調査する人生
158件の記録
Yamada Keisuke@afro1082025年12月28日読み終わった社会学者である著者と、同じく社会学を専門とする研究者たちとの対談集ということで読んだ。データから傾向を見出し、圧縮、抽出することが価値とされがちな現代において、著者が「再現不能な、一回性の科学」と呼ぶ社会学の一側面の奥深さを知るには、まさにうってつけの一冊だった。 本著は著者と六人の社会学者との対談集。著者が聞き手となり、各人のこれまでの調査や活動をたどりながら、その中で社会学のあり方そのものが語られている。社会学がここまで広く認知されるようになった背景には、間違いなく著者の功績がある。そのフロントランナーが、他の社会学者たちと向き合い、彼らの調査対象やスタンスを当人の言葉で引き出していくため、議論は自然と頭に入ってくる。すでに読んだことのある研究者については理解が深まり、未読の著作については今すぐ手に取りたくなる。特に石岡氏の『ローカルボクサーと貧困世界』は格闘技好きとして絶対に読みたい一冊だ。 議論の中心となるのは、社会学における質的調査である。量的調査がデータから確からしさを抽出するアプローチだとすれば、それはデータ社会である現代の価値観と親和性が高い。一方で、数を稼げない質的調査をどのように行い、その結果をどう解釈するのか。本書では、沖縄の若者、部落差別、女性ホームレス、フィリピンのボクサー、在日韓国人など、対象は千差万別でありながら、それぞれが自分なりのスタイルで対象との距離を模索している様子が浮かび上がる。 質的調査と一口にいっても、著者のようにワンショットサーベイで強い関係性を結ばないスタイルに対して、参与観察で特定の対象と距離を縮めながら、話を聞いていくスタイルでは考え方が異なる。その差分が繰り返し言語化されることで理解が深まっていく。なかでも、著者が沖縄で出会ったおじいさんのエピソードを通じて語られる「他者の合理性」は、人の一側面だけを見て安易に判断してしまいがちな現代において、強く考えさせられるテーマだった。 タイトルにもある「人生」というのは、本著を貫く重要なテーマである。インタビューにおいて、研究に必要な情報だけを切り取るのではなく、より広い領域で話を聞くことで、想定外の枝葉から多層的で豊かな語りが立ち上がる。この感覚は、自分で『IN OUR LIFE』と名づけたポッドキャスト番組を運営していることもあり、実感を伴って理解できた。7年前にポッドキャストを始めたのは、SNSの窮屈さが最大の理由だったが、大事にしていたのは特定のテーマになるべく収束させず、話者同士の関心に委ねて会話を広げていくことだった。非圧縮でだらだらと話す中で話題は発散していくが、それこそが「人生」なのだと思っている。本著の言葉を借りれば、我々は「重層的な生」を営んでいるのだ。 事実関係とディテールの違いについての議論も印象的だった。事実偏重の態度では、その場のやり取りだけがすべてだと誤解されがちだが、語りを文字に起こし、理論を重ねることで、出来事はより立体的に、伝わる形になる。理論だけでは手詰まりになり、現場だけでは一過性の話にとどまる。そのバランスを取ることで真理に近づこうとする営みこそが学問だ。 打越氏、上間氏、朴氏の著作は読んでいたため、その前提を踏まえて読むことで各人の社会学に対するスタンスや対象との距離感を知ることができた。とくに沖縄を調査対象とする著者、打越氏、上間氏の議論では、沖縄特有の空気や風習が深く掘り下げられ、それぞれの著作の「ビハインド・ザ・ストーリー」を覗くような感覚があった。単なる読み物ではなく、学問なのだという当たり前の事実にここでも気付かされた。 一方で朴氏とは他のメンバーとくらべて議論が平行線を辿る場面があり、興味深かった。「わかる」ということへの認識の違い、エモーショナルになることへの慎重な姿勢。感情に流されてしまいがちな自分にとって、ここまで整然とした態度は簡単に真似できるものではないと感じた。本著を読むと『ヘルシンキ 生活の練習』シリーズで著者が淡々とした描写に徹している理由もよくわかった。 普遍的にいえば「人に話を聞くこと」が本著のテーマであり、その行為について対話するという構成はメタ的と言える。相手の話を受けて、自分の見解を足して返していくスタイルで、これだけ議論をスイングさせられるのは著者の力量に他ならない。十年ほど前、サイン会でほんの一瞬言葉を交わしたことがある。短い時間にもかかわらず、緊張するこちらの話を引き出し、そこから会話を膨らませてくれた。そんな記憶が、本書を読みながら蘇ったのであった。
てぃ@bookt2025年12月23日読み終わった何十年もフィールドワークしているプロでヒアリング力の神だと思ってる人たちでも、結局相手の感情はわからんし理解を頑張ってるからなんか安心した。 内容ちょっと難しかったからまた読みたいな。

