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@imadokokokodayo
  • 2026年8月25日
    帰れない山
    帰れない山
    映画を鑑賞してすぐ原作小説を購入し、読みかけのまま1年半放置していたのを最近一気に読み終えた。映画で観た時に気になった台詞があり、その台詞が発せられるに至る描写はどんなものだろうかと気になって読み終えてみたら台詞が存在しなくて驚愕。映画で加えられたものだった。 自分の内側から出る手段を持たない人間が吐く弱音。空気を震わせることなく落下する弱音。取り返しがつかないのに悲しさだけで支配されることがないのは、山を舞台にしているからか。常に寂寥感がこびりついて離れないのに焦がれて仕方ない、山を舞台にした物語がとても好きだ。好きな山の物語だった。また映画を観る。 著者の幼少期を反映し、男性同士の友情の理想を描いたと書いてあった。手を差し出すことも差し伸べることも不器用で、その不器用さの中で足踏みし合った末路という感じで何かを思うことが難しい。理想かどうかは知らないが、こうなるしかない男たちのことは嫌いではない。 モンテ・ローザ山麓で生きる人間の姿を想像し、山の様子を想像し、出来ることならそこを歩きたいと思った。 
  • 2026年7月1日
    ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
    ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
    最初数ページを読んで出てくる単語や言い回しのすべてに引っかかってしまい前に進めなくなる。一つ一つに意味を追い求めている限り前に進める気がしなくて、単語も言い回しも数学の公式のように丸ごと一旦そういうものだと置いて、流れるリズムに飛び乗る意識で読んだら読めた。 テクノロジーにより変貌した人体が送る日常と吐き出すスラングを当たり前の顔で描写するから、そりゃ飲み込むのは楽じゃない。知らん。構造物ってなんだよ。 自分が物語を分かっているのかいないのか分からない線上で読み進めているくせに着実に没入していて、時々必ずハッとする場面描写に当たっては「うわあ」と口が開く。人の気配がないリゾート地の異様な潔癖さとか、場所の描写が印象に残る。あとモリィの過去回想、アシュプール翁の登場と退場、リヴィエラの眼球も。格好良い文章だった。
  • 2026年4月5日
    アセクシュアル アロマンティック入門 性的惹かれや恋愛感情を持たない人たち
    Aro/Aceをどのように理解したら良いかの取っ掛かりとして、現状や構造を統計や研究の上で丁寧に解して提示する良書。翻って自分への問いかけにもなる。大事なのは相手の言葉を奪わないこと、自分の手持ちのラベルを相手に貼るような理解の仕方ではなく、ただあなたが話すあなた自身をそのまま聞いて受け止めたら良いのだと思った。シンプルな話だけど、規範による色眼鏡は強固なので意識的に取り払わないと見失う。
  • 2026年2月10日
    ロックンロール 上
    WEB広告で見かけて立ち読みしてこれは紙で欲しくなるやつかも…と本屋で購入。結果とても好き。幼馴染の関係から変わっていくものを柔らかく受け止め、変わらないものを掴んで撫で回せる彼らはとても素敵だし、ふたりだけの世界で完結することなく生きる姿に嬉しくなる。それぞれの両親へのカミングアウトは、現実のままならなさを思うと少し理想的過ぎる気もすけど、世の中の多くの人が彼らの両親のような態度や言葉で接してくれたら生きていけると思える子供がたくさんいるだろうなと思った。現実の希望のような感覚が残る。 この物語で描かれるふたりを含めた子供たちみんな生きて大人になって、一緒にいたい人と(ひとりでも)幸福に生きて欲しいね。30代後半の同性愛者の女ですが、よっしゃ生きていけるな〜〜〜!と思いながらにこにこ読み終えた。物語の彼らも、現実の我々にも幸あれ。 しかしまあ高校生女女の物語だとこの空気感の漫画ってあんまり浮かばない。ポプテピピックぐらいか…?高校生で言うと魚喃のblueが浮かぶけどあちらはだいぶ空気が違う。太平洋側と日本海側の冬空ぐらい違う。
