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@tanu-nu
2026年2月22日開始 主にファンタジー小説 感想はネタバレあり
  • 2026年7月10日
    水滸伝(9(嵐翠の章))
    晁蓋がかなり前に出てきてて嬉しいと同時に「こいつそろそろ退場するんじゃないか……???」みたいな危うさを感じてヒヤヒヤしっぱなし。死亡フラグをドカスカ乱立させるのをやめてほしい。 青蓮寺の執拗な追跡は盧俊義や柴進といった裏方にまで肉薄し、しかし危機の中でこそ輝くのが北方ワールドの男とばかりに新しい仲間が集まり、楊令は王進先生の魂浄化教室に預けられ、扈三娘は梁山泊に加わり、林冲は馬糞始末係になった。呉用先生は晁蓋と宗江に挟まれてかわいそうだった。 全身骨折から見事な復活を遂げて梁山泊に加わった扈三娘、独竜岡にいたころは勝気なわがまま姫将軍って感じだったけど、梁山泊に加わってからは本物の将軍の輝きを放ち、今後が更に楽しみになった。聞煥章の執着がキモキモのキモなんだけど、果たして誰といい仲におなりになるのか。秦明と公叔みたいな微笑ましい組み合わせであるといいなぁ。
  • 2026年7月7日
    水滸伝(8(青龍の章))
    梁山泊と祝家荘の全面衝突の巻。解珍、解宝父子のジビエ料理はワイルドすぎてまあまあ引くレベルであった。ジビエの生は地獄しかないのでは???と現代の衛生観念で考えてしまうの、よくないね😌 ほぼ全ての登場人物の味が濃い北方ワールドだけど、女子のキャラも濃いのはすごいと思います。おまえだぞ扈三娘。絶世の美女なのに戦場に出て林冲に挑んで全身骨折、なかなかない。この先どうなるのかめちゃ気になるキャラです扈三娘。 個人的に呉用先生がやっぱ一番好きかな?と思うんだけど、敵である宗(国)というものが強大すぎて気をつけないと度々絶望してしまうとこがクソ真面目で大変いいんですよね。宰相やりながら最前線で作戦立案までこなす有能中の有能な呉用先生、是非とももっとたくさん苦悩してほしい(欲望)。苦悩する真面目な有能男からしか得られない栄養があるんですよね。 そして李富くんと馬桂、絶対不幸なことになるんだろうなぁ、李富を本気にさせるために馬桂は梁山泊の仕業に見せかけて惨たらしくころされたりするんだろうなぁと思ってたら、もう本当に予想通りの顛末で、馬桂は仕方ないけど李富はちょっとかわいそうになってしまった。でも冷静に考えたら、梁山泊は二重スパイを始末するにしろ、そんな酷いやり方はしない集団だから(義を掲げてんだから)、それを単純に『梁山泊め〜〜〜💢💢』ってなるのは、李富くんやっぱ青蓮寺に向いてなくない?って思ってしまったな………。
  • 2026年7月3日
    叡智の図書館と十の謎
    短編集として読むならほどほどに面白かった。「いい話だったな」の印象のが強いかも。煌夜祭は短編集と見せかけて全部が繋がっててひとつの話になってる構成だったけど、これは繋がってる話と単独の話が混在してるので、短編集として読むのが正解かなと思う。ファンタジーから現代の話までテイストが多様なのでそういう面白さはあるかも。
  • 2026年6月24日
    闇の公子 (ハヤカワ文庫 FT 45)
    闇の公子アズュラーンが人の世界に関わることで生まれた破滅を描くダークファンタジーオムニバス。アズュラーンは悪辣で気高い妖魔の王で、人外らしい気まぐれさで人界に関わっては禍いを落としてく傍迷惑な存在なんだけど、妖魔には妖魔の愛があるんだなぁ、という読後感だった。オムニバス形式ではあるのだけど、全ての話がアズュラーンを通して繋がっていて、最終的にはひとつの物語になっている。 で、とにかくですねぇ、このアズュラーンがそもそもめちゃくちゃ美しい妖魔の王という存在自体が耽美の化身みたいなやつなんですが、とても退廃的でエロティックで非情であって耽美な物語でしたね。