対馬の海に沈む

128件の記録
- tsukasakitajima@tsukasakitajima2025年8月25日読み終わったずっと読みたいと思っててPASSAGE by ALL REVIEWSで見つけて購入。もうムチャクチャな話なんだけど、著者が首謀者周辺の人間に取材を申し込むと悪びれることなく意外なほどあっさり受ける人が多いことにまず驚き。そしてそんな人びとは世間的に評判が悪いわけでもなく、むしろ善良と見られるであろう人びと。だからこそ余計に怖くなる。そして自分の中にも、そのような一面を見つけて更にいっそう怖くなる。
- 味噌田楽@miso___dengaku2025年8月11日読み終わった感想あらすじ:JA対馬の共済の営業マンとしてとてつもない売り上げを誇る男がある日車ごと海に沈んでしまう。そして彼の死によって巨額の不正が明らかになりJAが調査で出した結論は「西山1人の犯行である」。その報告に疑問を持った著者がJAに潜む闇を明らかにする。 最初はたった1人の犯罪者の悪行と思われていた事件から田舎住みなら誰もが一度はお世話になったことがあるJAの組織の腐敗、過度なノルマ、杜撰なチェック体制、穴のあるルールといった巨大組織の闇が暴かれる超絶ヤバい本 そしてラスト数十ページで明らかになる“真の犯罪者” めちゃくちゃ面白かった
- Yamada Keisuke@afro1082025年8月5日読み終わった電子書籍2024年の開高健ノンフィクション大賞受賞作。ずっと気になっていたが、Kindleでセールになっていたのを機に読んだ。導入からエンディングまで、まるで優れた推理小説を読んでいるかのようで、ページをめくる手が止まらなかった。離島で起きた事件から日本社会の歪みを浮き彫りにしていく著者の手腕は圧巻だった。 舞台は長崎県・対馬。JA対馬の従業員が不可解な死を遂げる。彼は優秀な営業マンとして知られていたが、その裏には金融商品をめぐる不正があった…そんなイントロダクションから物語は始まる。この時点で面白いことは確定しているかのようで、著者はジャーナリストとして粘り強く取材を重ね、事件の全貌を少しずつ明らかにしていく。その過程が丁寧に描かれており、読者は著者とともに謎を解き明かしていく感覚を味わえる。 驚かされたのは、「農業」という素朴なイメージとは裏腹に、JAが共済をはじめとした金融商品の販売において従業員に過大なノルマを課していることだ。そのノルマが不正の温床となり、従業員を追い詰める。JAは想像以上に複雑な組織構造で、パッと読んで理解できるような代物ではない。しかし、著者はもともとJAの媒体出身というバックグラウンドを生かし、平易な言葉で懇切丁寧に解きほぐしてくれる。そして、従来型の日本的組織がいかにして歪んだモンスターを生み出してしまったのかを明らかにしていた。 本著が圧巻なのは、わかりやすい悪党について取材で徹底的にあきらかにしたあと、その過程で読者がうっすらと思っていた疑問について、最後の最後で刺してくところである。旧態依然とした日本社会の縮図のような寓話的エンディングに、狐につままれたような気持ちになった。持ちつ持たれつの互助社会は利害関係が一致しているときだけ機能し、問題が起これば一人に責任を押し付けて「トカゲのしっぽ切り」で終わらせて、全員は知らん顔していることが怖い。しかも、それが都心部で起こるならまだしも、人口がそれほど多くない対馬のような比較的閉鎖空間で起こっていることが恐ろしい。閉鎖空間ゆえに誰も見てないし、気づかないから大丈夫でしょ的なマインドなのだろうか。そんな状況と、初期の段階から不正を告発していた人物の人生がオーバーラップして胸を締めつけられるようだった。 組織には目に見えないルールや空気があり、それにうまく馴染めるかどうかが、生き残るための重要なスキルになる。本著は、日本人が集団になるとどうしても顔を出す「村社会」の性質が、強烈な形で表れた様子を克明に描いている。読んでいると、自分自身が組織でどう立ち振る舞うべきかを考えずにはいられなかった。
- 白玉庵@shfttg2025年7月31日読み終わったまともな所に外部監査してもらうって大事ですよねぇ…そうすればこんなこと2-3年で露呈していたはずなのに。 ワンピース(海賊)好きな人ってアレよねぇ、という偏見がさらに強化されてしまった。集英社から出ているのも面白い。
- y.@yotsu_hiyoko2025年7月29日読み終わったこちらもずっと読みたかった話題の本。 組織の腐敗具合には反吐が出る。 真面目に頑張っている人をきちんと評価する社会になって欲しい。 そして同調圧力・・・どうにかならんか、そろそろ。