  • 2026年1月20日
    この二次会をさっさと抜け出して家でパンをこねたい
    都築響一『TOKYO STYLE』に憧れて上京したと書いてあり親近感を覚えるエッセイ集。 読んでいると昔わたしが東京生活時に出会った様々な人の面影が泡のように浮かび上がってくる。その面影が一通り過ぎ去った後に、ようやくブンさんと出会う気持ちになった。この日常も言葉も「ああブンさんだな」と納得が生まれて勝手に馴染んでいくのが面白かった。家の中にバスケットのゴールがあるような生活を送っている人がこの世にいるのだと思うと、愉快に気が抜ける本でした。笑った。 読み始めは少し言葉遣いが苦手なのと共感性羞恥っぽい気持ちでどこかいたたまれなさでいっぱいで、これ読めるかな…?と思っていたけど大丈夫だった。知らん人だけど慣れたし親しみが出た。
  • 2026年1月15日
    帰りに牛乳買ってきて
    永遠に終わらないで欲しいと思った時間を、永遠に続けていく意志で続けている女と女の暮らしのコミックエッセイ。とても良かった。それぞれ好きに生きている同性同士が一緒に暮らし続ける選択をしていると、その終わりはいつなのかと問われるらしい。素朴な面構えのくせに社会規範を内包した性質の悪い質問だ。そんな問いが人々の頭に浮かばなくなるまでには「わたしたちはこのように生活し人生を歩んでいます」とわざわざ見えるように言い続け、社会通念の肩や腰を揉みほぐしながら柔らかくしていくしかなくて気が遠くなる。 けど、その時間が損なわれることはなくて、楽しくて素晴らしい時間に変わりはないのだと思える作品だった。これからもそれぞれが選んだ生活を続けていきましょうね。
  • 2025年12月8日
    国宝 上 青春篇
    小説を第六章までしか読んでいない段階で映画を観に行き、それからまた映像を思い返しながら小説の続きを読むと双方から受ける印象の違いに酔いそうになる。どこを削り取り、どの面を磨き上げるかで同じ出来事を描写してもこうも受ける印象が違くなるのかと。映画は原作をまとめ上げて文字通り“血と汗と涙”の物語に昇華する手腕も演技の凄味も眠気が覚める瞬間の連続だったけど、根底は凪いでいて思いのほか熱狂には至らず。なんでだろうかと小説を読んでいて、割り切れない人間の感情が絡み合いながら一つの渦を作り上げていく熱が好きだからだと思う。 喜久雄は周囲の人々を大切に思っていたし、周囲の人々もみんな喜久雄を大切に思っているのに、なのにあのようにしか生きられない姿に短く悲鳴を上げて読み終える。何も突き詰めたことのない人間には縁のない幸福で、個人の幸福は誰もが納得出来るような形をしていないなと思う。それで良い。映画はまず徳次という稀有な存在を削り取ったところが良くないし、徹頭徹尾女性を意思のある人間として扱うことを拒絶する姿勢がなんやこらと思う。吉沢亮と横浜流星の演技も凄いなと思いつつ鼻白む気持ちがあったのは、多分何代にも渡って男たちで構成され維持されてきた歌舞伎世界に対する鼻白む思いが浮いてきてるんだろうなと思う。
  • 2025年9月4日
    銃と助手席の歌
    銃と助手席の歌
    劇中に出てくる姿形が連想されない単語(ブラックコカトゥーやロードトレインなど)を調べ、GoogleMapで街や道の位置関係を確認し、楽曲名があれば探して聴きながら西オーストラリアの赤茶けた大地を爆走する2人の少女の逃避行を想像して読むのが何とも楽しかった。意図せず姉の恋人を殺してしまった白人の少女と、そこに居合わせたアボリジニルーツの少女が金塊と死体を乗せて荒野へ走り出すのは最高なんだけど、着地は正直都合が良過ぎて不完全燃焼。 でも水と油だった少女たちの関係が水と油のままでも寄り添い合う関係に変化していくのはとても良かった。怒りに飲み込まれそうになる時あなたの顔を思い浮かべて踏み留まるっていうのが、人間関係の中でかなり好きな形なので。相手の存在によってもたらされる一方的な変化が好き。今作を読んでいて思ったのは、わたし思った以上にオーストラリアに興味がないんだなーってこと。だから何それ!と思う単語ばっかりで楽しかった。
  • 2025年7月15日