刺さる人にはもの凄い刺さると思う。あと文章も耽美で、アズュラーンが紫の上した人間の少年を抱くときなんか、『永遠の時間が公子の求愛に味方し、測り知れぬ歓びが戦慄を伴って次々とこぼれかかり』とか『男根は塔であり、若者の内なる世界の都の門を、奥処を貫いた』とかで、最初読んだとき「た、耽美〜〜!!」と心の中で叫んじゃった。 破滅の物語とは言っても、淡々とした語り口のおかげもあってグロさはあまり感じず(やってることはかなり非道なんだけど)、胸糞!!みたいな印象もない。なんか不思議な口ざわりの物語だった。 あとアズュラーン、美しい人間が好きなんだけど、たぶん美しい男のほうが好きなんじゃないかな、通りすがりに美青年に口づけしたりするし(HENTAIだなって思った)。
  • 2026年6月21日
    煌夜祭
    煌夜祭
    いや面白……面白かったな……。しかしこれ、2週目いかないとダメなやつだな……。初読と2週目で全ての見え方が変わるやつだ……。 煌夜祭で語る語り部たちが何者なのか、語り部が語る「話」は「何なのか」、語られる話が収束する先はどこなのか、そもそも煌夜祭とは何なのか、何も知らんで読む初読と全て知って読む2回目で全然違う話になる。 そしてこの本に関しては、絶対絶対一切ネタバレなしで読むのがいいと思う。何の予備知識も入れないで読んだほうが面白い。 恐ろしい魔物の話であり、悲惨な戦争の話であり、固い友情の話であり、切なくて深い恋の話でもある。オムニバスのようでひとつの話。
  • 2026年6月19日
    黄金の王 白銀の王
    水滸伝がクソ長いので、気になってたこちらを味変に読了。 とても面白かった……!!すごく面白かった!!久々に夢中になって読んだ。私好みの話だった。 翠という国で激しく憎み合う鳳穐(ほうしゅう)と旺厦(おうか)という二つの一族の若き頭領、穭(ひづち)と薫衣(くのえ)が、憎悪をぶつけ合う一族をひとつにするために長い長い闘いの日々を送るお話。と言ってもヒロイックな熱い友情などはなく、ふたりの王の心にのみ存在する決意は華々しくも劇的でもなく、ただ「なすべきことをなす」という静かなもの。穭は王という為政者として、薫衣は敗北した虜囚として、それぞれ孤独に闘い続けるんだけど、最終的にお互いのみがお互いの心を知る、ブロマンスと言ってもいいのでは?🤔という気持ちになった。ブロマンスというか、双方向のクソデカ信頼というか。 特に穭がすごく好きなキャラ造形でありました。聡明で理性的で冷徹ではあるが冷酷ではなく、天才肌の薫衣に嫉妬したり、思わぬ出来事に密かに狼狽したりといった人間らしい面も多くて、大変よき王だった。薫衣が存在するだけで他を圧倒するカリスマ武将なら、穭は凄まじい思考力と冷静さで先回りと根回しをして物事を未然におさめる政治家タイプって感じ。でも本人はいつも胃痛かかえてそうでかわいそうだったな……。 あと稲積(にお)と薫衣の夫婦が本当にかわいらしくて、薫衣に稲積がいてくれてよかったし、穭はずっと妹に甘くて、ずっと厳しい物語の中で稲積の存在が清涼剤だったな。 読んでると「なぜ鳳穐だから、旺厦だからという理由だけでそこまで憎み合うのじゃ……」という気持ちになるんだけど、現実の世界でも同じようなことは起きてるんだよな、という寒々しい気持ちにもなってしまった。排外主義はよくない。 しかし、とにかく人の名前が読みにくくて覚えにくかった。ほぼ全員読みにくかった。鶲(ひたき)とか鯷(ひしこ)とか鵤(いかる)とか霾(つちふる)とか。
  • 2026年6月16日
    水滸伝(7(烈火の章))
