ソリティアおじさんがいた頃
32件の記録
こむぎ@Me12342026年8月10日読み終わった味噌メーカーの店舗販売で働く30代女性が、少し前に定年退職した"ソリティアおじさん"の葬儀に行っていろいろ考えてニートの彼氏と別れる話。 一人語りで内面を細やかに描いていると思う。人とのやりとりというよりは、主人公から見た世界。 ソリティアなつかしーと思って読み始めたが、よく考えたら私がやってたのはマインスイーパであってソリティアではなかった。ソリティア全然知らなかった。
和月@wanotsuki2026年8月8日読み終わった読みやすい!さくっと読めた。 主体の思考の流れを追いかける文章は、過去に読んだ芥川賞候補作品にも通ずる所があるけど、主人公の思考が割と親しみやすいというか、近しい感覚があり、最後まで楽しく読めた。 味噌屋さんの直営店で働く主人公が、あまり関わりのなかった元職員のお通夜に参列して、働かなくなった恋人との生活に区切りをつける。 主人公が決断して行動する中に、わかりやすく成長の描写が無い所が良い。 間違えた、とは思わないけど、これで良かった、と真っ直ぐに感じている訳でもない。 そのぬるっとした日常の変化と、それに何となく順応していく姿に現代らしさを感じた。 味噌チョコが美味しそうで、京都の町屋で働く姿も想像しやすく、関西弁(京都寄り)で進む会話のリズムも心地よい。表面上は雰囲気のあるお店も、古い形態の会社を母体としていて、その古さが良くも悪くも職場の人達の言動や態度に表れているのが読んでいて面白かった。


ハヤシKYヘイ@heiheikyo12026年7月15日読み終わった地の文がちょっとやりすぎなくらいの京都弁の語りで、それが心地よく、世界観がくっきり浮かび上がる感じがしてよかった。学生の頃に京都に住んでいたが、ちょっと上の世代、特に何かしらの商売をされている人はたしかにこういう「〜しはる」多め系のしゃべり方やったな〜、みたいな。 本の物語と関係ないけど、個人的に京都時代のバイト先の同僚Iさんのことを思い出した。実家が観光地のお土産物屋さんだとかで、しっかり者のリーダー的存在だった。オペレーションはもちろん、人と働くとは何かを教えてもらった気でいる。先輩だったけど同い年だったから、打ち解けたのちは、地方から来ていた私が調子に乗って「えろおすんまへん」みたいなエセ関西弁の軽口を叩くと「ごめんしとくれやっしゃ」と濃いめの京言葉を返してくれる、そういうやりとりが定番だった。 助け合い、やれる準備は率先して済ませておき、お客様には丁寧に、でも物怖じせず。そしてサービス精神というかユーモアが、前提にある感じ。京都の商売人すべての人格を決めつけるわけではないが、何か彼女が美徳としている「働く理想像」みたいなものを、こっそり学ばさせてもらったような記憶がある。 『ソリティアおじさん〜』を読んで、あの京都の人の言葉の感じを思い出し、無責任な学生バイトの身分だったから楽しめたところもあるだろうな、京都で会社員したり人生を定めるとなったらまた違う感じ方したかもな、とかぼんやり思った。まあ京都は最高なんですが。 バイト先はただのカフェチェーンで、その後私は飲食とまったく違う業界で会社員になって10年以上経つけど、どこか労働姿勢の基礎は、あのバイト時代から変わっていない気がする。


nekomurice@nekomurice1232026年7月12日読み終わったソリティアおじさんの訃報をきっかけに 主人公の日常・心情が淡々と描かれているんだけど、 ソフトな京都弁と適度な間隔で放たれる 語尾の「知らんけど」が良かった。 味噌チョコ美味しそう。








はぐらうり@hagurauri-books2026年7月8日読み終わった芥川賞候補。これも一気読み。良かった。文學界新人賞の受賞作。 味噌屋の先輩が亡くなってお通夜に行く話。それだけなのに読める。淡々と物事が進んでいく感じが井伏のようで心地よい。全体に軽いタッチでエンディングも軽いしわかりやすいけれど、これは純文学だなぁと思う。良い作家さん。 この時期は文芸誌を読むので楽しい。毎月は買えなくて、大学の図書館で読んでいたのを思い出す。ちゃんと全部読めなくて申し訳ない。文學界新人賞、金原ひとみさんの選評が良かった。本当に暖かい人。
- おふろ@homba2232026年7月7日読み終わった7月7日読了。芥川賞候補の中からタイトルに惹かれて購入。 かなり口語的で流れるような主人公の独白で進んでいく作品。その文体と主人公の感性から実在性、現実性を感じることができ、自分と重ね合わせやすくどこか懐かしさを覚える。 極めて現代的な口語で進む文章のなかで時折p86 「心なしかとろみのある水面に、いくつかの思い出話の花が咲く。なんていう花やっけ。でもそれははじめから知らないし、知りえない。」 といった文学的表現が挟み込まれて、そのギャップが心地よい。 また、登場人物が単純な(主人公からみて)好きな人嫌いな人になっておらず、嫌なところがあれば毒づき、良いところがあれば喜び褒める等、その時々に評価が変化する様や、ちょっと前までの感情を棚に上げるシームレスさは、我々実生活と近いところにあるように思う。 作中を通して特に大きななにかが起きたり、主人公が誰かの言葉に心を動かされたりといったドラマは発生しないが、物事を通して主人公が考え、悩み、決断した後もこれで良いのかと考え続けながらまた生活を営んでいくという物語。文化芸術特有のスカした感じがなく、素朴ながらも爽やかな読後感を与えてくれている、こんな作品が芥川賞を獲ってくれると嬉しく思う。




