    多聞さんのおかしなともだち 上
    女性が好きなわたしは周囲から透明にされてきたし、わたしも自らを透明にしてきたと思う。ずっと自分は少数派だと思っていたけどある部分では多数派で、きっとわたしが透明にしてしまった誰かがいるはずだと想像し始めたのはだいぶ経ってからだった。自分が透明にしてしまった人たちの声を見たいと思い手に取った本。理解したと思った瞬間から思考は停止するからただ知りたい。上下巻を通して深い川底から言葉を探るような対話があり、その川底からとっくに発見している自分という人間を言葉と声によって外の世界へと発露させていく試みが描かれる。 作中、実在する馴染みのある物語がたくさん出てくるので内心飛び上がる。嬉しい。17歳のわたしは『LOVE MY LIFE』を芯に据えていたし、20歳のわたしは『GO fish』に日常を夢見てた。血肉になった物語たちの上に、語られなかった物語が語られ始めている。とても素敵な物語でした。読んだことのない物語も多いので、これからまた着手できたら…牛歩の読書スピードだけど…
  • 2025年5月9日
    さびしさについて
    さびしさについて
    自分と同年代の人々が親や子供やパートナーや友人といった他者や、戦争といった出来事に際して何を感じて考えているのかを知りたいと、わたしは欲しているのだと思い満たされた。自分自身と関わることを放棄しない場所から生じる、他者への柔らかな眼差しが往復していた。“もうけつしてさびしくはない なんべんさびしくないと云つたとこで またさびしくなるのはきまつてゐる けれどもここはこれでいいのだ ”という一節が浮かび、武田砂鉄さんの解説「それぞれなんとかやっていて」へと繋がり、優しさは願いのようだと思う。素敵な本。
  • 2025年3月2日
    BUTTER
    BUTTER
    女性として社会で生きていくことはパイ投げのように飛んでくる呪いにまみれて生きることで、今作ではその呪いが可視化されて突き出されていくから一つ一つ飲み込むしかなくて胸焼けする。だけどパイまみれでいるより遥かに呼吸がしやすくて、読み終えると意外にも解放感があった。とても意地悪だが、誰とも言わず男性に対して「これを読んだあなたが居心地の悪い気持ちになったらいいな」と思った。感情が波立つならば、ほんの少しの希望の取っ掛かりに感じられるから。「何も分からなかった」と言われた日には、まあ白眼ぐらいは剥かせていただきますが。どうなんだろうね。 読んでいると10代の頃にかなり強く抱いていた男性嫌悪が噴出して精神にニキビが出来るかと思ったが、憎むべきは構造だと思うと落ち着く。構造を無自覚に引き受けている人には怒りを抱くが、怒りで摩耗する体力もないのでそういった人となるべく関わらない人生を送りたい。でも中指は立てたい。矛盾。
  • 2025年2月1日
    方舟
    方舟
    なんて気の重い読後感。手の平で転がされ切った上で提示される真実に、それまでの行動言動が反転していくのは一種爽快だけど結末のえぐさが強調されて顔を顰める。“死んでもいいのは、死ぬべきなのは誰か?”と問うた時点で避けられない結末だった。底意地が悪いね。面白かったです。 舞台である地下建築『方舟』についての掘り下げがもっとあればいいなと思うけど、そうなるとどうにも主軸がぼやけてしまうだけだから、舞台背景はもちろん人物の内面描写も最小限にして最後の反転の衝撃に備えるような一点集中の物語構成だった。なので結末のえぐさのわりに軽やかな読後感でもある。カタルシスを圧縮させて、それで汚物を拭くような無情さがグッとくるラストの絶叫が最高でした。
  • 2025年1月28日
    新装版 殺戮にいたる病
    強固な構成に対して人物造形の肉付けが甘くやや物足りなさを感じてしまうけど、小説ならではの仕組みが面白い。結末に辿り着いてすぐに何ページか読み返して「なるほど…」と。丹念な人体損壊描写は、文字を読みながら脳内に直接再現されるので逃げ場がないね。 でもそれは望むところだったから別に良くて、どちらかというと女性の記号的な描き方に読んでいて疲弊した。92年という時代性もあるし、物語の語り手が自己中心的な人物で女性を蔑視しているならそうなるのは仕方ないのだけど、全体的に女性像が薄っぺらくて苦痛。読書中ずっと薄っすらと苛立っていた…そうなるともう嘘はついていないけどあるべきものも書かなかった構成すら(よく出来ているけど)ちょっとずるさを感じて苛立ってくる始末…補って余りある程には熱中しなかったので辛口で終わる。高校生の時に読んでいたらまた全然違ったと思う。