    全19巻のうち7巻目なので物語全体としても中盤に差し掛かりつつあり、初期メンの中からも退場者が出てきた。つらい。 絶体絶命のピンチから何とか生還した宋江一行であったが、代償は雷横の命だった。馬鹿!!!!宋江がふらふら途中下車の旅を呑気に1年半もしてるから……!! というわけでやっと梁山泊に入った宋江なんだけど、入った途端に出番がなくなったので、旅描写も仕方なかったのかなぁと思うなどした(メタ視点)。 対立が深まる梁山泊と青蓮寺だけど、青蓮寺の新たな頭脳である聞煥章がわりと……やべえタイプのやつかな???という片鱗が、扈三娘との出会いからチラチラしてきて、果たしてこの男がどういう方向に向かうのか、ちょっと楽しみになってしまった。そして大きな激突の予感の中、犬を利用してころした馬桂はまだ生き残っているし、李富の都合のいい女に成り下がってしまったし、既にしんだ娘のことすらどうでもよくなってるの、本当に何だかなぁというキャラである。宋江、おまえのせいなんだぞ! ところで前巻から出てきた足の速い王定六、どっかで聞いた名前だなと思ったら、青鬼RTA実況動画のプレイヤー名が王定六選手だった。この実況動画、めちゃ面白くて時々思い出しては見返してしまう……。 https://youtu.be/2E4uWugMFOU?si=VSUNevQCqIyaG9QO
  • 2026年6月14日
    水滸伝(6(風塵の章))
    【これまでに登場した男気を持つもの】 ・料理 ・土 ・字←New!! 1巻から名前が出てた秦明将軍が遂に仲間に。魯智深は魯達になってちょいワルになった。今回も青蓮寺と梁山泊の大規模な衝突があり、一方その頃、宋江はデカい魚を釣っていた。二竜山の総隊長になった林冲は馬のことだけ考えていたい気持ちを抑えきれず、そしてまたも宋江がピンチになって次の巻へ。 ところで犬を利用してしなせた馬桂がどうしても好きになれないんだけど、李富はなんかちょっと中間管理職の哀しみみたいなものを感じるんですよね。その青蓮寺も聞煥章という天才が加入して一気に不気味さを増した。というか青蓮寺、敵方ではあるけど体制側から腐敗を何とかしようとする感じで、悪ではない印象なんよな。でも聞煥章はそういう情熱も今のところ見えなくて不気味ですね!あと宋江は寄り道しないではやく梁山泊へ行け。
  • 2026年6月11日
    水滸伝(5(玄武の章))
    しばらく体調不良で読書できてなかったけど、やっと元気になった。体調不良で寝込んでる間はオーディブルで色々聴いてたんだけど、好きな声優さんの声で朗読聴けるのはとてもよかった。 というわけで怒涛の展開だった5巻。青蓮寺と梁山泊の本格的なぶつかり合いが始まり、味方の中からも帰らぬ者が出てきた🥲 というかやっぱり宋江おまえのせいじゃねえか!!!!💢💢💢みんななんで宋江のこと好きなのかほんとにわからないょ……!! 楊志家族には幸せでいてほしかったのに……。馬桂がすっかり娘のことも忘れて李富のために生きる女になったのは仕方のないことかと思えるけど、イッヌを利用してころしたので全面的に悪です。イッヌと子供という無垢な生きものを利用するやり方、醜悪で邪悪だよ!!絶対にゆるさん……。 ところで帯の文句に「城之内死す!」とか「魔術師還らず」くらいの決定的なネタバレじゃん!!と憤ったのだけど、これが「坊主としての私は死んだ!」みたいな還俗するよ☆という意味だったのはさすがに草やで。
  • 2026年5月28日
    水滸伝(4(道蛇の章))
    宋江、男気センサーがついてる人間限定のフェロモンでも放ってるんじゃないか説。宋江の懐深いところが4巻読んでもわからないんだけど、一体人々はこの男のどこに惹かれるのだろうか。こいつのせいで馬桂が調略されて逆スパイになってしまった気配が濃厚なんですが……。 梁山泊も動き出して、青蓮寺もだいぶ大きく動き始めた4巻。宋江は南へ向かい、出会う男をたらし込んでいた。みんな宋江のこと好きになっちゃってよーしやるぞー!みたいな気持ちで叛乱の徒になっていくんだけど、宋江の魅力がわからん読者なので「?」という顔をしている。しかしこの叛乱の徒製造機ぶりは確かにすごいと思う。何なんだおまえは。 あと青蓮寺側の李富、めちゃいけすかねぇ奴だったんだけど、馬桂を調略したわりに普通に好きになってて「いいとこある……のか?」という顔をしている。李富くん青蓮寺に向いてなくない? とりあえず色んなとこがピンチかもしれない様相で終わったので続きを読むぞ。
