氷柱の声

44件の記録
- 白粉@00_neumond2025年5月4日読み終わったどんな言葉で感想を述べても陳腐な言葉に聞こえる気がする。 震災のことを今まで語れなかった、とあとがきで述べているが、書きたいと思ったきっかけが編集部の声かけのタイミングだったことはあまりにできすぎというか、都合のいいタイミングでそう思ったものだな、と正直感じてしまう。 作中には震災を経験しそれを糧にして作った作品が最優秀賞をを獲る描写に対し筆者は懐疑的な視線を向けるが、この著書自体が芥川賞候補になっていることも「震災」を題材にしたものではないか、と感じる。自らが否定的に描いたものと全く同じ状況に置かれている、まさにブーメランとはこのことである。 くどうさん自身も候補に選ばれて苦しかったと吐露していた記憶がある。 あの時のことを書けなかった、それでも書こうとした彼女の意思は尊いものだと思うし、この手の作品でよくある「希望の子」として苦境から立ち上がる主人公、というベタなものとは一線を画した作品が、多くの人に触れる機会が生まれたのは事実であると感じた。
- 文音こずむ@ayanekozumu2025年4月11日読み終わった私は愛知県民だけど、石巻焼きそばを作って売ったことがある。あの時私は何を思って行動してただろう。思い出せそうで、思い出したくない 自分の心臓のど真ん中に氷柱が刺さったかのような。痛いのに清々しくて、冷たくて気持ちいい。伊智花よりさらに被災の外側の私だけど、あとがきも込で救われた
- 松田茉莉@cotomato2025年3月11日読み終わった借りてきた普段利用している私説図書館で前からあることは知っていたけれど、今日が3.11でなかったら読まなかったかもしれない。震災の体験に大きいや小さいで悩み苦しむ必要はないと思うけど、それは私が東日本大震災を体験していないからで、くどうれいんさんが簡単に震災を語れないと思っていたこと、今作で芥川賞候補になり苦しかったこと、読みながら葛藤をつよく感じた。震災から時間が経っていくなかでどう向き合えばいいのかはわからないけれど、そういうときにまたこの本を読み返したいと思う。
- ゆう@suisuiu2025年3月11日かつて読んだ「そもそも、内陸でほとんど被害を受けていない私が何を描くのもとても失礼な気がした。考えて、考えて、結局締切ぎりぎりになって、通学の途中にあるニセアカシアの白い花が降る絵を描いた。」 「震災について「語っていい」のは、それが許されるほど深い傷を負った人か、「進んで責任を負える人」だと思っていた。」 14年。今日はあちこちで3.11の話になったので良かった。どんな顔をしてどんな話をしたらいいか未だによく分からないままだけどそれでいい。無理に消化しようとか何かのフレームに当てはめようとしないで良いのだと思えたのはこの本のおかげだった。
- saki@53hon_to2025年3月10日読み終わった図書館で借りた忘れたくないこと、忘れたいけれど忘れられないこと、忘れないこと。思いだけじゃなく、空気感や触感、その全部を思い出しながら読んだ。
- mimosa@mizupon_03132025年3月10日読み終わったかつて読んだ去年の夏頃に読んだ。 「何も失っていないいたみ」「何もできなかったいたみ」「美化されるいたみ」 そうか、そういういたみがあるんだと気付かされた。 私がみていたSNSやTVの情報だけでは分からなかった被災地の事。 3月11日、もう一度読み直そう。
- yayano@yaya72024年11月18日読み終わった『何も失わなくてごめんなさい」』という気持ちは、助かった者の心に深く杭を打つ。無関係な土地にいた者からは好き勝手なことを言われる。被災者としての振る舞いを強制され、傷つくことにも麻痺する。それでも、残ってしまった人間は震災があった人生を生きていかなきゃいけない。 『自分の被災は被災なんて言えないから』って言いそうな人こそ語ってほしいと、わたしも阪神大震災以降ずっと思ってきたし、時に語ってきた。その想いをいまの人の言葉でしっかりと書き残してくれてありがとう。