キッチン

73件の記録
- noko@nokonoko2025年10月3日買った読み終わった心に残る一節「人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは、自分のどこなのかわかんないと、本当に楽しいことが何かわかんないうちに大っきくなっちゃったと思うの。あたしは、よかったわ。」 と彼女は言った。髪にかかる髪がさらさら揺れた。いやなことはくさるほどあり、道は目をそむけたいくらい険しい……と思う日のなんと多いことでしょう。愛すら、すべてを救ってはくれない。それでも黄昏の西日に包まれて、この人は細い手で草木に水をやっている。透明な水の流れに、虹の輪ができそうな輝く甘い光の中で。(「キッチン」) うまく口に出せないけれど、本当にわかったことがあったの。口にしたらすごく簡単よ。世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい、って。……それで女になって、今この通りよ。 人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言った方が近いのかもしれない。私も、そうだった。しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くり返す日々が自然と決めてしまうのだ。そして、人にはよってはこうやって、気づくとまるで当然のことのように見知らぬ土地の屋根の水たまりの中で真冬に、カツ丼とともに夜空を見上げて寝ころがらざるを得なくなる。 ーああ、月がとてもきれい。 私は立ち上がり、唯一の部屋の窓をノックした。(「満月ーキッチン2」) 等。 私はもうここにはいられない。刻々と足を進める。それは止めることのできない時間の流れだから、仕方ない。私は行きます。 ひとつのギャラバンが終わり、また次がはじまる。また会える人がいる。二度と会えない人もいる。いつの間にか去る人、すれ違うだけの人。私はあいさつを交わしながら、どんどん澄んでいくような気がします。流れる川を見つめながら、生きねばなりません。 あの幼い私の面影だけが、いつもあなたのそばにいることを、切に祈る。 手振ってくれて、ありがとう。何度も、何度も手を振ってくれたこと、ありがとう。(「ムーンライトシャドー」)
- サカキ@sakaki08252025年9月28日読み終わったまた読みたい物語がずっと明るいわけではないのに、予定調和でなく最後に前向きにさせてくれる作品だった。 「ろくでもないことと、普通の生活を同時進行できるくらいに私はいやらしく大人になったが、確かに生きやすくなった。だからこそ、こんなにも今、心がずっしり重い。」 主人公ほどの、ろくでもないことは自分にはないけれど、大人になることって本当にこういうことだよなと思う。 あと吉本ばなな作品の、食べるものや植物のように身の回りに当たり前にあるものが自然と、象徴的に描かれるところに惹かれている気がする。 「コップが陽にすけて、冷たい日本茶のみどりが床にきれいに揺れた。」
- Yuyu@yuyuchamn2025年7月10日読み終わったこれはどういう本なんだろう。 また読まなきゃいけない本であるという気がした。 読むタイミング、年齢、時代によって受け取るものが変わってきそう。 でも、変わらないものもあるような。 人はどこまでも1人だし、誰も同じ人生はなくて、同じ経験もない。特別じゃないけど、だから特別。 止まっているようで流れている、その流れの中でその時感じる苦しみ、変わりたくないけど変わりたいジレンマ、変わることで記憶が過去になってしまう不安。変わることと変わらないことについて考えさせられた。うまくまとまらないけど、そんな感じ。 自分ごととして捉えられない今読んだこともまた大切な気がした。私はまだ身近な死を知らない。 またいつか読もう。
- Kanako.H/燈花書房@kanakopk2025年6月24日読み終わった読書会課題本読書会課題図書のため久々に読み返す。多分、人生で1〜2番目に読み返している作品。いつ読んでも瑞々しく、浄化されていく、透明感あふれる筆致と世界観に何度でも身を預けたくなる。カツ丼を食べたくなるし、川沿いをランニングしたくなる。
- はる@oic_2025年6月21日読み終わった読了後は胸がいっぱいの状態になります。 吉本ばななさんの物語や登場人物の空気感を作るのが すごく上手だなぁ… 本当にこの人たちがこの世界に居るように感じる。
- 菜穂@mblaq_08252025年6月10日読み終わった本のある暮らし積読家30年振りくらいの再読。 奇妙な3人暮らしがとても自然で穏やかな読み心地。 哀しいこともあるけれど前向いて笑顔で生きていこうと思える1冊。 吉本ばななさんの作品はいつ読んでも色褪せません。
- 廣 亜津美@hiroatme2025年4月12日かつて読んだとても新鮮な感じがした独特の文章、はじめて庄司薫を読んだときにもそう感じた、そんな印象でした。ちなみに、映画化もされましたが、なんかまるで印象が違う物語になってました。筋はそのままなのに
- oto@sakana__books2025年4月11日読み終わった大切な人の死に直面した男女の話 どちらのお話も会話文や主人公の内言語の文に独特な雰囲気があったり、夜の描写が切なくも美しくて、文章としてもすごく味わい深かくて、沁みる言葉がたくさんあった。 どちらのお話も家族や恋人など大切な人の死を受け止め、立ち直って行こうとする話だけど、それだけでなく家族のあたたかさを感じたり幸せの形について考えさせられたりと、生きるためのエネルギーをもらえる作品だった。 あと、無性にカツ丼が食べたくなった…🤤 落ち込んだ時に読み返したい宝物の1冊になった。
- 茶々@chacha_842025年3月6日読み終わった実家にあって、学生時代に読んだけど内容全く覚えてなくて。最初の「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う」って文が忘れられなくて衝撃的で、自分で買ってようやくちゃんと読めた。やっぱり好き。何とも言えない感情たちをそっと守ってる感じ、?たぶん何度も読むんだろうな。
- him@manimani_8452025年3月5日再読中高校生の終わりか大学生の初めごろかな、読んだことある 『ムーンライト・シャドウ』に不覚にも泣いた、ボロ泣きだった テーマも内容もあまりにありきたり、卒業制作のものなのでまだ技術力も十全ではなかっただろうに こんなに陳腐なもので泣ける自分が憎いような、心が綺麗で安心したような、まだまだ雑魚だなと拍子抜けしたような 吉本ばななは、学生の若くて固くて未熟な恋を馬鹿にせず、全ての恋を1回きりのものとして扱ってくれるからよい 「それが最後かと思えない程度の恋なんて、女にはひまつぶしもなんない。」(p.196) 全くもってその通りである。
- 茉莉@matsuri_hon2021年8月28日読み終わったとても好きだった。 まるごと好きな物語だった。 みかげも、さつきも、 間違いなく私の中にいる誰かだった。 道は日々が自然に決めてしまう。 幸せを祈ってもよいのだ。 大切な人が今日もよく眠れますように。