  • 2026年5月21日
    水滸伝(3(輪舞の章))
    北方謙三ワールドでは、捏ねられる土にさえ男気が宿るものである(??????)。よくわからんけど、捏ねた土と語らって武松が解脱してた。なんで??? 問題児を更生させ浄化してく王進先生とお母様の家はなんかいい霊脈でも通っているのかもしれん。 それはそれとして、みんな本当にそいつ(宋江)について行っていいのか!?大丈夫か!?と薄々思っていたんだけど、3巻の宋江はマジでクズじゃん???という気持ちになった3巻。おまえがちゃんと閻婆惜とお話してたら、あんなことにはならんかったやろのツッコミはどうしても不可避であった。私人としてちゃんとできない人間が大勢の上に立てるのか? という疑問の目を向けてしまうけど、ここから先、どう挽回してくれるのかお手並み拝見といこうじゃねーの……。 とはいえ、北方謙三ワールドにおいては「ちょっとどうかと思う」くらいの男が標準であったりするので、そういう意味では宋江も普通なのだろうか。楊志と済仁美と楊令の親子がとても尊かったので、宋江のクズ所業が際立ったのはあると思う。李富がとても不穏だったので、済仁美たちが無事に過ごせますようにとお祈りしておく。 宗江がクズ所業してる一方、晁蓋と呉先生はなんかふたりして「こんな大事になって信じられない〜怖いけどがんばろ☆」みたいになっててよかった。だんだん規模が大きくなってく叛乱組織に気がついていく敵方の描写も増えてきた。でもまだ本格的な衝突の空気は感じないまま3巻終了。もう名前を全然覚えてない登場人物が結構いる!
  • 2026年5月17日
    水滸伝(2(替天の章))
    男が男を呼ぶ水滸伝2巻。どんどん集まる男たち、梁山泊を作るの巻。正しくは山の要塞を乗っ取るの巻。仕方がない、山寨の頭領であった王倫は小狡い小者だから、北方Worldに居場所はないのだ。北方Worldにおいては、居場所も活躍もよき死に様も好漢にしか与えられないものであり、小者は2行くらいで何の感想もなく死んでいくしかないのであった。遂に本拠地を得た反乱勢力が本格的に動き出すのかな…!?というところまで。 今のところ大きな戦いもなく、同志と本拠地を整える準備段階なのでストレスなくすいすい読めるんだけど、登場人物が増えてきて「こいつ誰だっけな」も増えてきた。呉先生とか戴宗とか阮兄弟とかジャイアントロボに出てくるキャラは流石に忘れないけど、どうしてもジャイアントロボの作画で頭に浮かんでしまうんだよな……。北方World自体のクセが強いせいか、キャラクターそれぞれはさほどクセつよではないんだけど、その中で燦然と輝く変人が安道全なのは間違いない。呉先生も変人の枠に入っている気がする。 ストレスがないのは敵方の描写がまだそんなにないからだと思うんだけど、これから敵方の出番が増えてきたら「やめてくれ〜〜」みたいな気持ちになりながら読むのかもな〜🤔 ところで2巻で一番「なんて???」ってなったのは料理の調練という言葉かな……。漢Worldにおいては料理すらも調練が行われるんだ。漢味(おとこあじ)にならないといけないんだろうな。こう……漢気がいい出汁になってる、みたいな。
  • 2026年5月16日
    墨のゆらめき
    墨のゆらめき