- 耕太郎@Forester_7272025年6月29日感想一人の人間に罪を負わせるだけで、終わるような話ではなかった。 JAという組織、ひいては日本という社会に横たわる問題もまでも、知らしめる本だった。
- 波@knami2025年5月20日読み始めた読み終わった仕事でお客さんからおすすめされたノンフィクション。積読チャンネル紹介でさらに読みたくなり購入 JA職員が不正に手を染め隠蔽した強い動機は「得をしたい」というより「自爆営業するノルマの苦しみから逃れたい」だと説明されていて深く納得。各種依存症の構造とも似ていると思う
- しましま@simasima_30k2025年5月18日読み終わったノンフィクションという衝撃…短い言葉ではあらわしにくい感覚。島独特の人間関係や身内や地元で成り立つ職員…閉鎖的な職場では大なり小なりこういうことが起こりやすいんだろうなというヒヤリとした本だった。
- はぐらうり@hagurauri-books2025年5月10日読み終わった開高健ノンフィクション賞。 JAで長年起こっていた不正を暴き、人間の悲しさも描かれている。まったく記憶にない事件だけれど、巨大組織の闇は相当深かった。 取材の量がもの凄い。ノンフィクション作家じゃなくて農業専門ライターのような方だったのがまた凄い。
- Daidaigo@df21792025年4月16日読み終わった共依存、貧しくなりゆく島で生き延びるための人々、いや生き物の戦術論を読んでいるような感じがした。 執念深い取材に脱帽。とはいえ欲望に絡み取られてがんじがらめになっている人々の姿は既視感もある。
- 竹田純@tj_paki2025年3月28日読み終わった『対馬の海に沈む』この本の迫力は一枚も写真がないことだと思う(本の冒頭に対馬の地図だけがある)。文字だけで立ち上がる一人の男の経済犯罪とそれに陰に陽に協力し、利益を得てきた人たちの群像の迫力。
- しらい弁当@shiraibento2025年3月27日読み終わった車で海に飛び込み対馬の海に沈んだ男。JAの優秀なLA(ライフアドバイザー)として表彰を受け続けた享年44歳の西山義治。JA共済から金を騙し取った悪者なのか。トカゲのしっぽが切れたからそれでお終いなのか。綿密な取材から見えてくるその景色とは。
- レイカ@yukari1252025年3月21日「対馬の海に沈む」(窪田新之助・著、集英社)は、JA対馬(対馬農業共同組合)に勤務していた職員の死と、その後に発覚した巨額の横領事件について追ったノンフィクションだ。 西山義治は、JAの共済事業で全国的にトップレベルの成績をあげている人物として知られていた。しかし、2019年2月、大量のアルコールを飲んで車を運転して海に突っ込み、溺死した。 彼の死後、建物の被害を偽造して共済金が振り込まれるようにするなど、さまざまな不正が明らかとなる。被害額の推計は、22億円以上にのぼった。 著者は、これほど大規模な不正を、たった一人の職員がおこしたものとは思えず、違和感を抱いた。共犯者がおり、組織的な腐敗や隠ぺいがあったのではないか?と疑い、調べ始める。 西山の家族、同僚や上司、JA共済の顧客などに取材し、不正の背景を描いていく。 もっとも読み応えがあるのは、JAの組織的な問題にとどまらず、西山に利用された顧客たちの「闇」を指摘した点だろう。彼らは西山の不正により恩恵を受けた面があるにも関わらず、罪に問われることはなく、被害者面をしようと思えばできる。 地道な取材を積み重ねて書かれていて、読み応えある1冊。
- ロッタ@rotta_yomu2025年3月11日読み終わった友人に勧められ読んでみた本。 たぶん自分では辿り着けなかったと思う。ときどきは何も考えず、おすすめされた本をおすすめされたまま読んでみるのもいいものですね。一気読みだったよ! ・ で、内容なのですが、「JAの闇を暴く」ノンフィクションです。JAです。わたしたちの身近にあるあのJA。 2019年、JA対馬のある職員が自殺した。 彼は過疎化の進む離島対馬で、全国トップの営業成績を長年に渡って獲得し続けた。天皇、神、と呼ばれるほどのスター職員だった。が、死後様々な不正が暴かれる。 窪田さんは丹念に取材を重ね、インタビューを重ね、JAという組織について知識が何もない読者にもわかりやすく丁寧に噛み砕き、公表する。 全員ほぼ実名、どんな疑いがあり、疑いを突きつけられた時の反応、言動を、飾ることなく率直に書く。 窪田さんの覚悟がここに現れている。 内容は読んでもらうとして、 大なり小なり似たようなことはどこにでもある。どこにでもあるというより、それが全てだとすら思う。虚しく思う。 わたしはどんな立ち振る舞いをするのだろうか? きっとみっともなくいじましく恥ずかしい行動を重ねる。 ねえ、あなたはどうする?理想と現実ってあるじゃない?あなたはどう思って、実際はどうすると思う? わたしは、無性にそんな話をしてみたい。
