黄金比の縁
79件の記録
yomitaos@chsy71882026年7月23日読み終わった@ 自宅社会人人生で数年、人事に携わったことがある。自社で活躍できる人材の見極めができるはずもないまま、送られてくる履歴書に目を通し、それらしい理由を付して是が非かを決めていた。その際、志望動機や経歴で決めたことは無い。雰囲気だ。数値化できない人柄だ。究極のところ、「なんとなく」だ。だって、何で判断すれば正解なのか分からないから。 ある理由で会社への恨みを募らせた本書の主人公は、人事部で採用に携わった際、ひとつのルールを設けた。できうる限り会社に大きな損害を与えられる人を採用するため、顔の黄金比で可否を決めるということだ。主観的な美醜ではない。各パーツ間の距離を計測するだけなので、高い鼻やきれいな笑窪、美しい目尻などは評価されない。 なぜ黄金比の顔であることが会社に損害を与えられるのかは、見事な論理展開で説明されていく。屁理屈といえばそうなのだが、そもそも採用に正攻法も定理もないし、誰もその基準を示せない。だから結局のところ、人事担当の意向で決まるものだ。それっぽい理由を付けてはいるだろうが、根拠など無い。それなら、明確な理由を示せる黄金比の方が、求職者からすれば理解できるだろう(納得はできないだろうけれど)。 就活模様を描く小説では、朝井リョウの「何者」が極めて素晴らしい心理描写で綴られていると思う。新卒一括採用で苦しむ学生側を描くものしての「何者」に対し、「黄金比の縁」は採用側の苦しみが伝わる物語だ。根底には、システムへの懐疑がある。 「なぜこんな採用の仕組みが前提になっているんだろう?」 「こんな茶番で人生を狂わされる身になってほしい」 味わった経験のある人ならば、誰しもが持つだろう感想。「黄金比の縁」の主人公は、このシステムでまともに人が取れるなんて思ってもいない。苦悩すること自体がバカバカしいと思っている。世界を、社会を「わたし基準」で再定義し、テキトーにサバイブしているところがとてもかっこいい。 狂ったシステムによる曖昧な是非に一喜一憂する方がおかしい。おかしいのはお前だよ、と常に言い返せる自分にありたいと思える名著だ。

チャプ太郎@chapterofbooks2026年5月2日読み終わった『我が友、スミス』に続き石田夏穂作品2作目。 人事部に左遷された恨みを晴らすために、顔の黄金比だけを基準に採用をすることに決める。 水曜日のダウンタウンやYouTuberの企画ばりに引きのある設定が石田夏穂作品の強い魅力なのかな〜とちょっとずつ思いはじめる。人に勧めやすい。 結末がどうなっていくかは、ぜひ自分の目で確かめてほしいのだけど、採用って本当に末恐ろしいというか、なんて傲慢な営みなんだろう、と思ってしまうな。いや、採用自体はとても尊い営みなのだけど、それをわかったように語ったりすることが、かな。少なくとも僕自身はちっとも黄金比に則った顔じゃないから、これまで採用してくれた人にありがとうですね。



読書猫@bookcat2026年5月2日読み終わった(本文抜粋) “それにしても、総合的に、か。何て胡散臭い言葉だろう。新卒採用では何か一つに秀でたスペシャリストではなく、万事に柔軟なジェネラリストを雇う。「世界をリードするエンジニア集団」を自負するKエンジでさえ、そこは「ポテンシャル採用」だ。そして「総合的に」がやたら新卒採用で叫ばれるのは、このポテンシャルというのがどうしたって評価できないからだ。” “「縁」と口にすることにより、誤魔化される生臭さがある。「縁」により蓋をされ、丸め込まれる罪深さがある。だってそれは「縁」などではないのだ。他でもない採用担当、お前自身が、ジャッジしているんじゃないか。” ”人間が人間を選び捨てるプレッシャーはただごとではないのだ。だから私たちには黄金比が要る。そうでもしないと生身の人間に優劣などつけられない、否、つけられないというより、つけてはならない。この評価軸が正しいか間違っているかは、究極、どちらでもいいのだ。“ ”好奇心は猫を殺すらしい。私は猫じゃないから、多分大丈夫だろう。“
あんかけドーナツ@atsushi_32026年4月14日読み終わった新卒採用あるあるの嵐。 一応の選考基準がごちゃごちゃ決まっていても、結局は面接官のカンとか定性的な判断で決まっちゃったりするものよね… 主人公は無茶苦茶なことを言っているようだが、そもそも現実の新卒採用システムに無理があるので、あれ?これどっちの言い分が正しいんだ?と常識が揺らぐ感覚を味わえるのが楽しい


