10:04

61件の記録
- kasa@tool2025年5月1日読み終わった「単に消えたというのではなく、遡及的に抹消されたかのようだった。そうした瞬間は、到来しなかった未来によって可能になっていたので、現実に訪れたこの未来からは思い出すことができない。それは写真から消えてしまったのだ。」 読んで数日経っても余韻が残っている。 一回読んだだけでは足りない面白さ。 訳者あとがきから読んでもいいかもしれない。
- 山口慎太朗@shintaro_yamaguchi2025年4月14日読んでるかつて読んだ山手線のホーム、数日前にスリンキーとバックトゥッザフュッチャを見ていたら思い出したこの本、開くと昔の自分が少しでも良い文章を書きたくて一見無駄なやけくそな努力をしていた、俺が脚本を書いた映画が早稲田松竹で上映されるからその物販を納品しに行く駅のホームだよ、凄まじい山の中からいきなり東京なんかにやってきた十八歳、人に酔いながら勇気を出して入った早稲田松竹でバックトゥザフューチャーを見た
- 阿久津隆@akttkc2025年3月21日読んでる早めに店を出、『10:04』を読みながら帰る。パーティーの場面で、コカインでダウンした研修生の横で、「峠は過ぎた。僕はあなたとともにある。そして事の次第を知っている」と言うところ。それから朝の光を見に行くところ。胸いっぱい。ここの夜のところではお気に入りの場面というか、何度読んでもやっぱりくすっとしてしまうところがあってパーティーへの参加を誘われた語り手が「僕は、そろそろ家に戻って、(実際にはそのつもりもないのに)小説に取り掛かろうと思うと言った。しばらくすると、僕ら四人は暗闇の中を車でパーティーに向かっていた」のところとコカインの吸引を誘われたときにいろいろ迷った末に「僕は吸わないことに決めた。でも、そう決断したのは、テーブルのガラス天板に置かれていた一筋の粉を吸引し終わって顔を上げた後だった」のところで、行動の急旋回というか行動が決定を楽々と裏切る様子がすごく好き。ウディ・アレンの文法という感じがする。この素っ頓狂さを僕は愛す。
- 阿久津隆@akttkc2025年3月19日読んでるマーファの夜のドライブ。建物のガラス窓に近づいて、目の周りを両手でぴったり覆って中を見ると、ジョン・チェンバレンの彫刻作品が闇の中でぼんやりと見えてくる、「金属でできた巨大な花をつぶしたような、あるいは爆発がそのまま凍り付いたようなもの」が強烈に目に迫ってくる、その場面が鮮やかだった。
- 阿久津隆@akttkc2025年3月18日読んでる何か消沈した気持ちで家に帰り、豚肉とブロッコリーと長ネギとしめじとキャベツの炒め物をこしらえバクバク食べる。そして布団に入り、『10:04』。エージェントとタコを食べ日本酒を飲む場面になり、このあとアーティスト・イン・レジデンスでマーファに行く話に。そうだそれがあった。いくつかの場面を思い出した。この小説はけっこう、絢爛なんだよな、と思う。印象以上に、すごくたくさんの場面がある。 それにしても、「6桁強」という言い方だった長編小説の前払金は手取り27万ドルということで、そんなにもらえるの!? と驚く。読んでいても節々で、アメリカでは詩人はこんなにいい暮らしをできるの? とびっくりする。
- 阿久津隆@akttkc2025年3月17日読んでる引き続き眠りは浅いのか、6時前に遊ちゃんが家を出たところで目覚めるとそのまましばらく眠れなくなった。『10:04』を開いてロベルトをアメリカ自然史博物館に連れていく場面で、ここは嫌な緊迫感がある、語り手と同期して嫌な汗をかく感じがあって、何事も起きませんように、と思いながら読んで、プレッシャーに耐えきれなくなって途中で閉じ、瞼も閉じた。
- 阿久津隆@akttkc2025年3月16日読んでる布団、『10:04』。スピーチのところから。このスピーチは本当にすごいスピーチで、何度も何度もそうあったはずの過去が組み変わる。不気味で、そしてやむを得ない哄笑もやっぱりすごい。そしてスピーチから食事会になって、「著名な作家」たちが出てきて僕は浮き立った。大好きな場面。愉快な交流の時間が終わり、人々は外に出た。 著名な男性作家は僕たち二人に向かって、今取り組んでいらっしゃる作品―きっと素晴らしいものに違いない―の話を聞く機会がなかったのは本当に残念だと真顔で言った。僕がさらにその上を行く真剣な表情で「僕は以前から、あなたの作品を愛読しています」と返答すると、著名な女性作家はこらえきれない笑いを咳でごまかした。そして、彼女は僕とハグを交わした後、「とにかく全部やってみて」と言った。僕が「全部って?」と訊き返すと、彼女は「とにかく全部」と繰り返し、僕たちはまたハグし合った。僕はその後、南にある地下鉄駅に向かって歩きだし、彼女は疲れきった様子の夫と一緒にタクシーを拾ってイーストサイドに向かった。リンカーンセンターの前では、オペラハウスから続々と出てきた身なりのいい男女が、ライトアップされた噴水の周りにごった返していた。僕は59丁目でブルックリンに戻るDラインの地下鉄に乗り、列車のリズムに合わせて頭の中で繰り返した。とにかく全部、とにかく全部。 p.144 やっぱり泣いちゃった。