てぃ@bookt2025年12月19日読んでる電車の中で📕 何十年もフィールドワークしてる人たちでも、結局人の考えることはわからないって結論ではあるみたい。 せやけどそれで終わるのではなくて、わかる部分を探して生活史踏まえて理解しようとすることはできる。どっちも納得。- さみ@futatabi2025年12月17日読んでる1章まで 「離れてしまった人たちの人生がどこかにあって、それは一つひとつ理解可能な行為の選択を繰り返しながらお互いに離れてしまったので、それを相互に理解できるようなものを書きたいです」 「精度が粗いことを書くと、暴力をまったく理解できなかったり、あるいは振り子が逆に振れて、美化したり、ロマンティックな話になってしまう」 「理解するってね、どこかで情状酌量してしまうんですよ」

みっつー@32CH_books2025年12月14日読み終わった「おもしろー!」と「疲れたー!」がずっと右往左往しているような読書体験、というか講義だった。 大学で社会学を学んでいたのだけれど、全く身になっていなかったので、「社会学を研究し続けてる人ってどんな人なんだろう」という気持ちで読んでみた。 著者を含む対談相手は「フィールドワーカー」という、調査対象を決めて、その人たちの人生や生活を研究している人たちのことで、その人たちのお話が対談形式で書かれていて、とても興味深かった。 何度も話に出てきたのが「エモくならないように」「ドラマチックになり過ぎないように」「消費されてしまう」という文言で、調査したことを論文や、本に書くにあたって、あくまでも美化したり、人の人生を慎重に伝えなくてはいけない立場なんだなぁと感じた。 沖縄のヤンキーについて調査している方のお話は、女性に対して暴力を奮ってしまうような加害者側の方に対して、その暴力性がダメなことだということは理解しつつも、「いくらでも話は聞いてやる」というスタンスを保っている。 とても熱くて、だけど、本当に難しい立場だなぁと感じる。 自分の倫理や、意見を持ちながらも、完全に味方なわけでもない。 あくまでも調査でありながらも、そのコミュニティに対して全力で取り組む姿をもっと学びたいと思った。 興味深そうな本がたくさん紹介されていたので、そのうちそちらも読んでみたいな。
停好@ODAQ2025年9月1日読み終わったかなり人間と関わる面倒臭さというか、責任的な話もあり、フィールドワークの難しさを感じる。 良い記述のディテールを耳コピして採譜することに例えているところが面白かった。


nessie@nessieayako2025年7月7日読み終わった端的に定義できないことは山ほどあって、むしろ社会ってそういうものが集積した状態なのではと思いながら、私の脳めっちゃちいさ!って落胆して、気が遠くなりそうになる一方でなんだか救われるような気持ちにもなった。読んでよかった。 他者を理解することはどこまで可能なんだろう。数年後に読み返したらまた違った読み方ができそうな気もする。


Ken@ken_book_lover2025年5月30日読み終わった2025年の1冊目。質的調査を専門とする研究者同士の対談集で、どのように調査しているのかという裏話が聞けたり、質的調査という方法論の問題について議論されていたりと面白かった。幾人かの人生の断片を丁寧に聞けば、そこから一般化できることがある、という岸先生の信念にも共感。 「よいエスノグラフィーや生活史の社会学はすべて、ディテールが書かれている」というのが印象的で、たまたま別で読んでいる脚本の教科書にも同じことが書かれていた。どれだけ細かく登場人物のリアクションを描写したシーンが書けるかどうかが大事と。研究でも物語でも、具体性こそが人に何かを伝えることができるんかな。
芙柚@mint_2025年5月29日読み終わった大学生の時、社会学を勉強すればよかったなあ、と思った。 「他者の合理性」という言葉。 個人にはそれぞれ合理性があって、それは私は共感できるものではないかもしれない。どうしてそんなことをするの?と思ってしまう人もいるのは事実なんだけれども、でもその人には必ず「理由」がある。個人の体験や経験に基づいた「理由」があることを理解して、それを聞き取って、わかりたいと思った。