    オーディブルで聴いた。 これはですね、よいブロマンスでした。大人の男2人のちょっと湿っぽくて幼い友情の話。友情というには若干近すぎる気がするのでブロマンスって言っちゃうけど。さくらいの朗読もよかった。 今週、仕事でかなりの遠出をしたのだが、私は新幹線酔いが酷くて車内で本やスマホを読むような余裕がないので、初オーディブル。片道5時間ほどの移動時間だったが、往復で聴き終わる程度の長さの作品を探して行き当たったのがこちら。朗読が櫻井孝宏だったから選んだわけじゃない。断じて。 オーディオブックなるもの、今回初めて体験したけど、長時間の電車移動のときはとてもいいなと思った。ただ長時間の電車移動自体が滅多にないんだよなぁ。 それにしても、方向性とか諸々は違うけど同じ「男同士の話」であるのに、北方謙三の味の濃さはやっぱ独特だなという思いを新たにした。
  • 2026年5月5日
    水滸伝(1(曙光の章))
    北方謙三の歴史小説に出てくる男たちには『漢センサー(おとこセンサー)』がついていて、それは直感や肌感のようなものを中心に視覚や聴覚、嗅覚などにも作用しており、いい漢(おとこ)に対するとピーン‼︎とくるのだけど、この度ついに味覚にまで搭載されていることを知った。つまり料理にも『漢』が表れ、志を諦めた男の料理からは『漢』が感じられなくなるというのである。いやなんで?????? このよくわからない『漢の世界』感こそ北方謙三の味だあ!!という懐かしさを噛み締めながら読んだ水滸伝1巻、もう初っ端っから全開の漢の感覚ワールドで、現在の倫理観に照らし合わせるとまあまあアウトの部分もあるのだけど、それを忘れて漢ワールドを楽しむのが正しい読み方と思う。 水滸伝はそもそも108人いることとジャイアントロボに出てきた個体名を知ってる程度でなーんも知らないで読み始めたんだけど、宗の時代のお話なんだね。1巻は雌伏の時代を描いてて、人を集めるために魯智深という破戒僧等が漢センサーを頼りに同志を探したり集めたりしてる話だった。漢の元には漢が集まり、その漢たちも『どこそこの誰がなかなかの漢』みたいな情報を持ってるから、徐々に漢MAPみたいのが出来上がっていく感じだった。漢MAPって何だよ???????? この『漢には漢がわかる』感じ、ジョジョでいうなら『スタンド使いはスタンド使いと引かれ合うッ!!』みたいなアレなのかな。なるほどわからん。しかしめちゃ楽しく読んでる。 昔、北方謙三の三国志を読んだときもどっぷり漢ワールドに浸かって楽しんだので、今回も長丁場を楽しみたい😌 それにしても味が濃いよ。
  • 2026年4月28日
    鹿の王 水底の橋
    鹿の王 水底の橋
    本編でイマイチ中途半端だったもう一人の主人公・ホッサルの話。本編でイマイチ中途半端だったホッサルが大活躍!! というわけでもなく、やはりイマイチ中途半端なままであった。本編の感想でマコウカンのことポンコツって言ったけど、ホッサルもなかなかポンコツなので、もうポンコツ主従でいいと思う。 しかしなぜホッサルが中途半端なポンコツなのかという点については、この話を読んでなるほどね〜となった。しがらみが多いんだな、ホッサルは。名家の御曹司で、ユグラウルの皇子のような存在で、オタワル医術の運命を背負う人間、という多くのしがらみが、ホッサルの機動力を奪っているのだろうな……と思いながら読んだのですが、最後の最後で「いや元々チキンなんだなコイツ」というチベスナ顔になった。ホッサルにはミラルみたいな女がいないとダメなんだろうな。本当にポンコツだと思うけど、嫌いじゃないぜホッサル。 時系列的には本編後なんだけど、本編の事件のその後やヴァンのことには一切触れない潔さだった。本編のヴァンたちの結末はとても美しかったので、触れないでくれてよかったな、と思った。 上橋先生はここで一旦お休みし、次は北方謙三に行く予定。
  • 2026年4月26日
    鹿の王 下
    鹿の王 下
