。 時間がないから未来もない。未来がないから死を恐れる必要もない。彼の上記のセリフにはそういう背景がある。 時間の概念を持ち合わせないナカタは他の多くの概念についても持ち合わせない。例えば「飽き」と「記憶」である。 「ナカタには思い出というものはありません。ですから、サエキさんがおっしゃる『苦しい』という気持ちは、ナカタにはうまく 理解できないものであります。」先述した、死を恐れないという事とも関連するが、我々は往々にして過去を後悔し、 未来を恐れている。勿論その逆もあろうが、トータルで過去と未来にポジティブな感情を抱いている人がどれほどいるだろうか。 本作はナカタの言動を通して、時間から解放されることの喜びと、時間がもたらす苦しみを我々に訴えている。 この命題は村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」にも登場する。 「時々僕は自分が一時間ごとに齢を取っていくような気さえする。そして恐しい事に、それは真実なのだ。」 「風の歌を聴け」を読んだ私はこの命題に対して自分なりの答えを出した。 それは、 結局のところ死んだらそれで終わりなのだから、 不確実な未来に怯えて過ごすよりも、今をどう楽しむかに全力になった方が楽しいというものである。 これは、実にナカタの思考に近い。 事実として、未来は不安をもたらす。だから上記のような生き方は望ましいと思える。しかし、これでは不十分である。不十分で不親切でもある。 何故なら、我々が人間である以上、過去と未来を我々の中から完全に消し去ることはできないからである。本作は、この問題に対して結論を出している。 その一つは、「いいかい、それはもうすでに起こってしまったことなんだ」というマインドである。つまり、過去をそれそのもとして受け入れろ ということである。また、「言いかえれば、君は彼女をゆるさなくちゃいけない。それはもちろん簡単なことじゃない。でもそうしなくちゃいけない。 それが君にとっての唯一の救いになる。」 つまり、未来に対して希望を抱けということも語っている。過去を受け入れ、そこから未来への希望を抱け。 それはなんと荒唐無稽で平凡で肩透かしを喰らうような結論だろう。 だが、私にとっては「風の歌を聴け」から「海辺のカフカ」を通してこのような 結論に至ったことは救い以外の何者でもないし、大きな意味を持つのである。