タイム・シェルター
87件の記録
プールに降る雨@amewayamanai2026年9月7日読み終わったイザベラ・ハンマードの著作で本書の引用箇所を読んだとき、それっていまのことかもと、うすら寒い思いをしたのだった。 “ブルガリアの作家、ゲオルギ・ゴスポディノフの二〇二〇年の小説『タイム・シェルター』において語り手は、歴史は事後的にしか歴史とならないことを指摘しています。第二次世界大戦の始まりについて語り手は次のように言います。「おそらく一九三九年に一九三九年は存在せず、人は頭痛と不安と恐怖を抱きながら目を覚ます。そんな朝が続いていただけなんだ」。” 『見知らぬ人を認識する』p.10 最初、全然頭に入ってこなくて、やはりSFは合わないのかと途中で読むのをやめかけた。が、思いとどまり、訳者あとがきとほかの人の感想を読んで概要を何となくつかんでからふたたび読み進めた。 精神科医ガウスティンは、アルツハイマー症・認知症の治療のためのクリニックを開院する。その治療法とは、さまざまな時代を再現した部屋で、患者にもっとも幸福だった過去を思い出してもらうというものだった。好評を博したそれは、やがて一般利用客にも開放され、さらに拡大して欧州各国の国家プロジェクトになり……。 読みながら混乱した理由は、ガウスティンが時空と虚実のあわいを行き来する存在として描かれるうえに、そこにクリニックの手伝いをする、作者の分身ともいえる「ぼく」の思索と回想、さらに患者の体験などが代わるがわる差し挟まれる構成のためだった。しかし、このように時間とメタ構造の境界をあえて融解させ、読者を振り回す書き方をすることによって、ゴスポディノフは患者の変容した認知機能を主観的に再現しようとしていたのかもしれないと、あとになってから思ったのだった。 戻る時代を決める国民投票が行われる第四章は、欧州の現代史をうっすらとでも知っていたほうが理解しやすい。もしこれが日本で行われるとしたたら、どの時代が選ばれるのか。将来に希望が見出せた高度成長期か、浮かれていたバブル期か、はたまたいっきに戦前まで戻って、こんどは戦勝国を目指すのか……。 “一九三九年九月一日に、ウィスタン・ヒュー・オーデンは、ニューヨークで目覚め、 こう日記に書いている。 Ch.がぼくに裏切りをしている悪夢の夜の後、頭痛で目が覚めた。新聞各紙は、 ドイツがポーランドを攻撃したと書いている……………… さあ、ここに、本当の始まりのなかに、すべてがそろっている──悪夢、戦争、そして頭痛。” p.31 “ねえ、分かるかい、いつの日か、それもすぐ近いうちに、多くの人びとが、自分の意志で記憶を「失くす」ために、すすんで過去に戻って来るようになるから。ますます多くの人びとが、元に戻って洞穴に隠れたいと思うようになるぞ。しっかりした理由があるわけじゃないけれど。ぼくたちは、過去という爆弾を避けるシェルターを準備しなければならないね。お望みなら、それをタイム・シェルターと名づけよう。” p.61 “一九六八年にはまだ一九六八年は存在していなかった、と思う。よー、今、おれたち生きているこの時はさあ、偉大な六八年でよ、歴史に残るんだぜ、なんて、当時、誰も言ってなかった。すべては、それが起きた数年後に起きるのだ・・・・・・。すでに起きたことを起きるようにするためには、時間と物語が必要で・・・・・・、かつての写真を現像すると、薄暗い暗室のなかで画像がゆっくりと浮かび上がるように、遅れてやってくる・・・・・・。おそらく、一九三九年にも一九三九年はなく、頭痛と不安のなかで目覚めた朝があったのだ。” p.347 “ある歴史的事件が実際よりもずっと昔のことのように思われるのはどうしてなのか、 ぼくらは、そんなことは、ともすれば意識することすらない。ぼくが生まれたとき、 第二次大戦は、ほんの二十三年前のことでしかなかったのに、いつもまったく別世紀のように思えたものだ。 気をつけろ、歴史ってのは、バックミラーに見えるよりも、いつもずっと近いんだ ぞ・・・・・・ってガウスティンならこんなことを言いそうだな。” p.374 これは、やはり、いまのことなのかもしれない。

ケイ@flyingkei2026年9月2日読み終わった今日からReadsデビュー。 何が起きるか分からない未来より、何があったか分かっている過去へ。古き良き昔へ、タイム・シェルターへの退避は、個人レベルでは穏やかな幸福をもたらすものかもしれないけれど、国全体での退避となると…? ピークの先には転落があり、復興の前には破壊があるのが歴史。転落に至らぬピーク、破壊を経ない復興を再現することは可能なのか。集団的な「偉大なる過去」への回帰がもたらすディストピア的結末は、幻想とは言えない現実味を帯びていて恐ろしい。

Ayako@aya_rb2026年8月11日読み終わったヨーロッパの歴史を浅くしか知らないので、もっと知っていたらよりゾクゾクとしたんじゃないかと思う。 またいつか読み返してみたい。 それにしても、20世紀の世界史をざっくりとおさらいしてみて感じたのは、今のこのポピュリズムとナショナリズムが台頭し、為政者が市民の不安と憎悪を煽る構造と、法の支配や外交が軽視されている状況が、1930年代に似ていること。 人は不安になるとどうして過去を求めるんだろう。

Ayako@aya_rb2026年8月9日まだ読んでるヨーロッパの歴史があまりわかってないので、時々調べながらでなかなか進まず。やっと半分を過ぎたけど、謎めいて不穏で、どんな終わりを迎えるのかドキドキしてしまう。 なんとなく薄ぼんやりと感じるものがあるんだけど、それが読み終えた時にはっきりとした像を結ぶのかどうか、それも怖いようで楽しみ。