- 阿久津隆@akttkc2025年3月14日読んでる『10:04』を開いて読み始めて、夜のハイライン。死ぬまでマッサージされて柔らかくなったタコ。それからアレックスとの散歩の話になって「街を移動する感覚とアレックスとが切り離せなくなって、彼女がいないときも隣に存在を感じるようになった」とあって、僕はここが本当に大好き。「一人で黙って橋を渡るときも、彼女と沈黙を共有しているみたいに感じた」。 彼女がコーヒーを飲んでいるときとかではなく、美術館でその話題を切り出したのは、ひょっとするとそういう場所だと、互いに向き合うのではなく、目の前のキャンバスを一緒に見るせいで散歩のときみたいに視線が平行になる―それは最も親密なやりとりをするときの必要条件だ―からかもしれない。目の前にある文字通りの風景(ビュー)を共同構築しながら、ふたりで見方(ビュー)を話し合うのだ。 p.12 やっぱりここが好きすぎて、遊ちゃんとも「ビュービューだね」としばしば話すけれど、ここが好きすぎて、やっぱり好きだなあ、と思って読む。3度めか4度めかで、ドッグイヤーだらけで、上だけでは足りないので下もたくさん折られている。ずっといい。全部いい。ハリケーンの夜のこの感じもいい。 行列に並んでいるとき、街を歩いているとき、あるいは電車に乗っているときに耳にする会話は全てテーマが共通し始め、間もなく慣習的な隔たりが失われて、誰でも参加できる同じ一つの会話になった。僕はNラインの地下鉄でユニオンスクエア駅近くのホールフーズ・マーケットに向かう途中、敬虔派のユダヤ教徒と紫色の手術着を羽織った西インド系の看護師を相手に潮位予想情報を交換した。カナルストリート駅では、そこにさらに、背中に担いだチェロケースよりも小柄に見える十代の女の子が加わった。 p.22 それから、合流して食べ物を買い込んだふたりはアレックスの部屋で夜を過ごす。アレックスが眠り、語り手は壁に投影した映画を音を消して見ていた。「僕はアレックスの方を向いて、眠っている彼女の体の上に映画の色が揺らめくのを見た」。 僕は彼女の乱れた髪の房を耳に掛け、そのまま指先を顔から首、そしてゆっくりとした一つの動きの中で―たまたまそんなふうになっただけだと、漠然と自分に言い聞かせながら―胸からみぞおちへと這わせた。そして手を髪に戻そうとしたとき、ふと、彼女の目が開いていることに気付いた。そこで目を逸らして自分がまずいことをしていたのを認めるのでなく、しっかりと視線を合わせておくには相当な意志の力が必要だった。彼女の表情にはどうしてそんなことをしているのかという好奇心だけが浮かんでいて、警戒心は感じられなかった。数秒後、もしも何かおかしなことがあったとしたらそれは酔いのせいだと言わんばかりに、僕はワインを入れたジャム瓶に手を伸ばした。視線を彼女の顔に戻したときには、既にその目は閉じられていた。僕はワインを飲まずにジャム瓶を戻し、彼女と並んで横になり、しばらくの間、彼女を見詰めてから、手のひらで髪をなでた。彼女は手を伸ばして―もしかすると無意識に―僕の手をつかみ、自分の胸に押し当てた。それが僕を止めるためなのか、促すためなのかは分からなかった。僕たちはその格好のまま、ハリケーンを待った。 p.29 なんでこんなに感動するのかわからないのだが、驚いたことに涙が頬を何本も伝っていって、手でぬぐった。間男みたいな場面といえばそうだけれども、ここにある親密さにグッとくるのかもしれない。定まった名の与えられていない関係の二人がつくる親密さに感動するのかもしれない。
- 山口慎太朗@shintaro_yamaguchi2024年12月30日読みたいかつて読んだ小説の二周目に突入したことがほぼなかった(大体一回読んだら二度と開かない)んですが、そろそろ二周目に突入しようと思い、そのスタートはこいつだぁ!
- 阿久津隆@akttkc2024年10月31日また読みたい@ 本の読める店fuzkue初台Reads 1.0(14)にアップデートです📍 - 投稿に場所のタグ付けができるようになりました - 場所の投稿一覧の表示とかもできます - コメントへの返信を実装しました - お知らせ欄をすっきりさせました - フィードバックフォームをお知らせ欄に設置しました(ぜひフィードバックいただけたら!)