すべての見えない光
50件の記録
DN/HP@DN_HP2025年10月19日かつて読んだarchiveアンソニー・ドーアも7年ぶりの長編小説の翻訳が年末に出るそうで。翻訳はまた藤井光さんで、間違いなく楽しみ。 詩情豊かな描写、それに訳文の美しさに心が躍る。プロットの巧みさに唸る。ストーリーの行き着く先に固唾を呑む。ページを捲り続ける。読み終わった後にはそれらを合わせた以上の感動が残る。 人はときに残虐で歴史は残酷だけれど、そこから掬い上げられた人々の物語は、やさしさをもって語られる、そこにもある、あったはずのやさしさが語られる。そこには光が差している。そして、その光のなかに希望がある、そう思いたかった。とても素晴らしい小説を読んだ。深くため息をつく。 心身が草臥れているときは、あまり本がうまく読めないのだけれど、それでも本当に素晴らしい小説を読みはじめてみれば、「読書は我を忘れさせてくれる」。時代で区切られたなかで短い断章でそれぞれの人生が交互に語られる。忙しないなかでもすぐに没入でき、一旦離れてもまたすぐに戻ってこられる。繊細に濃密に人生を物語るその構成にも助けられた。また小説に救われていた。 「それでは、ひとつたりとも光のきらめきを見ることなく生きている脳が、どうやって光に満ちた世界を私たちに見せてくれるのかな?」 この小説のように人々、世界が描かれ、それを読むことによってだ。そんなことも思う。 「時間とは、うんざりする余剰でしかなく、樽から水がゆっくり抜けていくのを見つめるようなものだ。だが実際には、時間とは自分の両手ですくって運んでいく輝く水たまりだ。そう彼は思う。カを振りしぼって守るべきものだ。そのために闘うべきものだ。一滴たりとも落とさないように、精一杯努力すべきだ」 角を折ったページを開いて幾つかのセンテンスを何度か読み返す。今度は深く頷く。精一杯努力すべきだ。









まく@maku2025年9月2日読み終わった第二次世界大戦中の若きドイツ兵とフランスの盲目の少女の物語。伝説のダイヤモンドがキーとなったサスペンス要素あり。 重苦しく緊迫感がありつつも繊細な心情が綴られた詩的な文章が素敵で魅せられる。静かな文章から戦争のやるせなさを感じた。









kasa@tool2025年3月29日かつて読んだ時間を忘れて読むほどに、素晴らしかった。 「ラジオ。それは百万の耳をたったひとつの口に結びつける。」 心に残るのは街の模型と電波。 ドイツの歴史が重い


うみこ@umico52025年1月3日読み終わった精緻なシーンの描写。文字を追っていくと、映画のように映像が浮かぶ。そしてその美しい描写で紡がれるのは戦時下のドイツとフランス、時代に翻弄される目が見えない少女とラジオが好きだった少年の物語。美しいからこそ、その残酷な内容はじわじわと這い上がりスッと背筋が冷たくなる恐ろしさがある。でも読後に残るのはひとの温かさだったから不思議だ。ラジオから聞こえる声。巻貝。炎の海と呼ばれる青い宝石。桃の缶詰。「その声は低く、おだやかだ。引き出しに入れておき、ときおり取り出して、指の間の感触を楽しむ絹の布のように。」









はぐらうり@hagurauri-books2024年2月4日読み終わった長かったが、良い物語。不思議な構成だなと思っていたが、短編出身の方のようで腑に落ちる。 細かく時代が前後し、主役も都度交代するので、安易で単純な理解を拒絶しているよう。これだけ長くてもあえて書かないことも多く、読者に想像させる。良い疲労。


サリー@BIG_STAR_SALLY1900年1月1日かつて読んだ普段小説は(ましてや単行本で!)全然読まないけれど、表紙と下馬評で買ってみた本。なかなか邂逅しない二人の行く末が気になってぐいぐい読み進められた。
彼らは読みつづけた@findareading1900年1月1日かつて読んだ*読書で見つけた「読書(する人)」* 《その日の朝、マリー=ロールは、鍵保管室のカウンターの下にもぐりこむと腹ばいになり、十本の指先を、あるページのひとつの行にのせる。そのフランス語は古めかしく思えるし、点字は彼女が慣れているよりも密に印刷されている。 だが、一週間もすると簡単になる。しおりとして使っているリボンを探りあてて本を開くと、博物館は遠のく。》 — アンソニー・ドーア著/藤井光訳『すべての見えない光』(2016年11月3刷、新潮クレスト・ブックス)











































