ひとごと
43件の記録
Ryu@dododokado2026年3月11日読み終わったかつて読んだまた読んでる「空間のことを考えている。感染経路、クラスター。そこで問題になっているのはつねにウイルスの換喩だ。なにを経路としなにをクラスターとするのかは人為的に決定される。ウィルスは細胞を宿主とするがわれわれはウィルスを増殖させる細胞群をクラスターとは呼ばない。武漢はクラスターだろうか。飛行機は経路だろうかクラスターだろうか。ダイヤモンド・プリンセス号は、パチンコ店は、通勤電車は、不謹慎な旅行者は......たしかにわれわれ(これも換喩だ)はウィルスに対していまのところ換喩のレベルでしか介入できないが、こうした換喩は社会的な価値づけをともなっているということも警戒され続けるべきだろう。換喩ドリブンのソーシャルなディスタンス。ソーシャル・ディスタンスと聞くといつも社交ダンスを連想してしまう。」44 「ここに経路とクラスターという換喩による清潔=自粛/不潔=不謹慎の分割、その究極的なバージョンとしての地球平面説、インスタレーションをめぐるアンチ・フォーマリズム的な実践と言説が結線する。同時に気になってくるのは、ここでは隠喩的でないリテラルな実体とされるネットワークは本当にそのようなものとして考えることができるのかということだ。つまりこのテクストで、隠喩でしかないものとされるカギカッコつきの「空間」というもののリテラリティはネットワークに還元可能なのだろうか。新型コロナウイルスをめくる状況にせよあるいは喫煙者排除の傾向にせよ、むしろ拡がりとしてのリテラルな空間を抑圧して、壁や経路やキャリアーといった換喩の総体によって構成される隠喩としての「ネットワーク」に依存しているように思われるからだ。どうしてこのテクストではつねに空間化と隠喩化はイコールでつながれたものとして考えられているのだろうか。隠喩でない空間などなく、ネットワークとその綻びに潜む不気味なものだけが存在するのだろうか。」58-9 「これはインスタレーション・アートにおいてフォーマリズム(主体性の滅却)でも制度批判やアクティブあるいはインタラクティブな鑑賞(なにかの中にいるということの絶対化)でもなく、なにかの中にいるということの不確実性を考えるということとひとつながりになっている。「ありうる(pouvoir)」ということを、「ある/ない」の決定(それが事後的なものであれ束の間のものであれ)において考えるのではなく、「あってもいいし、なくてもいい」という非決定においてポジティブに考えること。この差異はドゥルーズ(とガタリ)の概念で言えば「離接的綜合の排他的用法(あれか、これか)」と「離接的綜合の包括的用法(あれであれ、これであれ)」の対立にあたる。 そして可能なものを主体の中心化の契機としてでなく世界への霧消の契機として考えることは、換喩というものの排他的でない用法を考えることにつながるように思われる。窓に映った光は太陽の換喩なのだろうか詩人の換喩なのだろうか。」68 「やさしさが宿るのは、だれかと一緒にどろどろにとろけてしまうことのできない悲しさの距離のなかであるとともに、だれかのふりをして、だれかの代わりに話す嘘のなかだ。お墓のうしろでだれかが代わりに応えてくれている。やさしさはひとにだれかのふりをさせる。共感の時代を「私は私、われわれはわれわれ、お前はお前」の時代にしないやさしさの実験を、その対決の恐ろしさとともにこの本は引き受けている。」115 「見ることと書くことのあいだにある回路は、この事実と比喩が識別不可能になる点をめぐっているように思える(『シネマ』にはこれに近いことを指す「結晶イメージ」という概念が出てくる)。見たものを書いているのか、頭のなかに書いてしまったものを見ているのか。それらは前後し、すれ違い、反転する。これはたんに見まちがいを擁護するということではない。「見て、書く」ことの読点に、哲学さえもそこに含まれるフィクションとしての創造の原器を、僕は見ている。」147 「ふたつめの軸は〈イベントフルネス/イベントレスネス〉で、ひとことで言えば暇であること、書くべきことの少なさに対応するような言葉のありかたに興味があった。メタテクストの全面化が言葉の形式面に関わることだとすれば、内容面には論説するべきオピニオンやシェアするべきイベントの横溢があり、その両面にそつなく対応することがソーシャル・スキルなのだということになる。」165 「つまりこういうことだ。一方にしゃちこばったセルフディシプリン、つまり社会人としての自己管理があって、他方に律せられたりある程度許容されたりする不埒さがあるのではない。あるいは一方に「日常」や「暮らし」という言葉に託されるような微温的な持続があって、他方に冷たい社会の荒波があるのでもない。自己を律するのも何気ない日常を愛でるのも、日記を長続きさせるのに十分な態度ではない。なぜなら、最初に言ったように、毎日日記を書くということはつまらない文章を書くということで、そのつまらなさはこのふたつの態度のいずれからも逸脱しているからだ。 日記がつまらなくなるのは、日々がどうしようもなくつまらなさに巻き込まれているからだ。しかし、日記を書き続けるということは、そのときどきのつまらなさすら、恥も外聞もなく通り過ぎられる気分のひとつにすることでもある。」205 「作品の単位性、歴史の単線性(に対するマイナーな歴史による抵抗)、理論(抽象)と実践(具体)の分割といった前提を廣瀬氏は条件にしているように思われるが、私は作品の経験が霧消し、そもそもメジャーな歴史がなく、言葉とイメージが同一平面で干渉するような状況を前提としている。だからこそ、そこにある危うさにあたらかぎり自覚的でありながら、時間イメージ的な生成を映画から解き放ったうえで「選択」し、そこに賭けたのだ。「作品未満」のものに取り込まれることの貧しさ、そこにいる私たちに固有の創造性のために。」217
socotsu@shelf_soya2026年2月13日心に残る一節p.109 誰かと親密になるということは、そのひとの固有性を見いだすことかもしれないし、そのひとでなくもなさを様々にストックしていくことかもしれない。後者の場合それは他の誰かに重なり合い、いつか会う誰かにその面影を見たり、そもそもいつかの誰かの面影を見たからそのひとと仲良くなったのかもしれない。