    生命とは何か、生きるとは何かということをず〜っと語ってきた物語だったけど、そこに侵略者と征服された者、移住者たち、権力者たちの思惑などが絡み合って複雑な模様が浮かぶ話でもあった。あたたかさと安堵と一抹の寂しさを感じる結末だった。 生命と生きるということはイコールではなく、死に場所を求めるだけだったヴァンという男が、ユナと出会い、トマと出会い、トマの家族と出会い、サエと出会って再び生きる力を得て、その上で最後に選んだ選択肢がヴァンらしくて泣けた。きっとユナが希望になるんだろうなと思っていたので絶望せずにすんだけど、ユナちゃがしゅっぱ〜つ!してなかったらだだ泣きしてるところだった。ありがとうユナちゃ。 あと本当にトマの家族たちが善良な人たちで、救われた部分が多い。善き人々に幸あれなのだ。 しかし上橋先生の描かれる『失った男』、イアルもそうだったけど、強くて静かで激情を秘めてて、す、好き〜!! となってしまうな。ヴァンはイアルよりも安定感があってよい、イアルは少し不安定なとこがよい。どっちもメロい。うむ。もう一人の主人公のホッサル? ホッサルはねぇ、失ってないので選外です。 ところでチイハナさんの発音がどうしてもちいかわになってしまうんだけど、ほんとのところはどうなんだろうか。
  • 2026年4月22日
    鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
    獣の奏者は過去の惨劇の真実を隠匿してきた国の話だったけど、こちらは過去の悲劇の原因を探究してきた人たちの話なんだね。ファンタジーと呼ぶには生臭く、医術ものと呼ぶにはファンタジーで、獣の奏者みたいな絶望と動乱の予感こそないけど、正体不明のうすら寒さを感じる上巻。最初のあらすじ見ただけだと、ヴァンとユナの擬似親子のサバイバル絆ファンタジーかと思ってしまうんだけど、こりゃあそんな生っ白いもんじゃないぜ……!!という空気をバシバシ感じてる。ヴァンの安定感ユナちゃの可愛さとマコウカンのポンコツぶりだけが癒しだった。 しかし現実の歴史でもあったことだし、今もどこぞの恐ろしいところがやっていることでもあるけど、東乎瑠帝国のやり方がもやもやするんよな……。民族の在り方やアイデンティティを消し去っていくやり方って、やはり強烈な憎悪を生むんだなぁと思うなどした。
  • 2026年4月17日
    獣の奏者 外伝 刹那
    【刹那】 イアル視点のエリンとのなれそめ話だ〜!!と大喜びしながら読んだんですが、イアルが想像の50倍くらい重苦しい男だったので、手を打ち鳴らしながら喜びの舞を踊った。本編のときから「一人だけロマンスファンタジーみたいなキャラがおるな」と思ってたんだけど、もうはちゃめちゃにロマファン適性が高いよイアル。強くて静かで重苦しい激情を秘めているの、とてもいい。しかもその激情が幼いのが切なくて、エリンの妊娠中のポンコツぶりも、「そういえばイアルが売られたの8歳なだもんな、8歳からあんな特殊すぎる集団にいたら普通のことなんか何もわかんないよな」としんみりしちゃった。 あと読んでて思ったのは、イアルもまた真王という存在(というか制度かな)が作り出した歪みの被害者だったんだな、ということ。真王が清らかな神で在りつづけるための道具のひとつが堅き楯で、堅き楯もまためちゃくちゃ歪んだ組織であって、あれをヨシ!👉としていた真王側はどうかしてると思うよ。何もよくないが????? ともあれ、イアルはたぶんエリンでないとだめだっただろうし、エリンもそうだったのだと思う。イアルがいつか妹と和解できていたらいいなと思った。 【秘め事】 エサル師のお若い頃のお話。エサル師、あんなにも情熱的で臆病な女だったとは思わなかったな。エリンとエサル師、すごくよく似通っていたけど、恋愛に関しては真逆という印象。エリンは添い遂げることを選び、エサル師はそうしないことを選んだというか。エリンは突っ走ったけどエサル師は突っ走れなかったというか。それは天涯孤独のエリンと、貴族というしがらみを持つエサル師の違いなのかもしれないけど。いやでもユアンに対してはおまえ〜〜〜〜💢💢💢!!!!の気持ちです。エサル師があれでいいと言っても私は許さんよ!!両方とも貴族だったから仕方がないのかもしれないけど、ユアンが浮気男である事実は消えないのです! ところでこの外伝、イアルとエサルという、エリンにとってとても重大な存在の視点で語られるのが恋の話というのが大変興味深かった。確かに恋愛という要素、本編に入れるとなると難しいので、外伝でよかったかも。
