トラジェクトリー

25件の記録
- mamo@reads_mamo2025年8月20日読み終わった淡々としているのに、切なさ漂う小説だった。母国を捨てたわけじゃ無いけど、文化の合間をさまよう人たちのそれぞれの背景、よくある何も無い少し廃れた街の事情。読後に心をなでる寂しさの風。
- 数奇@suuqi2025年8月3日読み終わったアメリカ出身で英語指導助手として日本に来た経歴を持つ著者ならではの視点で描かれた、ネイティヴの英会話教師を主人公とした話。使う言語によって人の印象が変わる感覚を鋭く描写した物語で、文体も内容もとても好みだったのだが、読み終えた瞬間「えっ、これで終わりなんだ」と思ってしまい、物足りなさを少し感じた。合わせて収録された『汽水』も主人公の境遇やテーマがほぼ表題作と同じで少し退屈に思えた。日本に住む外国人の、居場所を感じられない空虚感はとても良く捉えられていて、この作者にしか描けない独特の感覚はとても興味深く考えさせられる内容だった。
- はぐらうり@hagurauri-books2025年6月23日読み終わった芥川賞候補。文學界にて読了。 単行本には短編も入っているようなので、それはまた。 さながら文学版「ロスト・イン・トランスレーション」。あの映画は好きではなかったが、この著者から見える日本は嫌いになれない。共感できるところが多々ある。日本人がみる、外国人からみた日本、を意図的に書いている可能性もあるけれど。 文体も落ち着いていて、読みやすく、違和感もない。母国語じゃないんだろうと思うので、これはすごい。 よく言われていた当事者性も十分にあり、この著者でないと書けない作品。英会話教室での出来事とか、ネイティブ同士の飲み会とか、目に浮かぶ。今回の候補作はまだ2作めだけれど、これは有力なのでは。