サイレントシンガー

49件の記録
- なかやま@asheepinthewell2025年8月19日読み終わった借りてきた山の中の森の「アカシアの野辺」(内気な人の会)の雑用を請け負う祖母に育てられたリリカは、無言を貫き最低限の指言葉で意思を伝える人たちに心を寄せながらも、野辺の外の世界で学校に通い、歌を歌い、恋もする。リリカの歌が俗な世界の人々の心を魅了し...という話ではないのがおもしろい。別の意味で誰にも必要な歌声であり、もしかしたらこの世界でもそんな歌が流れているのかもしれない、けれど私には聞こえないのでしょう(でも耳には届いているはず...)
- ましろ@massirona2025年8月3日読み終わった物語をたどるほどに、人物と細部への愛しさが募った。祈りも慰めも哀切も含み、そこに在ったことを遠慮がちに示す痕跡、忘れ難い愛しさをただただ抱き留めたくなる。
- ひいらぎ櫂@shaki31222025年7月30日読み終わった図書館読み終わってすぐこれを書いている。 文章の美しさ?読後感? なんだか心がふわふわしている。 少しずつはっきりしてきた。 作中の森の中に自分もいる感覚。 湧水の冷たさ、森のわずかな木漏れ日。 静謐ってこういうことか。 心がフラットになる。 たまたま図書館が発注したばかりのタイミングに、この本を発見できたので、すぐに読むことができて本当に、本当に良かった。 確か出版区の宇垣美里さん回で、小川洋子さんの作品が触れられて、ちょっと気になって調べたのがきっかけのはず。 (今見たら128人待ちになっていた) 子どもが寝てる間に読了。 クーラーで冷えた足をあっためつつ。
- どうどう@toutoutoudo2025年7月29日読み終わった小川洋子さんの本を読むといつも現実に戻ってくるのに時間がかかる。俗物的に見ると哀れになる人をこんなに高尚に尊く正しく描ける人はいないと思う。今回の主人公は世間と世俗を往来していて最後の選択までが書かれていた。本当に静謐な文章やで文章が静かってなんなんだってなるけど、本当に静かで余分なない。歌の記述も感覚的に思っていたことが言葉になっていた。
- ran@ranraranruran2025年7月25日読み終わった静かで少し不安で、でも何故か心地良さも感じるお話。言葉は誰かと意思疎通する上で大切なツールであり、暖かい贈りものにすることも出来るけど、現代では特に、顔も見えない知らない人をも簡単に傷つける刃物にも変えることが出来る怖いものでもあるよね。
- 小萩海@umiyoake2025年7月20日読み終わった@ 月と六ペンス小川洋子さんの、死や、朽ちてゆくものや、声を発さず静かで、さりげないものへのまなざしが、やっぱり好きです。ともすれば、見過ごしてしまう、簡単に消し飛んでしまう、見ないふりもできる、忘れられていく、暴力的に踏み躙られていく、時には理解しがたいだろう、もしかしたら今の自分には立ち止まってももう見えないような光景が、本を開いたらそこに広がっていることが、有難いです。 読みすすめ、読み終えた場所が、まさに沈黙の守られた場所だったので、そういったリンクも感じられて幸福でした。その感動を思わず店主さんに伝えた、今日の読書でした。
- 小萩海@umiyoake2025年7月19日読んでる本とスケッチブックを持って外に出たら選挙カーが止まって演説していたので遠巻きに聞いていたらしんどくなってしまい、スーパーで簡単な買い出しだけして帰宅し寝てた。起きてちょっとだけ読み進めた。小説をゆっくり楽しむ余裕が薄れているのを感じている。 「余分、失敗、屑、半端、反故、不細工……。そういう、不完全なものと親しくしておかなくちゃ」(p.39)
- sakura@sakura_042025年7月6日読み終わった読み進めるうちに、いつの日か欠けてしまった部分に光が灯されていくような気がした。どこが痛むのかさえ分からなくなっていた身体が、少しずつ安らいでいくのが感じられる。傷は決して消えることなく、ずっとそこにあり続けるけれど、その不完全なままの身体を、この本は抱きしめてくれる。