君は永遠にそいつらより若い
85件の記録
Daidaigo@df21792026年5月5日読み終わった若い人が若さを愛おしく思う、骨太で痛々しい小説。半年の違いが大きい年代だよなと思う。 そんななかで京都の緩さが絶妙。インバウンドがいない四条通を歩きたくなった。




才桃きいろ@kiirosaito2026年5月4日読み終わった私の大学時代となんだか似ていて、ぐだぐだした懐かしい日常のにおいを思い出す鮮明な文章だなと読み進めるが、唐突にそれぞれの孤独や痛みが襲ってくる。だけど嫌な感じはせず読後はさっぱり。付録のインタビューも良かった。


綾鷹@ayataka2026年4月17日だるい日常その裏に潜む悪意―― 大学卒業を間近に控え、就職も決まり、単位もばっちり。 ある意味、手持ちぶさたな日々を送る主人公ホリガイは、身長175センチ、22歳、処女。 バイトと学校と下宿を行き来し、友人とぐだぐだした日常をすごしている。 そして、ふとした拍子に、そんな日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる…。 よかった。 主人公のホリガイのゆるさ、生真面目さ、極端さ、歪さ、情けなさ、優しさがシニカルに、ユーモアたっぷりに書かれていて、すごく好きだった。 日常のだるっとした中に、ふと出てくる苦しみにホリガイが巻き込まれる様子が淡々と語られつつも、最後は希望が見える。 「この世にたやすい仕事はない」のときも感じたが、生きてると気が滅入ることもあるけど、それでもなんとか頑張っていこうと、少しだけ心を照らしてくれるような温かさがある小説だった。 ・わたしは二十二歳のいまだ処女だ。しかし処女という言葉にはもはや罵倒としての機能しかないような気もするので、よろしければ童貞の女ということにしておいてほしい。やる気と根気と心意気と色気に父ける童貞の女ということに。だれでもいいから何か別の言葉を発見して流行らせて、辞書に載るまで半永久的に定着させてほしいと思う。「不良在庫」とか、「劣等品種」とか。「ヒャダルコ」とか、「ポチョムキン」とか、そういうのでもいい。何か名乗りやすいやつを。「堀貝佐世でえす、東谷大学文学部社会学科四回生の陽気なポチョムキンでええす。どなたか暇な方、五千円でよろしく」などと無駄に元気に言って、そこそこのさめた笑いをとりたい。十人その場にいたらそのうち七人は、へらり、ぐらいの笑いはくれるはずだ。とりあえずわたしが手の届く範囲の世の中は、へらり、もくれないほど冷たいところではないと思う。基本的にはぬるま湯だ。いやほんといい意味で。このゼミもそうだった。 ・穂峰君のことはとても印象に残っていた。なにしろ、その日彼は管察の取り調べから帰ってきたところだったのだ。下の階の子供がどうもネグレクトされているようだったので、自分の部屋にしばらく住まわせていたら、誘拐の疑いを掛けられてしょっぴかれたんだそうだ。なんとか事情を説明して事なきは得たけど、あの子が心配だ、と穂峰君は険しい顔で言っていた。その顔が、あまりにも見ていて息の詰まった苦しげな感じだったので、わたしは、人がいいってのはその人自身にはあんまりよくないことだよね、自分は地下鉄で席譲ったばあさんに、立ち方がだらしないって説教されたことがある、と場をほぐすためにくだらないことを言ってしまった。すると穂峰君は、表情を一変させて、怒り出すどころか声をたてて笑った。全然関係ない話じゃないか。そう穂峰君は言いながらも、わたしがしょうもない話をした意図をわかってくれたようだった。 まあでもねえ、おれはそういう損しちゃう人が好きだ、なんていうか、なんに対してってわけじゃないけど、うまい人よりへたな人のほうがおもしろいよ、と穂峰君は手酌で焼酎を注ぎ足しながら言った。それこそ損だよ、へたってばかりの自分だからこそ、うまい側にあやからないと、と反論すると、どうせ心にもないんだろ、そんな考え、と穂峰君はにっと笑った。わたしは、言い当てられてしまった感じがして、言葉を返すことができなかった。それ以来わたしは、一日にだいたい十五分ほどをさいて、穂峰君のことを考えるようになった。会いたいなぁ、会いたいなあと思いながらも、引き合わせてくれた幹事にそのことを切り出せず、明日会わせてくれと言おうと決めた次の日に、亡くなったことを知った。言葉もなかった。 ・今は見ての通りノートはもっていないので、ちょっと外で待っていてくれ、と言われたので、わたしはビルの外に出ることになった。ちょうどゆっくり閉店の鉄格子が降りてきているところで、身を屈めてその下をくぐりながら、格子が頭のてっぺんを直撃するところを思い浮かべた。わたしにはそのような、最悪を想像して最悪に備えるくせがある。そのぐらい自分を信用していないということだろう。指を落とす場面を思いながら野菜を刻むことなんてしょっちゅうだし、地下鉄がやってくるたびに電車とホームの隙間に爪先を突っ込んでしまうシミュレーションをし、自動ドアをくぐる時はまさに自動的にドアに挟まれる自分を思い浮かべる。自分がほんとうにえらいことになったときのための自衛手段である。 ・ふと、願ってもいないのに胸の大きな女友達のことなどを思い出した。芸事をするのでもない限り胸が大きくていいことはそんなにない。男にもてるといっても、それは然るべき場に出て行ってからのことだ。ただぼんやりと好きなことをして過ごすのに胸の大きさは必要がない、むしろみっともない、と彼女たちは嘆いていた。勿論そのことがヤスオカの問題と一緒くたにできないのはわかるけれど、そう遠くもないことであるような気がした。誰もがいつも、自分の殻とうまく折り合いをつけられるわけではないのだ。 ・彼女の話と合致する年代の男性に会うたびに、目頭を仔細に観察するようにもなった。おかげでわたしは、人の目をよく見て、噛んで含むように喋る礼儀正しい大人でとおっている。 大学を卒業して、もはや自分はイマヤマダどもに殴られっぱなしの子供ではないということを知り、わたしは好きなように片付けるべきことについて考えるようになった。銀色の車と目頭のおかしい男を探し当てて、そしてあの子をいつか見つけ出すんだと。そう思うたびに、どちらも絶望的だと少ない理性が囁くけれども。 そういえば昨日はあの子の誕生日だった。あの子は十八になっていた。青年になりつつあるのだろうか。わたしはそのことに、暗い救いを覚えた。君を侵害する連中は年をとって弱っていくが、君は永遠にそいつらより若い、その調子だ、とわたしの悪辣なまでに無責任な部分が笑った。父親に抱かれてクジャクを見たがっている目の前の男の子は、あの子がいなくなってしまったのと同じ年頃だった。くだらないやつらにつかまっちゃいけないよ、と声をかけたくなり、口を開いたけれども、自分のほうが不審者だと思われるような気がしてやめた。その代わりに、彼の幸運を願うことにした。
のぞみ堂@nozomi_books2026年2月6日買った津村記久子先生のデビュー作。 2005年「マンイーター」で太宰治賞を受賞、同作品を改題し筑摩書房からデビュー。 さすが筑摩。ああ、もう書影から面白さが滲み出てる。 読後に追記する。