  • 2026年4月13日
    獣の奏者 (4)完結編
    読み終わってみて、徹底して『伝える』ということを考え、突き詰めていった物語だなぁと。『伝える』と『考える』についてのお話というか。エリンは母からきちんと伝えられずに母と別れたことで、逆にきちんとジェシに伝えようとする姿が印象的だった。そして過去の惨劇の真実を秘することで統治を続けてきた真王のやり方は、今でいうところのプロパガンダだよね。その歪みを支払ったのがエリンであったことは、やはり哀しいことだと思うよ……。エリンは「自分のせい」って思ってたけど、そんなことないよな!!  為政者が統治のために秘していた真実が不幸にも失われ、時と共に歪みを引き起こした。エリンは確かに引き鉄を引いたかとしれないけど、それはエリンのせいじゃない。時代が変われば国の状況など変わるものだし、真王側は継承が途絶えてしまったから仕方ないにしろ、アーリョ側は真王側の真実の継承が途切れたときに、真王に真実を提供してもよかったんじゃないんですかね!! という気持ちになりました。 あと、上橋先生ご本人が後書きで書いているように、確かにこのお話自体は王獣編で終わってるんだなとも思った。その後の話はオマケというか、王獣と人を描いたこのお話の中の、人と人のことを描いたのが探索編と完結編のイメージかも。 全編を通して静かでもの悲しく、なんというか、カタルシスが得られるかどうかはその人次第という感じがする。個人的には、もう少しラーザのことが知りたかったかな〜と(設定厨だから)。 ちなみに読んでて一番好きな登場人物はイアルでした。外伝はのんびり読む!
  • 2026年4月13日
    獣の奏者 (3)探求編
    最初1巻読み飛ばしたかと思って表紙を確認したよね。えっ、じゅ……!? 11年後!? エリンが子持ちに!? とぶったまげスタート。夫が全然明かされないまま話が進んでいくから、エリンの夫は一体なにアルなんだ……と思いながら読み進めた。いやだってあいつしかいないじゃん、エリンをちゃんと受け止めてくれる男は。しかし降臨の野でのあの後、一体何がどうなってそうなったのかの詳細は語られなかったので、ロマファン好きとしては次巻に期待せざるを得ない。そこんとこくわしく。 エリンとイアルって持ってる空気がよく似てるなと思ってたので、2人が夫婦になったことには何の疑問もないけど、2人とも自分に対して肯定的ではないし、背負うものも重いから、そこに至るまでには深い葛藤があったかもなぁと思ったりする。そして、イアルがめちゃくちゃ『人間』になってて驚いた。2巻までのイアルってどことなく人形じみた部分があったから、そこから抜け出したのだなぁと。お父さんしてるイアルかっこよかったよ。そして2人の子であるジェシがよく喋る子なの、ほんとにどこから来た遺伝子なんだろね! でもエリンとイアルが静かだから、子供が元気すぎるくらいでちょうどいいのかも。エサル師もすっかりエリンの親みたいになっててじんわりした。 あと3巻読んで痛切に感じたのは、真実の隠蔽と技術と知識の限定的な継承は、結局のところ臭いものに蓋をする行為になるのかもなぁということかな〜。まだ過去に何があったのか全ての真相はわからないけど、少なくともこのお話のこの国は、歴史に学ぶということができなかったのかも。きっとその瞬間瞬間で最善の選択を積み重ねていったのだろうけど、結局は数百年に及ぶ真実の隠蔽が招いた歪みをエリンが一身に受けることになってる気がする。不憫だよ……。
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