- 掛谷拓也@takuya2025年3月6日読み終わった@ 電車J A対馬の不正事件。死んだ犯人だけの悪事と思えば、他の職員、上司、大勢の顧客を巻き込む壮大なスケールの悪事だった。犯人は自死し遺族に賠償がというのもひどく、何の罰も受けていない関係者が多い
- ボク、ブラえもん。@taishibrian2025年3月5日読み終わった@ Sanchaco農協といえば、主に農業や農家のための仕事をしていると思われがちであるが、実はその売上げ・利益の大半は金融事業によって賄われており、とくに保険関係の共済事業は総資産約60兆円と国内最大手である。 対馬―日本海に浮かぶ人口3万人の離島に、この共済事業で全国トップの実績を誇るLA(ライフアドバイザー)がいた。西山義治は毎年数億円もの共済商品を販売し、10年以上全国大会で表彰される成果を出していた。西山氏は2019年2月に帰らぬ人となった。その死後、彼が約22億円もの資金を不正に流用していた疑惑が発覚したのだった。 どうして小さな島で全国トップレベルの営業成績を収めることができたのか。また何十億円もの不正蓄財を可能にした手口とはいかなるものだったのか。西山氏個人だけの問題なのか、はたまた組織的な犯行だったのか。調査が進むに連れて西山氏とJA対馬を取り巻く異様な状況が浮かび上がってくる。 JA共済のLAに課せられる厳しいノルマの飴と鞭、田舎ならではのヤンキー的な内輪意識と敵愾心、契約や共済金払い戻し等のプロセスの杜撰さ等々、様々な要因が西山氏のモラルを破壊していく。そして多かれ少なかれ、中央組織と地域の末端におけるヒエラルキー構造の下では起こり得る事件なのだと、公務員や大企業まで含めた組織に内在するリスクとして他山の石とすべき内容となっている。
- 渡辺洋介@yskw05142025年3月5日読み終わった「対馬の海に沈む」 窪田新之助著 集英社 各種書評やフォロワーさんのポストを見てこれは読むべきと思ったのだが時すでに遅し、店頭からは在庫が消えていた年末年始を経て待望の重版出来。 本は読みたいと思った時に手に入れるべき。 そして重版の部数とタイミングはとても難しく、ある意味ギャンブル。 刷ったはいいが急に動きが止まり(出版業あるある)市場在庫がダブつくと容赦ない返品の嵐が出版社を襲い、初版の利益が飛んでしまうこともある もとい、本書は前評判に劣らない傑作 雑なスキームの不正請求にザルにもほどがある審査 そこに同調圧力のムラ社会が結びついて不正が不正を呼ぶ地獄の錬金術。 もちろん、それに異を唱える者は排除されるという死ぬほど見た光景。 ヤンキー気質のお調子者職員に組織ぐるみで乗っかり、さらに契約者もその構図で甘い蜜を吸い すべてが破綻したとたんに死人に口なしとばかりに素知らぬ顔で元の生活に戻っていくという恐怖。登場人物全員悪人では全くないが普通の人々が持つ底知れぬ欲望の沼に沈められた読後感だ。 2025年現在もそれらの人々が何事もなかったかのように日常生活を送っているのだ。 「痛快だったのは、その棚という棚が、フィギュアでびっしりと埋め尽くされていたからだ<中略> 漫画『ONE PIECE』に登場する主要人物たちであるフィギュアの数は、映っている場所の分だけでも100体を下らないだろう。その陳列棚に並ぶフィギュアを、スーツ姿の一人の中年男が眺めている。<中略>さらに映像は次の場面に移り、ある棚だけを大きく映し出した。そこには、片足を上げて走っているような恰好をした主人公ルフィのフィギアが何体も並んでいる。」p.106 何十億にも及ぶ不正請求をしながら、いい年をした大人が集めたのが漫画キャラクターのフィギュア収集だったところがまさに安物ニッポンの幼児性を象徴しているようでとことん情けなくなるのだ。
- 中村洋太@yota10292025年1月8日読み終わった2025年1冊目 おもしろかった。著者の物怖じしない取材力に脱帽。そして一冊を通して、人間の暗い部分を目にすることになった。ただ、この対馬で起きたことは、決して他人事ではない。自分も気をつけたい。