恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

32件の記録
- noko@nokonoko2025年8月28日読み終わった借りてきた心に残る一節「タイラ」は、眼鏡をかけてセーターを着ていた。眼鏡にもセーターにも恨みはないが、眼鏡が似合っていることやセーターが上等そうなことも、少しいまいましかった。 「なんだか緊張してる?」 カズがささやいた。 「自分にいろいろ言い聞かせてる」 「何を?」 「フレキシビリティを持ちなさい持ちなさい持ちなさい、って」 ぼくは九十歳を超えて生きてしまったのだから、きみももしかするとそのくらいまで生きるかもしれないよ。そうすると、あと三十年近く生きるっていうことだろう。三十年間の計画を、ちゃんとたてたまえよ。 父のその言葉に、めまいをおぼえた。そもそも今までの人生、計画をたてたことは一度もなかった。流されつづけた人生。 カズの顔が、見知らぬ顔になっている。いつもいつも、親しい人たちは、見知らぬ顔になり、また知った顔に戻る。 わたしたちは、いったいどこに行くのだろう。年若いころのように、とりとめなく思う。生まれてそして死ぬという時間の間に、いったいわたひたちはどのくらいたくさんのことを感じ、考え、忘れてゆくのだろう。
- ゆう@suisuiu2025年8月2日読み終わった幼少期にアメリカで暮らしていた60代の人たちが日本で巡り合い、これまでのことを思い出しながら今をつながり合って暮らす記憶と反芻の物語。 今までたくさんの川上弘美作品をそれこそ子どもの頃から読んできて、安易に1番とか言いたくないんだけどそれでも思わずそう言いたくなるのは、わたし自身に記憶と反芻の時間が少しずつ増えてきたからなのかもしれない。
- ゆう@suisuiu2025年7月29日読んでるとても良い。 6-7月、想定以上にめまぐるしくうねうねとまめまめと働きんぐ(働くのing形)で先週、久しぶりに本屋さんに行った。当たり前だけど本も雑誌も漫画も絵本もめちゃくちゃそこに存在していて小躍り。うへへ。こんなに読めていない本がある!知らない漫画がある!ということでいくつかまとめて本を買った。特に小説が足りていなかったのだという気付き。仕事でさらうべき本や映像を優先していたけれど、物語分の不足、物語や物語、ああ物語よと恋ははかない!
- 金魚鉢とと子@kingyonoshippo2025年7月15日読み終わった借りてきた仕事をさぼって読書する雨の日にぴったりだった。そうかー、「六十歳を過ぎても、よるべない心もちで生きる」のだな、たぶんわたしも。よるべない心もちのまま、たまに他人のたましいと少し近づいたりやっぱり離れたりしながら生きてく。悪くないなあ。