socotsu@shelf_soya2026年2月13日読み終わったコミュニケーションがないのではなくコミュニケーションしかないことへのさみしさ、日記を書き続けることについての文章がよかった。『置き配的』も読む。


socotsu@shelf_soya2026年2月11日読んでる善人、悪人、馬鹿者のたとえにおける「善人と悪人」「馬鹿者」(一人一人の人ではなく、自分の中に全ている存在)は、近代における自己決定が可能な存在こそがただしい人間、という枠組みをずらす考え方のひとつととらえた。『他者といる技法』のことも思い出している。


socotsu@shelf_soya2026年2月10日心に残る一節読書メモp.10より 「ひとごと」とは、あたうかぎり慎重な曖昧さで定義しておくと、ある他者が私を主体でなくしてしまい、ふたたび我に返ったときに私がその他者に感じる、醒めた感じ、である。そこで立っている杖、から、眼を逸らすことができるのは、杖が放っておいても立っているからであり、同時に、私もまたどこかしらそうであるからだろう。 道徳も真理も腐りきっているとしたら、いったいひとは何を拠り所にして生きていけばよいのか。そんなものはない。しかしそれはたんに人生の厳しさであるだけでなく、楽しさや喜び、あるいは優しさの条件であるだろう。雑多な文章が収められたこの本に通底するのは、「ひとごと」との距離のうちにある、そのようなポジティブな条件の探究である。 私が自分であったり自分でなくなったりすることを可能にしてくれる他者。主体としての私は誰かに対してそのような他者であることはないかもしれないが、私が知らないあいだに私から剥がれる何かは、誰かにとっての自立する杖かもしれない。
Ryu@dododokado2025年11月22日読んでる「ポシブル、パサブル」だけ読み返した 「空間とはpossible なものの空間であり、それは放っておけるということと(あてもなく)通過できるということにおいてpassable だ。そもそも可能と不可能は対称な関係にない。不可能なものは絶対にできないが、可能なものはありうるがそれはたんにありうるだけだ。そこにはミニマムな複数性がすでに埋め込まれている。そしてそのつどの可能なものに私がくっつき、それとともに私は「いてもいいし、いなくてもいい」ものになる。パンデミックによってどこにいてもそこが「いるべき場所」か「いてはならない場所」のいずれかでしかないような状況において、あるいはもっと広く、つねにSNSやGPSや閲覧・購買データのトラッキングによって「そこにいるのかいないのか」、「どこから来たのか」と探られるような状況において求められるのは、どこへ行ってもおなじだという居直りでも、ユートピアとセットになったグローバリズムでも、あるいは独りで閉じこもるプライバシーの権利主張でもなく、いてもいなくてもよくなることではないだろうか。」(71-2)
しらすアイス@shirasu_aisu2025年3月22日読み終わらないうちに返却期限がきたやっと文章のリズムに慣れて読めるようになってきたところだけど返却。読めた中では「長続きしないことについて」という日記に関するテキストが良かった。












