- むこうやま@65yama_kana2026年1月30日読み終わったかつて読んだ学生時代ぶりに読み返したら、自分の魂というか、分身みたいな作品になっていて驚いた。 世間に対する自分の不器用さを呪いながら、でも誰かの傷をみてしまったときに応答せずにいられない、そのぎこちない体のおかしみ。せいぜい私は「君は永遠にそいつらより若い」とかいう、なんの役にも立たないことしか言えないし、その不遜さが嫌で仕方ないんだけど、でもどうか君には健やかでいてほしい、という願いや希望が詰まっている。 津村さんはインタビューで自分ではほとんど読み返したことがないと言っていたけれど、すばらしいデビュー作だと思う。


月書房@sunnytree03832026年1月29日読み終わったミュージカルを見ているような読書体験。自殺やリスカ、性の悩みなど学生を取り巻く話題は明るくなく、主人公のホリガイもこじれたところがあるが、このホリガイの視点が据わっているのでどこか安心してスラスラ読めてしまう。
㌨@hayane2026年1月11日読み終わった読みながら感情が目まぐるしく動く小説だった。この世界で力が強い者が力の弱い者を虐げ続けていることに、わたしは慣れきってしまっていたのかもしれない。これからはホリガイと一緒に怒るよ
きよ@kiyomune2025年10月31日読み終わったはじめて読んだ、津村記久子さんの小説。 はじめは「なんだか下品な主人公だな」と自分から少し突き放すような気持ちで眺めていたが、内面に触れるたびどんどん好きになる。 人の痛みを己の痛みとして受け止めてしまう時も、自分自身が傷つけられて痛む時も、自分の汚さに打ちのめされた時も、悲劇に酔うことなく、でも目を逸らさないで(倒れはするけど)自分でヨタヨタと立ち上がるところがとても人として好ましい。 今年は、山本文緒さん含め、よい女性作家にたくさん出会えて嬉しい。

- 村崎@mrskntk2025年3月22日読み終わっためちゃくちゃ好きだった。 松浦理英子さんの解説「魂が潰されないために」本当にこのとおりだ 厭世的でときに臆病で、でも心のどこかに気高さが残っていて、「損しちゃう人」が損しない世界になればいいのにと思う


つづけ~@kozonoyuki_03092025年3月22日読み終わった良かった~~~ 力の強いものが弱いものを踏みつけていくことに俺もホリガイと一緒にめちゃくちゃ怒るよ 見過ごさないでふざけんなって言い続けるからな


































