Matilde@i_griega_20252026年4月1日読み終わったある意味、新年度一発目に読むのにふさわしい小説だった。 新社会人もしくは就活生に読んでほしい気もするけれど、これを読んで気が楽になるか胃がキリキリするかはわからない(笑)
おとうふだいすき@otofu2026年1月24日読み終わった希望していた部署から異動となり、人事部に配属された主人公が、 会社にとって明確に不利益になるだろう新卒を「ある条件」のもとであえて採用していく物語。 化学専攻で研究職志望だった主人公にとって、新卒採用も化学反応の実験のようなもの。 「この人を入れたら、会社はどう壊れて、どう変わるのか」を、冷静に、そして少し楽しそうに観察しているように見える。 歯に衣着せぬ言い回しも痛快で、その突き放した視点が物語に独特の緊張感を与えるなと思った。 特に 「(中略)それに比べて自分は、東京ビッグサイトでガキの相手とか、いったい何してんだ。」の一言、めっちゃ笑った。
にわか読書家@niwakadokushoka2025年12月12日読み終わった@ 電車絶妙にリアル。 普段あまり読まないジャンルなのだが、アプローチが新鮮でよくあることの異常さが刺さった。 没入しすぎて足癖で逆方向の電車に乗ったことに長らく気付かず30分超遅刻し、ここ最近で一番焦った。大江戸線って環状だったんだな。







nekomurice@nekomurice1232025年8月8日読み終わった面白かった。そうか、そういう復讐の仕方があるのか。痛快だった。石田夏穂さんの冷静且つ皮肉混じりの文章好きだな。他の本も読んでみたい。





高橋|青山ブックセンター本店@frog_goes_home2025年7月30日読み終わったナツイチまたしても石田夏穂にやられた! なんだこれ面白すぎる。人事採用、ひいては他者をジャッジすることへの疑念をこんなふうに表現するなんて。どこにでもありそうで、どこにでもあったら困る、けれど実は本当にそうなんじゃないかと思わせる状況設定が巧みすぎるんだこの人は。ねばっこい主観に振り回されてきた主人公が客観的な仕組みを設計して復讐を目論む、という構図も痛快。石田夏穂ぜんぶ読むマシーンにおれはなった。といっても未読はあと一冊。






ねむきち@ss04122025年7月19日読み終わっためっちゃ面白かった!!! ところどころ皮肉が効いていて、楽しくするすると読んでいたけど、 読み進めていくうちに、リフレインされる主人公の心の奥に根付いた苦しみに、この世の社会で働く私たちはどこか共感できてしまう。わかると思える部分がある。 読んでいて楽しい文体だし、短いから本当に読みやすい。 主人公のように揺るがない軸なんてなかなか見つからない。こういうものが欲しいなとも思う。 朝井リョウさんの解説も良かった!「前」という概念で登場人物の行動や考えを表現されていて、わかりやすかった。 「著者の作品を読んでいると、世界の進行方向からズレること、ズレざるを得ないことは確かに無念や悲哀を生むけれど、自分だけの美学を手に入れることでもあるのだと思い知らされる。そして、独自の美学を抱える人の背中は、それがどんな"前"へ向かうものだとしても、鋭く引き締まって見えるのだ。」 主人公の小野さんも、まさしくこうだったな。こんなふうに言葉にできるのすごいなあ。

高橋|青山ブックセンター本店@frog_goes_home2025年7月16日買った@ 丸善 お茶の水店妻がナツイチのクリアしおりを集めているので「じゃあなにか買うかー」と物色していたらこれが光って見えた。そういえば未読だったのでした。やったね。




anko@books_anko2025年7月11日読み終わった主人公の、会社への復讐心には重さを感じず笑ってしまいました。 復讐のために会社に不利益になりそうな人間を採用する人事なんて! 恨みがすぎる😂 しかし、強く共感してしまいます。 「分かる、分かるよ」と、読みながら何度も頷きました。




























