  • 2025年1月25日
    十角館の殺人 <新装改訂版>
    ページをめくる手を止まらなくさせたい欲求を叶えるために選び、そして見事に止まらなくなる。天地をひっくり返す一文によって世界の見え方が変わる醍醐味ね。海に、己がこれから犯す罪の是非を問うように投げ入れた良心の行方が好きだった。ドラマ版を観るのも楽しみ!事件のトリックが思った以上にシンプルでやや不足を感じてしまうけど、いやこれは京極堂シリーズと違うのですよ憑き物落としはないのですよとハッとする。十角館は一つの大満足と三つの不完全燃焼、そして島田と江南が館シリーズを背負って続く事実に胸が踊ったな。そう、わたしは島田潔のような人物造形が大好き…
  • 2025年1月24日
    こころはひとりぼっち
    パートナーと、パートナー関係を解消した後の日々。ひとりぼっちでいることに不慣れな人がひとりぼっちで居る記録。どうなるか分からないし、どうしたいかも分からないけど、今ここにある感情を撫でるように文字にしていく人だ。ずっと羨ましい。最後のページで声が出た。長く苦しいことの隙間に挟まれる祝福だった。同性間で婚姻関係に至れないので想像することしかないけど、結婚していたら何か違ったのだろうかと思うことはたまにある。法的な手続きが踏みとどまらせることはあるかもしれないけど、まあ、そうゆうことではないのだろう。
  • 2025年1月17日
    ドキュメント生還2 長期遭難からの脱出
    遭難時の装備と食糧を見るとよくこんなに長く生き延びられるものだと驚く。人間の生命は案外しぶとい。けど明暗を分けるものは紙一重で運次第と言うしかない結論に、改めて肝が冷えて背筋が伸びる。心底恐ろしくて勉強になる山岳遭難事例集です。国見岳での遭難捜索のTwitter投稿も見た記憶があり、ここ10年ぐらいの新しい事例が紹介されている。強烈な幻覚体験と、その後のPTSD発症のお話が印象に残る…遭難のきっかけは道迷いがほとんどなので、何かおかしい違和感を無視せず引き返す判断力を持ちたい。持つ。山で死にたくない。 国見岳で遭難した方、狭い林道にびっしりと老若男女が並んで一人ずつ自分に近づいて顔を覗いては通り過ぎていく幻覚を見たという。そしてその中の一人から「お盆だから誰も迎えに来ないぞ」も声を掛けられたと…強烈。TJARの幻覚話は興味深く聞くけど、遭難者の幻覚話はめちゃくちゃ怖かった。
  • 2025年1月16日
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    遥か彼方の宇宙にまで人類の淵が広がり科学技術により生活がまるで様変わりしても、人間は相変わらず孤独で素晴らしい。未来の壮大な可能性に引き伸ばされていく気持ち良さと、とんでもなく身近なところに着地する愛しさがある短編集。泣いてしまう。
  • 2024年11月21日
    深淵のテレパス
    怪異を肯定も否定もせず、信じたいために疑い続けるように理屈で検証する主人公たちのオカルトとの向き合い方が好きだ。心霊現象を調査する二人組、探偵、超能力者といった面々がそれぞれのやるべきことをやり尽くして解明していく“過程”の面白さに大満足なホラー。惜しいのは依頼人のその後というか周辺の話にもっと肉をつけて見せて欲しかった点。何だろうな、道具として使った設定はきちんと収納して欲しい気持ちがある。軽やかだけど押さえるところはきちんと押さえていて全体的な読後感はとても良い。何よりキャラの魅力。続編(多分)もあるらしいので楽しみ。
  • 1900年1月1日
    溺れる少女
    溺れる少女
  • 1900年1月1日
    英米文学のわからない言葉
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