- しお@landscape_2025年4月28日読み終わった打越正行さんへの上間陽子さんの追悼文(https://www.webchikuma.com/n/n3777013c8ca2?gs=fd649bac70c4)があまりに印象に残ったので、二人ともを知ることができるかなと思って読んだ。調査する人生。寄り添うでも救うでもなく、人間を対象として調査するのはかなり難しそう。全体を通して岸政彦さんは手法とか、ヒアリングしたエピソードの解釈とか、調査する人間としての立場から対話していて面白かった。

つづけ~@kozonoyuki_03092025年4月20日読み終わった再読したほんとうに面白い 去年読んで、もっと社会学について学ぼうと思ったのに全然捗っていない現状の前に、勉強を諦めたわけではないよと自分に言い聞かせるために読んだ 学ぶぞ!!!!! 理解できる箇所が前回より増えたようなそうでもないような

こばこ@chek_honda2025年3月26日読み終わったひとの話を聞くことはときにとてもきついことだなと思うので、対談している皆さんがこれまでに書いた本を読んでいると、話を聞く側である自分をどうやってケアしているのだろう、と思うことがあった。 特に上間陽子さんの章で具体的に語られていて、また読み返そうと思う。

廣畑達也@pirohata122025年3月21日読み終わった@ 自宅書くと書かないのあいだの逡巡について語り合われているのがとてもよかった。そのあいだで揺れていることが、真摯に人の話を聞くことにつながるのではないか、と思えた。折に触れて読み返す本になるだろう。



おいしいごはん@Palfa0462025年3月11日読み終わったちょっと前に読んで面白かった。 色んな方の生活史やオーラルヒストリーへの向かい合い方が見えて面白かった。個人的に岸さんの反応(というか、相手の話を聞いて語り出す方向)が似通っていて、そんなにそれ系統の話を繰り返すならそれで一冊書いてくれ〜!ってなった。

bocca books@boccabooks2025年3月10日読み終わったかつて市場調査でインタビューに関わっていましたが、ここで言う「してはいけない質問」ばかりしていたような。分野をあらため、生活史のインタビューをしてみたくなりました。 あと、表紙の写真の意味がわからず。分かった方いたら教えてください!

廣畑達也@pirohata122025年3月7日読んでる@ 自宅首がもげるほど頷きながら読んでる。最近、答えを求める話の聞き方から、その人全体を聞くようになってきた自分にとって、大事なことしか書いていない。



Sachiko@komsms2025年3月6日読み終わった「かけがえのないものや、ささやかなもの、チマチマしたものに全てがあるんだというのは、それはそれでロマン主義な気がする。非常に凡庸なストーリーですよね。 だからぼくは構造の中の孤独、全体の中の個別が好きなんです。丸山さんの本が好きなのは、それが書いてあるからですよね。構造的条件をきちんと書いて、その中でなんとか生きている女性、選べなかったりするし、施設に入るけど戻って来たり。」
北村有(きたむらゆう)@yuu_uu_2025年3月5日読み終わった三宅香帆さんが「人の話を聞く仕事をしている人、興味のある人は読んだ方がいい」と言っていて購入。 相手の10年を聞くために、自分の10年を投じる。人生史を聞く社会学者たちの覚悟が連ねられた本だと思った。


北村有(きたむらゆう)@yuu_uu_2025年3月3日読んでるP125 「簡単に理解できない、矛盾した語りとかに出会った時に、人間の深みを感じますよね。だからこそ、そこをもうちょっと掘り下げて考えたい気持ちが生まれるのだと思います」 公園が生きる場所だと受け入れている女性ホームレスの話、沖縄戦の集団自決を経験しながら基地も容認している人の話。ただただ、すごい。
北村有(きたむらゆう)@yuu_uu_2025年3月1日読んでる沖縄の若者について調べるために、実際に沖縄若者コミュニティに入り込んで十年の時間を投じるってすごい。そこまでモチベーションが続くものなんだな、社会学や人類学のフィールドワークって

















































































































