族長の秋

120件の記録
- No.310@__310__2025年7月21日読み終わった全編通して奇術じみた文章で難解、でもすごく面白かった 理解できないのに面白いって何?わかんないけど面白いんですよ…… ずっと鮮烈でやかましくて、ずっと鬱々として寂しい 語り手が大統領、国民、臣下その他登場人物と次々に交代し、その語り口も独白、回想、会話と滑らかに移り変わって読み手を振り回すので、慣れるまで少し大変だった 時間軸も空間軸も四方八方に飛び散って、気付けば強い太陽が照りつける道端に放り出されてめちゃくちゃ迷子 「自然の運行をねじ曲げ、宇宙を破壊することになってもいいから」 ↑とてつもない愛の表現としてあまりに美しくて大好きな一文
- 米谷隆佑@yoneryu_2025年6月7日読み終わった族長、つまり大統領閣下の死から始まる本作は、章立てて続く物語で、一度も改行されず黙々と読ませるだけの魅力がある。読後感は、まるでクラシック音楽の一定のテンポに様々なメロディを詰め込んで感動させるような、あるいは、新聞紙の事件や日常を隅から隅まで読み込んで朝の日課があっという間に過ぎ去るような、そんな感動が湧き上がる。ガルシア=マルケスの特長とする、繰り返される記号の安心感は健在だ。異様な数、肉体の腐食や秀美、聖体、家畜と部屋、時間や曜日や日付に執拗に拘り、場面の切り替えや句読点的で閑話休題的な休息を与えて、さぁ、虐殺事件やテロが始まるぞ、と文体を一気に引き締めて癖になるのだ。目隠しのジェットコースターは、山や谷に突っ込む前の浮遊感で恐怖を助長するだろう。まさに、そんな感じだ。文章は、常に誰かの口から伝わる「物語り」調であるが、時々、大統領や妻子らの声をそのまま載せてみせるので、どこからが語り口で、どこからが引用なのかが、緩やかに接続されているのが特徴的で、このスパイスは『百年の孤独』になかった味付けとなっている。読者は、誰かの語りを借りて大統領を観察するので、彼の複雑な観念に入れ込むことはない。故に『族長の秋』は、周辺情報から察するに、本当に恐ろしくて悲しくて美しい、国の長の物語なのだ。南米文学の骨頂だろう。日本人の我々には想像できない、独裁者の権威と孤独の歴史は、ガルシア=マルケスが生きた南米だからこそ書けたものなのだと確信できる。今なお取り沙汰される汚職事件や政府の長の短期間での交代劇や、暴力や貧困にあえぐ街を知れば知るほど、筆者の世界観は、まだ続いているように思わされる。つまり、南米のマジック・リアリズムはかなり現実的で、しかも文学的に強烈な皮肉へと昇華されているのだ。なお、この感想文を改行せず書いてみが、ぼくにはまだ早い文体のような気がして、あるいは、安直な真似事のようで恥ずかしくなった。
- かみかみ@kamikami35942025年4月11日読み終わった『百年の孤独』のブエンディア一家の面々以上に孤独な独裁者を描いた怪作。段落がなくて非常に読みにくい上に、 グロテスクでマジックリアリズムマシマシ。大統領はアウレリャノ・ブエンディア大佐の成れの果てという感じだった。 死からの復活と処女懐胎(?)で生まれたというイエス・キリストとの共通点、それと生娘のような滑らかな手、取り巻きや御用メディアに囲まれさぞやご満悦と思いきや満たされない空虚さを抱えた心中と極めて雑多な要素を併せ持っているのが本作の大統領だと思った。
- おおくまねこ@okumanomemo2025年4月8日読み終わったなんとか最後までいけた。改行なしで視点も時間軸もどんどん変わっていくのでついてくのが大変。よくこんなの書いたなぁ。翻訳したのもすごい。
- たむ@tamsan0_02025年3月14日まだ読んでるようやく半分?くらいまで読みました📖 改行もない段落もない文章がずっと続くので、書いた人もすごいし訳した人もすごいし読む人もすごい、みんなすごい、わたしもたのしく読んでます。 そして新潮文庫の小説の滑らかさというかやわらかさ、すきだ〜
- butter cup🌿@lo3o-v-peony2025年3月5日買った積読中百年の孤独がはちゃめちゃで面白かったので、こちらも購入。 あらすじからしてやばい香りがしてる…! 文庫版表紙は百年の孤独と同様美しい。