Garnie@Garnie2026年8月2日読み終わったまたいつか後半は一気に、メトロノームアプリで作ったポモドーロタイマーと作中に出てきたメシアンの時の終わりのための四重奏曲をYouTubeで聴きながら読了。 メシアンの曲が不穏すぎて、この物語の結末に合いすぎて夢に出そう。 でもまた読みたい、最初からというよりは断片を。 認知症患者が最近のことから忘れていくから過去の部屋を作るのと、それが集団的な病のようになること。欧州の話ばかりだったがこの世界観でのアジアや日本はどうなんだろうね。今の世の中に照らし合わせるのが怖いわ。
Ayako@aya_rb2026年8月2日読み始めた図書館で借りたいろいろな方の投稿を目にして、これは面白そうだなあと思っていたんだけど、まあまあのお値段ではあるので衝動買いはできず、図書館を頼ることに。 図書館は本当にありがたい場所。



YOSA Reads@ps0320892026年6月28日読み終わった世界観が頭に入ってこなくて、全然読み進まず苦労してる。ヨーロッパの歴史背景をあまり分かっていないのも要因と思う。 認知症患者のための過去の振り返り施設だったが、徐々に人々が過去を求めてくる。SFだが、本質的に、現代社会への窮屈さや閉塞感を表している。 読書会の課題図書にしていろいろな人の意見が聞きたい。
猯@647k382026年6月11日読み始めたむじゅい! こっちの体調が良くないのもあるけど、全然文字を飲み込めてない 会話、地の文、誰視点?作者の神視点?なのかわかんなくて、ファーってなる 面白そうなんだが! ヨーロッパ(西欧以外も当然含む)の時代背景についての知識と、作者がブルガリア出身ってことだけは先に知っておいた方がいい 「マイナー言語で話せるから気が楽〜」みたいなシーンがあるけど、そもそも何の言語なの?どの立ち位置なんで?てか場所どこ?とかが書かれてない(ハズ)ので結構混乱する 読むのに変な疲れ方する
705@naschoko2026年6月8日読み終わった借りてきた認知症やアルツハイマーを治療する「過去のためのクリニック」。ガウスティンとその助手である語り手はいつくもの時代を再現し、匂いや物語を集め、過去をよみがえらせ始める。 とてもよかった。 認知症などにより失われる個人の記憶と、「輝かしい過去」へのノスタルジーといった集団の記憶という二つの「記憶」が軸。 第一章では個人の記憶が断片的に語られる。順序立てて語られるわけではなく、輪郭が曖昧なまま話が進んでいく。過去があたかも無害であるような顔をしてじわじわと広がっていく様が不穏。 第二章以降は雰囲気が一変する。過去はすでにあらゆるところに忍び込んでいて、欧州各国は「過去を選択する国民投票」によりどの年代に回帰するかを選ぶことになる。 過去へ戻ることで記憶をなくし、それによって未来までもが失われる。ポピュリズムが台頭する今、過去が蘇って世界が崩壊していく様子には考えさせられる。「記憶喪失で最初に消えてなくなるのは、未来の観念そのものである」という一文がいい。 祖父母が亡くなり両親も高齢となった。私の子供の頃を知っている人がいなくなったら、私個人の過去はどこへ行くのだろうか?「個人の記憶」のエピソードもいつかは訪れる未来であり身につまされる。



あるる@aru_booklog2026年5月25日読み終わった読み応えがあった。すごく面白くて、多分もう一度頭から読むと思う。ヨーロッパの歴史がざっくりでも頭に入っているとわかりやすいと思う。過去への羨望と人の記憶の脆さ、そして歴史は繰り返すことへの緩やかな絶望が波のように寄せては返すで、物語中盤からずっと不穏でした。設定や世界観がディストピア特有の不穏さを出しているのかなと思いましたが、段々と記憶が朧げになってくる老いにフォーカスが移って、自分ごととして捉えざるを得ないからこんなに不安になるんだろうな。すごく不穏で何となくお尻のあたりが浮いた感じで最後は読み進めました。いやー、面白い本だった。





mikechatoran@mikechatoran2026年4月30日読み終わった海外文学認知症の治療に「過去」を取り入れたクリニックが開設され、記憶の中心にある時代に合わせた空間で治療を行うことで好評を博す。だが、やがてその「過去」への回帰の方法はクリニックの外の現実をも急速に侵食していく...各国の国民投票の過程を扱った章がめっぽうおもしろい。しかし、それは暗転する。かつてノスタルジーは甘く切ない、個人の心に安らぎをもたらすものだったが、今やポピュリズムと結びついてある種の「武器」となっている現実を著者はあぶり出す。まさしく時宜にかなった小説で、すばらしい読み応えだった。



りなっこ@rinakko2026年4月8日読み終わった頗る面白かった。事の始まりは、老人の記憶障害の治療に“過去”が有効だったこと。記憶を失くした人たちに、彼らの内的な時間に合わせた空間(60年・50年・40年代…)を作って幸福の記憶をもたらしたことだった。けれどもその“過去”への傾倒というウイルスは、急速にヨーロッパ中に広まってしまう。 人の意のままには出来ないはずの記憶を、“時代の記憶”という目に見える形にしてそこに留めておく…という試みの結末。記憶と忘却をめぐる語り手(とガウスティン)の断片的な思索と、“ボルヘスの二重化の遊び”に引き込まれた。






健康第一@ddro2026年3月13日気になる気になる。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 自宅内禁酒20日目 自宅内飲酒1回(前回+1) 自宅外飲酒0回(前回+0) やってしまった…、、🙁





























































